備忘録として

タイトルのまま

Stay hungry, stay foolish

2011-10-16 13:00:59 | 話の種

 先月の奈良京都の旅では、薬師寺で法相宗のお坊さんの説法を、大谷祖廟で浄土真宗のお坊さんの説法を聞いた。最近の話題を盛り込んだ道徳的な説教で面白くはあったが、浄土真宗や法相宗の教義に踏み込んだものではなかったので少し物足りなかった。それよりも、先日すい臓がんで亡くなったAppleのSteve Jobsが、2005年にスタンフォード大学で大学生に向けたスピーチが心に響く。Appleはごく最近、iPhone、iTuneを使い始めたばかりで、Steve Jobsのこともビル・ゲイツと似たような経歴の持ち主だという程度の認識しかなかった。

スタンフォード大学でのSteve Jobsのスピーチは、Youtubeで聞ける。

http://www.youtube.com/watch?v=UF8uR6Z6KLc&feature=relmfu

スピーチは3つの話からなる。

1つ目は”Connecting dots”  今やってることが将来何かの形でつながってくると信じることが大切で、自分の直感や人生やカルマ(運命、仏教の業)を信じなさいということ。

2つ目は”Love and Loss”  自分が設立した会社を追い出されるという挫折があったが、おかげで成功の重圧から解放され創造性豊かな時期を持つことができ、たまらなく好きなことをやり続けられた。だから、挫折しても信念を失わないで、自分の好きなことをし続けること、今それがないなら好きなことを探し続けること。妥協してはいけない、Don't settle。

3つ目は”Death”  自身がすい臓がんで死に向き合ったことを告白したあと、死を前にすると真に重要なことだけが残る。時間は限られている。人の意見にとらわれたり、ドグマ(世間で信じられていること)の罠に嵌ってはいけない。自分の心の声と直感に従い勇気を持って行動すること。

最後に、”Stay hungry, stay foolish”ということばでスピーチを締めくくる。

彼は曹洞宗を信じ運命や死について述べていることから宗教的な話を想像するが、話の内容はすべて彼の経験から導き出されたもので、どこにも座禅によって悟りをひらくような宗教話や禅問答はない。スピーチは、運命論的ではあるが、基本的に自力本願であり、ドグマを否定していることからJobsは無宗教だったのではとさえ思えてくる。Stay hungry, stay foolishとは、まさに今日を精いっぱい生きて灰になった、宗教を信じていたとは思えないあの”あしたのジョー”的な生き方なのである。

Steve Jobs、1955年生まれの享年56歳。私も同い年だが、彼のように”毎日鏡の前で今日が人生最後の日だと思って生きる”ことなど到底できそうもない。彼我の違いを嘆く必要などない。我が信じる道を行けとJobsは言っているのだから。


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