スピルバーグ自身が言っているように、この映画はストーリー的には極めてシンプルな作品だと思います。等身大のどこにでもいそうな親子の目を通して、「外」からの侵略者の恐怖を描く…。
シンプルなストーリーだからこそ、ちまたではあまり評判が良くなかったりもするようですが、私は、スピルバーグが今この時期にあえて「宇宙戦争」をリメイクしたことに注目したいと思うのです。
スピルバーグ監督の「宇宙物」はこれが3 . . . 本文を読む
H.G.ウェルズの原作も映画のタイトルもそうですが、英語の原題は"The War of the Worlds"なのですね。直訳すれば「世界と世界との戦争」。地球世界と宇宙のどこかの別世界との戦い、という意味でしょうか。
「宇宙戦争」という映画は、既に1952年に製作されています。監督バイロン・ハスキン、主演はジーン・バリー。今回のスピルバーグ版はそのリメイクということになります。
どちらも舞台 . . . 本文を読む
スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演という、鳴り物入りで公開中の映画「宇宙戦争」。
皆さんは知っているでしょうか。この映画の原作が、100年以上も書かれたSF小説だということを。イギリスのH.G.ウェルズ(1866-1946)が発表した"The War of the Worlds"(『宇宙戦争』)がそれです。出版されたのは1898年。もちろん、当時は「SF」という言葉さえ存在しなかったのですが、 . . . 本文を読む
先日、公開中の「宇宙戦争」を見ました。で、その感想はまた日を改めて書きたいと思いますが、「宇宙戦争」→「火星人襲来」→オーソン・ウェルズという連想で思い出したのが「クレイドル・ウィル・ロック」という映画です。
これまた公開時(1999年)に見逃していた映画です。昨日、レンタルショップでDVDをやっとの思いで探し出しました(レンタルショップってどうして普通に「五十音順」で並べてくれないのでしょう。 . . . 本文を読む
より深く、より遠くへ。光の届かない世界を求めて二人の男が競い合う─。この映画が描くのは、あまりにも非日常的な“グラン・ブルー”の世界です。
一般に「グラン・ブルー」と呼ばれるこの映画には、ちょっとややこしいのですが、ヴァージョンが3本あります。
1988年、リュック・ベッソン監督は、この映画の最初の編集の際、168分もの長尺となってしまったことから自ら再編集を決意し、132分の「オリジナル・ヴ . . . 本文を読む
ジャック・マイヨールとエンゾ・モリナーリの「潜水競争」がこの映画のテーマですが、もう一つ、ジャックと、彼の澄んだ目に恋をするジョアンナ、二人の愛もなかなかです。
「海底はつらい」
「なぜ?」
「上がってくる理由が見つからないからだ」
「私もそうよ」
「なぜ?」
「ここに残る理由がないわ」
もともとジャックは、ジョアンナが「イルカに似ている」ことに惹かれるのですが、イルカとは、彼にとって「人魚」 . . . 本文を読む
2002年秋、シネスイッチ銀座で見た時は、ウェス・アンダーソン監督のことは何も知りませんでした。コメディ、ではあるのだろうけど、決して大笑いさせるわけではない。「ヘンな人」ばっかり出てくるのだけれど、最後にはこれってホントに「ヘンな人」たちなのだろうか…と思わせる。映画館で見てからずいぶんしばらくたってからどうしてももう一度じっくり見たくなって、DVDを買い、何度も見直しました。字幕版はもちろん、 . . . 本文を読む
個性豊かな日本の映画監督たちによるオムニバスムービー「Jam Films」シリーズの2作目(2003年)。
ラインナップは次の4本。
小島淳二 「机上の空論」
高橋栄樹 「CLEAN ROOM」
井上秀憲 「HOOPS MEN SOUL」
丹下絋希 「FASTENER」
私にとっては、好悪がはっきり分かれるシリーズかも。
「机上の空論」。前半は、出会いから結婚まで、日本人へ . . . 本文を読む
「Jam Film」の「ARITA」を見て久々に岩井ワールドに触れたくなって、レンタルに走りました。
1996年の映画なので、かれこれ10年近くたつのですね。あの頃は、YEN TOWNの不可思議な世界にただただ魅入らせられていたのですが、今回もう一度見直してみると、なんだかストーリーがやけに込み入りすぎていて、どっぷりはまることはできませんでした。これもトシのせいでしょうか。あの頃私も若かった( . . . 本文を読む
「Jam Films」シリーズは、日本の気鋭の監督によるショートフィルムのオムニバス。先週1週間だけ、その3作目にあたる「Jam Film S」を映画館で上映していたのに、気づいたのは金曜日の夜。時すでに遅し。
1作目のラインナップは次のとおり。
北村龍平「the messenger -弔いは夜の果てで-」
篠原哲雄「けん玉」
飯田譲治「Cold Sleep」
望月六郎「Pandora . . . 本文を読む
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督・脚本・主演。2001年公開ですが、映画館で見ようと思っていながら見逃してしまった映画です。
ベルリンの壁が作られた1961年に東ベルリンに生まれたヘドウィグは、その美しさゆえにある米兵に愛され、性転換手術を受けて米国に移住するものの、米兵に捨てられてしまう。ヘドウィグは、ロックバンド「アングリー・インチ」を率いて全国行脚のツアーに出る。ツアーといっても、彼らの . . . 本文を読む
私が初めてレイ・チャールズの名前を知ったのは、吉田拓郎を通してでした。というのは、「よしだたくろうオン・ステージ ともだち」(1971年)というライブ・アルバムで「わっちゃいせい」というへんてこりんな歌を歌っているのですが、これがレイ・チャールズの"What'd I Say"(1959年)のカバーなのです。いや、正しく言うと、カバーしているのはあのかっこいいイントロ部分と最初のワンフレーズだけです . . . 本文を読む
仕事帰りに見てきました。1968年の京都が舞台で主人公は高校生。私なんかはちょっと下の世代に属するのですが、ズバリ彼らと同年代の職場で隣の席の方が「いい映画だ」としきりに言うもんだから、予定(本当は「Ray」を見るつもりだったのですが)を急遽変更してパッチギ!にしたのでした(その映画館はミニミニシネコンなので、3本の映画を同時上映しているのです)。
この映画を「ロミオとジュリエット」だと言う人も . . . 本文を読む
夕べ、BSでとてもいい映画をやっていました。「アラバマ物語」(1962年)です。
時々、こんな昔のモノクロの映画を見たくなります。まやかしのCGなど知らなかった時代の、光と影を丹念に切り取った映像。そして米国という国の持つ良心。
原作は、ピューリッツァ賞受賞のハーパー・リー作“To Kill a Mockingbird”(『ものまね鳥を殺すには』)です。彼女の少女時代の出来事がモチーフとなって . . . 本文を読む
三谷幸喜の笑わせるツボに見事にはまってしまいました。くやしいですが、しかたありません。思い切り笑える映画です。
設定は、戦時中の日本。三谷お得意の密室劇で、警察のだだっ広い取調室を舞台として、これまで一度も「笑った」ことのない検閲官(役所広司)のもとで、喜劇作家(稲垣吾郎)が書いてきた台本の内容や表現について、認める、認めないの攻防を繰り広げます。
笑わせて笑わせて最後にホロっとさせる、という . . . 本文を読む