カクレマショウ

やっぴBLOG

『PLUTO』覚書その5─「人間は、つらい記憶をためこんでいくと、生きていられなくなる」

2007-05-31 | └『PLUTO』覚書
ブランドの壮絶な死にショックを受けつつも、ゲジヒトは気晴らしに、前から希望していた妻との日本旅行を申し込もうとします。ところが、旅行代理店は、二人が2年前に日本への旅行を申し込んでキャンセルした記録が残っていると言う。ゲジヒトも妻も、まったく「覚え」がない。2年前と言えば、ユーロポールの研修で1年間スペインにいたはずだ…。当時の写真をめくる二人だが、どこか違和感を感じる。どうも写真が多すぎるのだ… . . . 本文を読む

「勝ち組」・「負け組」という言葉

2007-05-30 | ■社会/政治
人生のいろんな局面で勝ったり負けたりという体験は大切です。スポーツでもゲームでも。ただ、何にしても、一人の人がずっと勝ち続けたり負け続けたりすることは少ないわけで、あくまでも「勝ったり負けたり」だからこそ面白いし、成長もできるのだと思います。運動会で順位をつけないなんて、妙な平等主義はもってのほかですね。 でも、「勝ち組」とか「負け組」という言葉には、とてもいやな感じを覚えます。 ベンチャーで . . . 本文を読む

日本の「教育教」

2007-05-29 | ■教育
かつて、文部科学省に勤務していた頃の岡本薫氏は、その弁舌の巧みさから、「文科省の久米宏」と呼ばれていました。私も何度か岡本氏の講演を聴いたことがありますが、理路整然とはこういうことを言うのだなと感心させられたものです。 理路整然と言えば、岡本氏の主張の「わかりやすさ」は、その著書にも表れています。『行政関係者のための入門・生涯学習政策』(財団法人全日本社会教育連合会、1996年)などはその最たる . . . 本文を読む

それは、挫折か「左折」か。

2007-05-28 | ■その他
   挫折なんかじゃない。それは「左折」にすぎない。 どこで見つけた言葉だったろう? ほんとうに挫折している人には言えない言葉かもしれないけど、言ってみる価値はあるかもしれない、とその時は思った。 人生いつも左折。ちょっと左に曲がってみただけ。 最初から、いつもそう思えていたらどんなに楽かしれない。挫折だといったん思ってしまえば、なかなか、濁点を取るのはむずかしいですよね。 . . . 本文を読む

「桃太郎」前史

2007-05-27 | ■本
現在公開中の「ハンニバル・ライジング」(未見ですが)は、トマス・ハリス原作による「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」、「レッドドラゴン」の主役であるハンニバル・レクターの「誕生」を描く映画。この手のスタイルは、ジョージ・ルーカス原作、 スティーブン・スピルバーグ監督による「インディ・ジョーンズ」シリーズでも、テレビ映画として「ヤング・インディ・ジョーンズ」が作られたように、けっこうよく見られるスタイル . . . 本文を読む

「なぜ、人を食べてはいけないの?」

2007-05-25 | ■その他
昨日の「カエルを食べる」で思い出したのですが、「なぜ、人を食べてはいけないの?」という話があります。 次の4問、それぞれ、どちらかを必ず選ばなければならない、というやつです。どちらかを必ず「食べる」のです。 第1問 好きな豚と嫌いな豚、あなたはどちらを食べますか? 第2問 名前をつけた豚と名前をつけていない豚、あなたはどちらを食べますか? 第3問 一番好きな人と一番嫌いな人、あなたはどちらを . . . 本文を読む

周達生『カエルを釣る、カエルを食べる』を読む。

2007-05-24 | ■本
何をかくそう、私はカエルが好きである。 ただ、どんなカエルも好きかと言うと、決してそんなことはなくて、イボガエルとかウシガエルとかツチガエルのように巨大なカエルはあんまり得意ではない。というより、はっきり言って図体がデカすぎて気持ち悪い! しかしだからといって小さければいいというわけでもなくて、アマゾンとか東南アジアのジャングルに住むけったいな色をしたカエルなんてぇのも受け付けない。 私が好き . . . 本文を読む

『PLUTO』覚書その4─「本当に憎んでいる相手は誰だったのか…」

2007-05-23 | └『PLUTO』覚書
「角」を突き刺されて死んでいた田崎純一郎が、死ぬ間際にお茶の水博士に連絡を取ろうとしていたという事実から、アトムは、彼の身にもまた危険が迫っていることを忠告します。「命を狙われているんです。ボラー調査団の元メンバー全員が…」 アトムが口にした「ボラー調査団」とは何か? 中央アジア・ペルシア帝国を舞台とした起こった第39次中央アジア紛争が、改めて語られます。ペルシアの独裁者ダリウス14世が圧倒的 . . . 本文を読む

装丁家というプロフェッショナル

2007-05-22 | └キャリア教育
本を装丁で買う。私にはあまりそういう意識はないのですが、いい本を読み終わった後に、装丁を改めて眺めて、いい装丁だなあと思うことはよくあります。 今日のNHK「プロフェッショナル」は、装丁家・鈴木成一氏。年700冊以上の本を手がける「売れっ子」です。年700冊! 毎日2冊近くの本の装丁を世に送り出している計算になりますね。これは超人的かもしれない。 スタジオにずらりと並べられた「作品」の中には、 . . . 本文を読む

「親学」と「家庭教育支援」と「子育て支援」

2007-05-21 | └社会教育
「親学」について、今日の毎日新聞紙上で、教育再生会議担当室長の義家弘介氏と、「夜回り先生」で知られる水谷修氏がそれぞれ持論を展開しています。 義家氏は、親学は「親への育児の介入ではなく、応援」だと主張し、母乳による子育ての効果についてはWHO(世界保健機構)もその効果を認めているし、子守歌については自分自身の経験から、子育てに対する有用性を説く。また、「共通の倫理観」、「基本的な道徳」を教えるこ . . . 本文を読む

『レ・ミゼラブル』覚え書き(その31)

2007-05-20 | └『レ・ミゼラブル』
第三部 マリユス 第六編 両星の会交(岩波文庫第2巻p.566~p.595) 春は出会いの季節。新しい恋が生まれちゃったりする季節。というわけで、てなことでもないのですが、久々の『レ・ミゼラブル』は、ちょうどそんな「出会い」の場面を紹介します。 この編のタイトルにある「両星」とは、マリユスとコゼットのことでしょうが、まるで七夕の伝説、織姫と彦星のよう。幾万もの星々の中で、たった二つの星が出会う . . . 本文を読む

「中央」と「地方」

2007-05-19 | ■社会/政治
今日NHKで放送されていた「日本の、これから」という番組、斜め見していました。NHKお得意のスタジオ討論の形式で、地方の衰退を止めるには…というテーマです。 のっけに、あなたは現在の地方と東京など大都市圏との格差をどう思うか、という質問。選択肢が「1 問題である」と「2 しかたがない」の2つしかないことにまず驚く。というより、そもそも「問題である」ということを前提とした番組ではなかったのか?と思 . . . 本文を読む

久しぶりの清岡卓行の詩

2007-05-18 | ■その他
     「夜会の一隅」      誘われてつい踊ってしまったから もう      愛のふるえに初めて手を握る喜びはない。      掌(たなごころ)になお火照る きみの冷たい柔かさを      しだいに消して行く 遠い国の燃える酒。                 ─詩集『四季のスケッチ』(1966年)より 昨年(2006年)6月に亡くなった詩人、清岡卓行(きよおか たかゆき)。私にとっ . . . 本文を読む

日本人と「マネジメント」

2007-05-17 | ■教育
「教育」とか「人づくり」は、どんな人でも関わることができる、あるいは関わらざるを得ない問題であるため、あらゆる「持論」が百家争鳴する分野です。で、そのぶん、その道の専門家(学術的研究者)の存在が最も軽んじられる分野なのかもしれません。 教育再生会議のメンバーに、教育学者が一人もいないことが、そのことを象徴しています。義家氏は元教員ですが、教育現場のプロであっても、「学校の先生」は「教育学者」では . . . 本文を読む

『ピタゴラ装置』はいつか代名詞になるだろう。

2007-05-16 | ■本
米国漫画「トムとジェリー」なんかによく出てきますが、押したり引いたり、斜面を滑り落ちたりといった単純な動きの連鎖で、最終的に思いがけない結果を見せてくれるという「仕掛け」があります。こうした仕掛けを描いた漫画を多く残した米国の漫画家、ルーブ・ゴールドバーグRube Goldberg (1883-1970) に因んで、「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」と呼ばれます。 ルーブ・ゴールドバーグ・マ . . . 本文を読む