仕事帰りに見てきました。1968年の京都が舞台で主人公は高校生。私なんかはちょっと下の世代に属するのですが、ズバリ彼らと同年代の職場で隣の席の方が「いい映画だ」としきりに言うもんだから、予定(本当は「Ray」を見るつもりだったのですが)を急遽変更してパッチギ!にしたのでした(その映画館はミニミニシネコンなので、3本の映画を同時上映しているのです)。
この映画を「ロミオとジュリエット」だと言う人もいますが、私はそれはちょっと違うんじゃないかと思います。「ロミオ」たる主人公康介が、「ジュリエット」の朝鮮学校のキョンジャに恋をするのですが、妹をめぐってキョンジャの兄アンソンと対立するような場面はほとんどありませんし、何よりも、この映画は康介とキョンジャの淡い恋物語を基軸としながらも、もっと深い何かを描いているのだと思います。
日本人とのけんかの挙げ句、事故に遭って死んだ在日の友人の葬式で、一人の老人が主人公康介に向かって語りかける場面が印象的。彼はこみあげる怒りを抑えながら、日本に強制連行されてきた時の様子を語り、「ここにいるな、お前は帰れ!」と叫ぶ。「お前たちは何も知らない。それは、これからも何も知らないで生きていくということだ」…。返す言葉もなく、ただうつむくだけの康介。私は、康介にこう言わせたかった。「あなたを強制的に日本に連れてきて、あなたを重労働に駆り出し、あなたの脚を傷つけた日本人と、この僕は違うんだ!」
しかし、康介は何も言わず、何も言えずにトボトボと帰路につきます。途中、康介は大事にしていたフォークギターを橋の欄干にぶつけて壊し、鴨川に流してしまうのです。それは、「何も知らない」くせに、いい気になってイムジン河を歌っていた自分に対する怒りだったのでしょうか。
「あなたを強制的に日本に連れてきて、あなたを重労働に駆り出し、あなたの脚を傷つけた日本人と、この僕は違うんだ!」 やっぱり駄目でしょうかね、このセリフ。在日の人にとっては、日本人は昔も今も変わらないのでしょうか。だとすれば、イムジン河は、朝鮮半島の北と南を隔てる深い河であるだけでなく、在日と日本人、あるいは朝鮮半島と日本のあいだを隔てる河をも意味することになるのでしょうか…。
キョンジャの兄で、朝鮮学校の番長格を務めるアンソンは、北朝鮮に帰って祖国代表としてワールドカップに出場するという夢を抱いています。彼が「ワールドカップでは北朝鮮の活躍に感動した」と言う場面がありました。帰ってから調べてみたら、それは1966年のワールドカップで北朝鮮がイタリアを破り、最終的にベスト8に進んだことを指すのだとわかりました。考えてみれば、今日は2006年ワールドカップアジア地区最終予選の日本対北朝鮮戦の日だったのですね。サッカーにあまり興味のない私は、今日の試合をテレビ観戦することもなく、「パッチギ!」を見ていたのですが、「ワールドカップ」、「北朝鮮」という2つのキーワードがもたらした偶然にちょっとびっくりしました。
いい映画でした。高校生を演じていた役者が、あまり見たことのない俳優が多かったことも新鮮でよかった。もちろん脇を固める俳優も、それぞれいい味出してましたね。ラジオ局のディレクター役の大友康平の迫力。オダギリジョーが演じている「坂崎」(この名前はアルフィーの「坂崎幸之助」からとったらしいです。実家が酒屋だし。もっとも、「坂崎」は年代的には坂崎幸之助氏の兄くらいの年代という設定)のサイケな格好。それから、毛語録を掲げて教室でアジる先生は光石研だったか!と気づいたのは映画の終盤になってからでした。
「パッチギ!」>>Amazon.co.jp
この映画を「ロミオとジュリエット」だと言う人もいますが、私はそれはちょっと違うんじゃないかと思います。「ロミオ」たる主人公康介が、「ジュリエット」の朝鮮学校のキョンジャに恋をするのですが、妹をめぐってキョンジャの兄アンソンと対立するような場面はほとんどありませんし、何よりも、この映画は康介とキョンジャの淡い恋物語を基軸としながらも、もっと深い何かを描いているのだと思います。
日本人とのけんかの挙げ句、事故に遭って死んだ在日の友人の葬式で、一人の老人が主人公康介に向かって語りかける場面が印象的。彼はこみあげる怒りを抑えながら、日本に強制連行されてきた時の様子を語り、「ここにいるな、お前は帰れ!」と叫ぶ。「お前たちは何も知らない。それは、これからも何も知らないで生きていくということだ」…。返す言葉もなく、ただうつむくだけの康介。私は、康介にこう言わせたかった。「あなたを強制的に日本に連れてきて、あなたを重労働に駆り出し、あなたの脚を傷つけた日本人と、この僕は違うんだ!」
しかし、康介は何も言わず、何も言えずにトボトボと帰路につきます。途中、康介は大事にしていたフォークギターを橋の欄干にぶつけて壊し、鴨川に流してしまうのです。それは、「何も知らない」くせに、いい気になってイムジン河を歌っていた自分に対する怒りだったのでしょうか。
「あなたを強制的に日本に連れてきて、あなたを重労働に駆り出し、あなたの脚を傷つけた日本人と、この僕は違うんだ!」 やっぱり駄目でしょうかね、このセリフ。在日の人にとっては、日本人は昔も今も変わらないのでしょうか。だとすれば、イムジン河は、朝鮮半島の北と南を隔てる深い河であるだけでなく、在日と日本人、あるいは朝鮮半島と日本のあいだを隔てる河をも意味することになるのでしょうか…。
キョンジャの兄で、朝鮮学校の番長格を務めるアンソンは、北朝鮮に帰って祖国代表としてワールドカップに出場するという夢を抱いています。彼が「ワールドカップでは北朝鮮の活躍に感動した」と言う場面がありました。帰ってから調べてみたら、それは1966年のワールドカップで北朝鮮がイタリアを破り、最終的にベスト8に進んだことを指すのだとわかりました。考えてみれば、今日は2006年ワールドカップアジア地区最終予選の日本対北朝鮮戦の日だったのですね。サッカーにあまり興味のない私は、今日の試合をテレビ観戦することもなく、「パッチギ!」を見ていたのですが、「ワールドカップ」、「北朝鮮」という2つのキーワードがもたらした偶然にちょっとびっくりしました。
いい映画でした。高校生を演じていた役者が、あまり見たことのない俳優が多かったことも新鮮でよかった。もちろん脇を固める俳優も、それぞれいい味出してましたね。ラジオ局のディレクター役の大友康平の迫力。オダギリジョーが演じている「坂崎」(この名前はアルフィーの「坂崎幸之助」からとったらしいです。実家が酒屋だし。もっとも、「坂崎」は年代的には坂崎幸之助氏の兄くらいの年代という設定)のサイケな格好。それから、毛語録を掲げて教室でアジる先生は光石研だったか!と気づいたのは映画の終盤になってからでした。
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