
ジャック・マイヨールとエンゾ・モリナーリの「潜水競争」がこの映画のテーマですが、もう一つ、ジャックと、彼の澄んだ目に恋をするジョアンナ、二人の愛もなかなかです。
「海底はつらい」
「なぜ?」
「上がってくる理由が見つからないからだ」
「私もそうよ」
「なぜ?」
「ここに残る理由がないわ」
もともとジャックは、ジョアンナが「イルカに似ている」ことに惹かれるのですが、イルカとは、彼にとって「人魚」なのです。地上に暮らす人間と話したり笑ったりするよりも、彼はむしろ人魚と暮らしたい。ジョアンナは、そんな自分をさらけ出すことができる初めての人だったのでしょう。しかし、深い海の蒼さに身を委ねたいジャックと、二人で子どもを育てて「普通の」家庭を築きたいジョアンナは、深く愛し合うがゆえに互いの領域に一歩を踏み出すことができません。決して埋まることのないすき間。もどかしく切ない部分です。
何度見ても鳥肌が立つ最後の場面。
"Go,go and see my love."
ジョアンナの言葉とともに、ジャックは深い海へと送り出されます。真っ暗な海の中で、1匹のイルカに誘われるように、海上へ、そして地上へとつながる潜水用の器具からそっと手を放すジャック。その先には…。
"Go and see my love."─この言葉には伏線があります。ジャックがニューヨークにいるジョアンナに国際電話で話す物語です。
─人魚と暮らすには、深い海に潜らなければならない。そこは、あまりにも深すぎてブルーは消え、青空も思い出となる世界。海底の静けさの中でじっと沈黙する。そして、人魚のために死んでもいいと決意すると、人魚たちがその愛を確かめに近づいてくる。その愛が本当に真実で純粋なもので、人魚の意にかなえば、人魚たちは自分たちの世界へと導いてくれる。永遠に。─
ジャックは「人魚」に会いたかったのでしょう。というより、彼自身が人魚になりたかったのかもしれません。先日読んだ『ウォーレスの人魚』の密(ひそか)を思い出しました。人魚の血をひく人間。彼らの居場所はやっぱり海の中なのです。ジャックは、「イルカに似ている」ジョアンナを想いながら、彼女への愛を確かめるために深い深い海に漂っていきます。
男の勝手と言えば勝手。女の強さといえば女の強さ。しかし、もどかしく切ないすき間があるものはどうしようもないのです。
「グラン・ブルー」>>Amazon.co.jp
「海底はつらい」
「なぜ?」
「上がってくる理由が見つからないからだ」
「私もそうよ」
「なぜ?」
「ここに残る理由がないわ」
もともとジャックは、ジョアンナが「イルカに似ている」ことに惹かれるのですが、イルカとは、彼にとって「人魚」なのです。地上に暮らす人間と話したり笑ったりするよりも、彼はむしろ人魚と暮らしたい。ジョアンナは、そんな自分をさらけ出すことができる初めての人だったのでしょう。しかし、深い海の蒼さに身を委ねたいジャックと、二人で子どもを育てて「普通の」家庭を築きたいジョアンナは、深く愛し合うがゆえに互いの領域に一歩を踏み出すことができません。決して埋まることのないすき間。もどかしく切ない部分です。
何度見ても鳥肌が立つ最後の場面。
"Go,go and see my love."
ジョアンナの言葉とともに、ジャックは深い海へと送り出されます。真っ暗な海の中で、1匹のイルカに誘われるように、海上へ、そして地上へとつながる潜水用の器具からそっと手を放すジャック。その先には…。
"Go and see my love."─この言葉には伏線があります。ジャックがニューヨークにいるジョアンナに国際電話で話す物語です。
─人魚と暮らすには、深い海に潜らなければならない。そこは、あまりにも深すぎてブルーは消え、青空も思い出となる世界。海底の静けさの中でじっと沈黙する。そして、人魚のために死んでもいいと決意すると、人魚たちがその愛を確かめに近づいてくる。その愛が本当に真実で純粋なもので、人魚の意にかなえば、人魚たちは自分たちの世界へと導いてくれる。永遠に。─
ジャックは「人魚」に会いたかったのでしょう。というより、彼自身が人魚になりたかったのかもしれません。先日読んだ『ウォーレスの人魚』の密(ひそか)を思い出しました。人魚の血をひく人間。彼らの居場所はやっぱり海の中なのです。ジャックは、「イルカに似ている」ジョアンナを想いながら、彼女への愛を確かめるために深い深い海に漂っていきます。
男の勝手と言えば勝手。女の強さといえば女の強さ。しかし、もどかしく切ないすき間があるものはどうしようもないのです。
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