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やっぴBLOG

「聞き書き甲子園」

2016-05-22 | └キャリア教育

最近なんでもかんでも「○○甲子園」ですが、この「聞き書き甲子園」は、第14回を数える、けっこうな古株。全国各地の「森の名手・名人」、「海・川の名人」を高校生が訪問し、その技術や技能を実際に見て体験し、名人たちのこれまでの経歴や思いのたけを聞き出して、文章にまとめるというのが趣旨です。甲子園といっても、特に順位を付けるわけではなく、100人の高校生による「作品」が1冊の文集にまとめられています。

川漁師、炭焼き、シイタケ栽培、かんじき作り、木材加工、和紙製作、漆塗り、のこぎり鍛冶、桶職人など、海や森、川を舞台として、自然と共に生き、生きる糧を得て暮らしている人々がいます。高校生が彼らに直接会う機会って、なかなかないだろうなあと思います。

多くの高校生が、最初は不安感に駆られながらも、初めて体験する伝統技術に素直に驚き、感動したと綴っています。そして、そのような技能を守り続ける名人たちに尊敬の念を抱いています。深浦町の元マタギで現在白神山地の自然ガイドを務める板谷正勝さんのもとを訪れた札幌の高校生(女子)は、「取材を終えての感想」に、こんなことを書いています。

" 突然電話し、突然押しかけた私に何度も「よく来たなぁ」と言ってくださった優しさや、ぎこちない私の質問にも答えてくださった親切心、板谷さんの人柄の良さと強さ、自然と暮らす明るさとつましさ、すべてが私にとって新鮮で、またどこか懐かしいものでした。「ここには何でもあるよ」と笑顔でおっしゃった板谷さんの言葉が、心地良く私の心に残っています。物があふれる都会に住む(住みたいと思っている)私たちが再考すべきヒントをたくさん頂きました。"

いいねえ! 最後に「いつか板谷さんと、ハタハタをつまみに晩酌をしたいです。」だって。 これまたいいねえ!!

こんなふうに、高校生が普段の自分の生活と次元の異なる社会を体験するのもいいものですね。もしかしたら、学校や社会になじめない子などが新しい一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。

農山漁村の人口が減少し、こういう生業で暮らす人たちもどんどん減る中、農山漁村への移住促進・回帰、そして新たな後継者の養成という意味からも、「聞き書き甲子園」はすごく価値があると思っています。


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