公益社団法人読書推進運動協議会発行の会報に掲載されていた読書会「猫町倶楽部」の紹介記事を読んで、おお、こういう集まりが青森でもできないかなあと思いました。
「猫町倶楽部」は、メンバー数7,000人を超す巨大な読書サークルですが、2006年にスタートした時はたった4人で始めたビジネス読書会だったそうです。様々なジャンル別に読書会が開催されているようですが、記事で紹介されていたのは、東京・代官山のカ . . . 本文を読む
今更ですが…。
2010年の直木賞受賞作、池井戸潤「下町ロケット」。絶対読みたいと思っていたのですが、今頃になってようやく読めました。で、期待通り超面白くって。これはまぎれもなく、大人の青春小説です。
東京・大田区の中小企業、佃製作所が開発したロケットエンジン。その性能の高さゆえに起こる、特許をめぐる大企業との確執、駆け引き、争いがメインストーリー。基本的に大企業が「悪」で、その横暴に立ち向か . . . 本文を読む
政治家になりたいと思ったことは一度もありませんが、「市長」にはなんとなく憧れを持っていました。そのきっかけは、『レ・ミゼラブル』。ジャン・バルジャンは、過去を隠してある町の「市長」になるのですが、市民から一心に信頼と尊敬を集めるその姿が、私の最初の「市長像」だったのです。市長ってかっこいいじゃんってずっと思っていました。
市会議員や県議会議員にしても、あるいは国会議員でさえ、自分の思う通りの「政 . . . 本文を読む
『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ、昨年12月に3冊目が出ました。法政大学教授の坂本光司さんが、日本中の「大切にしたい会社」を実際に取材して、その中から今回紹介されているのは7社。
東日本大震災後に刊行されたこの本には、「被災者を支援する被災企業」として仙台市の葬儀社、株式会社清月記も紹介されています。
「葬儀社は究極のサービス業」として、「絶対にノーと言わないサービス」を長年心がけて . . . 本文を読む
東京オリンピック。
1964年、というより、やはり「昭和39年」だろうなあ。オリンピックと言う世界的な大イベントにもかかわらず、日本にとっては、やっぱり「昭和39年」。同世代の人が集まると、「東京オリンピックの時何歳だったか」だけで盛り上がったりもしますもんね。
時は高度成長時代の真っ只中。競技の舞台となる国立競技場や代々木体育館、日本武道館といった施設の建設、 . . . 本文を読む
高校卒業後、彼女は美術短大に進学し、在学中からフリーペーパーなどに漫画やコラムを発表するようになります。ただ、世間の目はそれほど甘くなかったようです。芽の出ない日々が続く。
彼女が世に出るきっかけとなったのは、ナンシー関の突然の死去だったというのには驚きました。ナンシー関といえば、キレのいい観察眼と恐れることを知らぬ毒舌、そして絶妙な消しゴム版画。青森の生んだ天才。彼女に代わる人材として、辛酸な . . . 本文を読む
辛酸なめ子―。
まずこのふざけたペンネームである。「池松江美」という素敵な本名がありながら、なぜあえて、辛酸をなめる子なのか?
数年前、テレビのバラエティによく出ていた頃は、このインパクトある名前に、見事なサブカルへの傾倒ぶり、そして地味な見た目とは裏腹のぶっとび言動の数々に、なんだこの人は、とひそかに気になっていたものでした。週刊誌の連載も、目に入れば必ず読んで、おー、相変わらず我が道を行く . . . 本文を読む
筆者の三輪康子さん、八戸市出身ということで、地元紙(デーリー東北)に書評が載っていたので、さっそく読んでみました。
三輪さんは、新宿・歌舞伎町にあるチェーンホテルの支配人。場所柄、暴力団関係者が我が物顔でのさばるホテルに着任した彼女は、強い意志と態度をもってヤクザたちと向き合う。彼女は、「暴力団関係者は泊めない」というルールに徹底的にこだわり、ヤクザの暴言や脅しにも決して屈しない。それは、「クレ . . . 本文を読む
私の読書は「並行読み」なんです。唐突ですが。
手元にある何冊かの本を、並行して読む。ある本を何十ページか読んだら、別の本を数ページ、一段落したところで、また別の本を数十ページ…といった具合に、次々ととっかえひっかえしながら読み進んでいく。次々と、といっても、1日に読むのは多くて5冊くらいですが。本来、読書というのは、1冊の本を最後まで読み切るのが正解なのでしょう。並行読みって、きっと「悪い癖」の . . . 本文を読む
『海炭市叙景』が映画化されて再び脚光を浴びている佐藤泰志。
大学生の頃、ふと本屋で見つけて手にした彼のデビュー作『きみの鳥はうたえる』(1981年芥川賞候補作品)は、いろいろな意味でショッキングな小説だったことを今でも覚えています。当時読み始めていた村上春樹となんと対照的だったことか。同じ「僕」が語る物語なのに、どうしてこうも、こっちの「僕」とあっちの「僕」はチガっているのか!
実は、佐藤泰志 . . . 本文を読む
手紙形式の小説といえば、私にとっては井上ひさしの『十二人の手紙』です。高校時代に読んでからというものの、何度も読み返し、ことあるごとに人にも勧めてきました。この本の中に「人生のすべて」がある!と思ったものでした。正確には、「十二人」ではなく、数多くの手紙や公式書類で構成される「十二個」の物語。で、最後の1編で、それまでの11の物語に出てきた手紙の書き手がすべて登場するという巧みさにも、参った!って . . . 本文を読む
ドキドキしてハラハラして、
一生懸命ついていくだけで精いっぱい。
こういうタイトルの本は普段なら絶対読まないんだけど、岡本太郎だから読んでみました。
二人が、いろいろな本に書いている「愛する言葉」を集めて再編集したエッセンス版。岡本太郎の言葉は青字、敏子の言葉は赤字で示される。
岡本太郎の言葉よりも、私には敏子の言葉のほうが印象深かった。岡本太郎の「愛する言葉」も、どれも岡本太郎らしくて . . . 本文を読む
著者は、スリランカに住む上座仏教(テーラワーダ仏教)の長老。「テーラワーダ」というのは、パーリ語(古代インドの言葉)で、“thera”長老の“vâda”教えを意味するそうです。インドから中国、チベットを経て朝鮮半島や日本に伝えられた北伝仏教を「大乗仏教」というのに対して、スリランカ、タイ、ミャンマーなど南伝仏教を、テーラワーダ仏教とか初期仏教、上座部仏教などと呼びます。
大乗仏教が哲 . . . 本文を読む
デビュー作『風の歌を聴け』に続く村上作品2本目の映画化(たぶん)。まだ映画は見ていませんが、その前にもう一度原作を読んでおかなくちゃと思って、斜め読みしてみました。
それにしても、この本、1987年9月10日にリリースですから、もうかれこれ四半世紀近く前に世に出た本なのですね。私の持っている本は同じ年の10月12日付けの「第3刷」。春樹久しぶりの長編、ということで、当時からすごい売れゆきだったん . . . 本文を読む
『青森へ』で思い出したのが、しばらく前に読んだ椎名誠の『北への旅』(PHP)。北東北3県(青森、秋田。岩手)を対象エリアとする雑誌「ラ・クラ」の連載の取材で北東北を回った旅と、写真展のための写真撮影の旅のことをまとめたものです。
椎名誠は、ありきたりの観光地などには目もくれず、「フツー」の庶民の暮らしにずかずか入り込んでいく。たとえば、八戸の「えんぶり」を取材した時も、市役所の前の広場のステージ . . . 本文を読む