第三部 マリユス
第七編 パトロン・ミネット(岩波文庫第2巻p.596~p.611=第2巻了)
5ヶ月近く間が空いてしまいました。今回は、岩波文庫で言えば、第2巻に収められている最後の編。…これで『レ・ミゼラブル』全4巻のちょうど半分が「覚え書き」されることになります。あと残り半分か…。先は長い。
例によって、ユゴーは本筋から離れて、突然、カンケーない話を始める。酒席で「くどい」人ってよくいま . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第六編 両星の会交(岩波文庫第2巻p.566~p.595)
春は出会いの季節。新しい恋が生まれちゃったりする季節。というわけで、てなことでもないのですが、久々の『レ・ミゼラブル』は、ちょうどそんな「出会い」の場面を紹介します。
この編のタイトルにある「両星」とは、マリユスとコゼットのことでしょうが、まるで七夕の伝説、織姫と彦星のよう。幾万もの星々の中で、たった二つの星が出会う . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第五編 傑出せる不幸(岩波文庫第2巻p.533~p.565)
亡き父を巡る祖父との確執が原因で家を出たマリユスは、カフェ・ミューザンにたむろする「政治青年」たちを知り合いますが、父の仕えたナポレオンを絶対視したい彼にとって、青年たちが「共和派」であることはいかんともしがたい事実でした。
第五編では、マリユスのその後の3年間の苦労が足早に語られます。
「一 窮迫のマリユス」→ . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第四編 ABCの友(岩波文庫第2巻p.482~p.532)
父をめぐる確執から、祖父ジンノルマン氏の庇護を離れたマリユス。ここでユゴーは、のちにマリユスが加わることになる政治的な団体、「ABC友の会」について触れています。
「ABC友の会」とは実際に存在した団体です。革命の勃発から共和制、ナポレオンの帝政、復古王朝と続く中で、当時数多くの「政治的秘密結社」が生まれました。上流 . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第三編 祖父と孫(岩波文庫第2巻p.418~p.481)
タイトルの「祖父と孫」というのは、もちろんジンノルマン氏とマリユスを指します。老いてなおさかんな好色漢、ジンノルマン氏。鹿島茂氏の『「レ・ミゼラブル」百六景』によれば、それは「最晩年にいたるまで女狂いの止まらなかった」ユゴー自身を連想させるのだとか。ふうん、そうだったのか!
そのジンノルマン氏は、幼い孫のマリユスを連れ . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第二編 大市民(岩波文庫第2巻p.401~p.417)
世界史など必修科目の未履修問題で、政府は補修の時間を最大50時間まで引き下げることを決定しました。50時間の「受験に関係のない世界史」。そのうち何時間分の題材として『レ・ミゼラブル』を取り上げるのも、決して意味のないことではない…と私は思うんです。
『レ・ミゼラブル』後半の主要人物、マリユス。彼の登場までもう少しユゴーは . . . 本文を読む
第三部 マリユス
第一編 パリーの微分子(岩波文庫第2巻p.367~p.400)
『レ・ミゼラブル』覚え書きも、ようやく第三部までたどり着きました。
第一部 ファンティーヌ。第二部 コゼット。そして第三部は「マリユス」。この壮大な物語の後半の最重要人物、マリユスがいよいよ登場します。
別にもったいをつけているわけでもないのでしょうが、ユゴーはいつものとおり、そう簡単にはマリユスを登場させてく . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第八編 墓地は与えられるものを受納す(岩波文庫第2巻p.273~p.364)その3
それから一時間の後、まっくらな夜の中を、二人の男と一人の子供とが、ピクプュス小路の六十二番地に現われた。年取った方の男が槌を取り上げて、呼鐘をたたいた。
その三人は、フォーシュルヴァンとジャン・ヴァルジャンとコゼットであった。
棺の中から無事「生き返る」ことができたジャンは、フォーシュルヴァン . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第八編 墓地は与えられるものを受納す(岩波文庫第2巻p.273~p.364)その2
フォーシュルヴァンとジャンは、ジャンを棺の中に入れて修道院の外に出る策略について話し合います。棺を置く部屋に続く小さな物置きにジャンは前の晩から隠れている。その部屋にはフォーシュルヴァン以外は誰も入ってこない。棺を閉じて、最後に釘を打つのはフォーシュルヴァンの役目。きっかりしまらないように釘を . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第八編 墓地は与えられるものを受納す(岩波文庫第2巻p.273~p.364)その1
明日からまた新しい年度が始まります。異動があって、別の部署で仕事をすることになったので少し緊張気味ですが、あまり構えず、自然体でやっていけたらいいなと思っています。
久しぶりに『レ・ミゼラブル』をひもときます。
ジャヴェルに追われて小路に追い込まれたジャン・ヴァルジャンは、超人的な腕力でコゼ . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第七編 余談(岩波文庫第2巻p.251~p.272)
第六編で修道院について熱く語ったユゴーは、なお書き足りなかったと見えて、「余談」というタイトルをわざわざ付してさらに修道院について述べます。例によってしばしストーリーと離れて、ユゴーの「修道院論」を拝聴しなければなりません。もちろん、「余談」らしく、すっとばして読んでもかまわないでしょう。
ユゴーは「歴史、理性、および真理 . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第六編 プティー・ピクプュス(岩波文庫第2巻p.204~p.250)
ジャン・ヴァルジャンとコゼットが逃げ込み、思いもよらないフォーシュルヴァンとの再会を果たしたのは、プティー・ピクプュス修道院でした。
二人がしばらく暮らすことになるだけでなく、コゼット自身が寄宿生として学ぶことにもなるプティー・ピクプュス修道院。第六編は、この修道院の歴史と修道女たちの生活ぶりを克明に描いて . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第五編 暗がりの追跡に無言の一組(岩波文庫第2巻p.153~p.203)#2
ほぼ「月刊」になりつつある『レ・ミゼラブル』シリーズですが、しつこく続きます。
ジャヴェルの執拗な追跡から、超人的な力で逃げ切ったジャン・ヴァルジャンとコゼット。
逃げ込んだ庭の隅で、コゼットは石を枕にして眠ってしまいます。ジャンは注意深く庭に隣接する建物の様子をうかがいます。そこはまるで「墓場」 . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第五編 暗がりの追跡に無言の一組(岩波文庫第2巻p.153~p.203)#1
青森も今日でようやく梅雨明け。カラッとした暑い夏を期待したいところです。久しぶりにレ・ミゼラブルいきます。
ジャヴェルらしい人物をゴルボー屋敷の近所で見かけたジャン・ヴァルジャンは、コゼットを連れてパリの街をさまよい歩きます。
あの男がジャヴェルであったかどうかも確かでなければ、またジャヴェルであ . . . 本文を読む
第二部 コゼット
第四編 ゴルボー屋敷(岩波文庫第2巻p.127~p.152)
今日7月14日はフランス革命記念日。日本では「パリ祭」と呼ばれていますが、これは、1933年、ルネ・クレール監督の映画「ル・カトルズ・ジュイエ/7月14日」の日本封切りにあたり、配給会社が邦題を「巴里祭」としたことに由来しています。
ジャン・ヴァルジャンの物語、いえ、今やジャンとコゼットの物語は、パリのはずれに立つ . . . 本文を読む