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「強い米国」のシンボル、チャールトン・ヘストン死去。

2008-04-17 | ■映画
先日、俳優チャールトン・ヘストンが死去しました。凶年84歳。アルツハイマー病に苦しみ、晩年の写真を見ると、あの若き日の精悍な顔立ちと結びつくまで一瞬間があいてしまうような衰えぶりでした。

チャールトン・ヘストンといえば、私にとっては、「十戒」(1956年)、「ベン・ハー」(1959年)、そして「猿の惑星」(1968年)の3本に尽きます。前2本は言わずと知れたハリウッドの黄金時代を飾る歴史大作。「十戒」で演じたモーセ、「ベン・ハー」のジュダ・ベン・ハー、「猿の惑星」のジョージ・テイラーと、いずれにも共通するのは「マジメで、それだけに苦悩する」という役柄。まるでギリシア彫刻のようと評された肉体美と端正なマスクを持つチャールトン・ヘストンだからこそ、似つかわしい。「苦悩」は当てはまらないかもしれませんが、大岡越前を演じていた加藤剛が、なんとなく彼のタイプと重なります。どんな時でも決して「はしゃぎすぎないだろうな」というイメージが…。

チャールトン・ヘストンのもう一つの顔は、銃規制反対論者としての顔。マイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」でもさんざん批判の対象とされてましたね。全米ライフル協会の会長を長く務めた彼は、現ブッシュ政権の成立にも大きな影響力を持ったと言われています。もともとは彼も人種差別にも反対していたリベラルでしたですが、1964年の大統領選挙の共和党候補で、公民権法反対の立場に立っていたバリー・ゴールドウォーター上院議員の影響もあり、しだいに「右傾化」していったようです。そういう経歴も、「頼れる男」、「強い男」という印象を強くすることになったのでしょうか。ある意味では最も「米国らしい米国人」だったのかもしれません。

ただ、朝日新聞に掲載されていた川本三郎氏による追悼記事(2008年4月9日付け)を読むと、彼は決して「強い男」ばかりを演じていたわけではないようです。見たことのない出演作がたくさん挙げられていました。「大いなる西部」(ウィリアム・ワイラー監督、1958年)、「黒い罠」(オーソン・ウェルズ、1958年)、「ウィル・ペニー」(1967年)など。また、アルツハイマーであることを公表してから出演した「マイ・ファーザー」(2003年)では、ナチスの強制収容所で生体実験に関わった悪名高い医師メレンゲを演じているそうで、川本氏は、「鬼気迫るものがあった。こんな映画に出るとはただ者ではない」と言っています。

「強い男」ではないチャールトン・ヘストンも、見ておかなくちゃ。


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1 コメント

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Unknown (ふー)
2019-09-16 08:35:44
メンゲレね。何メレンゲって。
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