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カクレマショウ

やっぴBLOG

「Ray」─ソウルにしびれる映画!

2005-02-16 | ■映画
私が初めてレイ・チャールズの名前を知ったのは、吉田拓郎を通してでした。というのは、「よしだたくろうオン・ステージ ともだち」(1971年)というライブ・アルバムで「わっちゃいせい」というへんてこりんな歌を歌っているのですが、これがレイ・チャールズの"What'd I Say"(1959年)のカバーなのです。いや、正しく言うと、カバーしているのはあのかっこいいイントロ部分と最初のワンフレーズだけですが。オチまでつけてます。しかし、当時の拓郎がレイ・チャールズ的R&Bに傾倒していたのではないかということを十分うかがわせてくれる「曲」(?)です。初期の拓郎のアルバムには、なんとかのブルースという曲がけっこう見られますし、その原点はレイ・チャールズだったのかもしれません。

あ、つい拓郎の話になってしまいましたが、「Ray」です。先週、急遽「パッチギ!」に変更したため見ていなかったこの映画を見てきました(今日の観客は私を入れて6人。いつものことながら、よく持ちこたえていますこの映画館!。しかもなんと午後6時55分からの「レイトショー」で1,000円で見られるのですよ。その代わりスクリーンはびっくりするほど小さいけどね)。

のっけから"What'd I Say"のイントロがタイトルバックに流れ、首根っこをつかまれるかのように、レイ・チャールズの世界に引きずり込まれました。"What'd I Say"は、巷間言われているように、あるステージで時間が15分ほど余ったので、即興的にレイがピアノを叩き、それにコーラスやバックバンドがノッてできた曲です。映画でも、このシーンはもっともぞくぞくさせられる場面の一つでした。

レイは、昨年6月に73歳の波瀾万丈の生涯を閉じていますが、この映画は、亡くなってから作られたのではなく、テイラー・ハックフォード監督がなんと15年も前から構想をあたためていたものなのだそうです。主役のレイを演じる役者も、ずいぶん前からジェイミー・フォックスに決まっていたと言います。誰もが驚くのは、ジェイミー・フォックスがレイをあまりにもそっくりに演じていることです。単なる「形態模写」ではなく、まるでレイの心まで知り尽くしたかのような迫真の演技となっています。今年度のアカデミー賞の主演男優賞はほぼ彼でキマリでしょう! 

彼が演じる盲目のレイが様々な困難を克服しながら、音楽の世界でたぐいまれな才能を発揮し、ゴスペルとR&B(リズム&ブルース)を融合させた新たなジャンル、つまり「ソウル」を生み出していきます。レイが作り、ピアノに乗せてシャウトする歌は全米ヒットチャートを席巻し、日本をはじめ世界中にファンが群がるようになっていきます。

しかし、こうした成功物語の裏には、彼の成功を妬む者や、盲目であることを利用しようとする者がいたり、また、女とヘロインに溺れるレイ自身の姿もありました。レイを立ち直らせたのは最後は家族の愛だった…というのは米国がもっとも好むストーリーと言えるでしょう。

時折、少年時代のレイがフラッシュバックされます。トラウマとなって長くレイを苦しめることになる弟の溺死事故、そして何よりも「母」。31歳で亡くなった母の強くて優しい愛がレイの人生の根底に流れていたのだと思います。ヘロインの禁断症状に苦しむレイが夢の中で再会した母は、レイを抱きしめ、こう言います。「あなたは心の中まで盲人になっている」…。レイの母親は、こういうストレートな言い方が似合う女性だったのでしょう。レイにもそんな性格が遺伝しているような気がしました。

映画で描かれているように、レイは、1961年、ジョージア州での人種隔離施設での公演を直前にキャンセルするという事件を起こし、生まれ故郷である同州で1979年まで公演を行うことを許されませんでした。ただ、彼の歌そのものには、公民権運動を支持するとか黒人差別撤廃というメッセージを盛り込んだものはさほど多くないと言えます。彼の歌は、むしろ人生そのものをつづったものでした。愛人とのケンカのさなかに「旅立てジャック」が作られたというエピソードが示しているように、人生の起伏がそのまま多くの名曲に結びついているようです。

ところで盲目のシンガーと言えば、もう一人、スティーヴィー・ワンダーがいますが、彼の人生を映画にしたら、全く異なる映画になりそうです。映画「スティーヴィー」。その映画は、もっと社会的なメッセージがふんだんに盛り込まれたものになることでしょう!

ちょうど昨日朝のニュースで2005年グラミー賞が発表されたというニュースが流れていました。レイ・チャールズは、年間最優秀アルバム、年間最優秀レコードなど、5部門で受賞という快挙を成し遂げたとか。「追悼」という側面もあるのでしょうが、今でもレイの歌は人々の心に訴えるパワーを持っていることがわかりますね。

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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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しばらくは何もいらない (れごまま)
2005-02-20 20:49:13
こんばんは。2回目の登場です^^v

昨日見てきました。2時間半という長時間だったにもかかわらず、エンドクレジットのアンチェインマイハートを聞いているとき、ずっとこのままエンドクレジットが続けばいいのに(まだまだ聞いていたい!)と思ってしまいました。

毎週のように劇場に足を運んでいますが、しばらくはいまの余韻を上書きされたくないので、今後に予定している『ボーンスプレマシー』はちょっと先に延期しようかと思っています。

ジェイミー・フォックスはもちろん素晴らしかったですが、やはり母としては、母親役のシャロン・ウォレンがよかったです。抑えた演技の中に母親の愛情がにじみ出ていました。

本当に素晴らしい映画でしたが、エンドクレジットが終わって場内が明るくなる前にスクリーンにはUS○のコマーシャルが・・・(-_-;もう少し余韻に浸っていたかったのに、嫌な形で一気に現実に引き戻されました。最近日本人のやることに節操の無さを感じてしまうのは私だけでしょうか?
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確かに… (yappi)
2005-02-22 23:10:41
そういう経験をすると、ホントに「売らんかな」精神が見え見えでイヤになってしまいますね。

私もレイの母親役、好きです。この映画に出てくる女性はあまり好きになれないタイプばかりでしたが、彼女だけはいいです。これが映画デビューだとか。これからに期待したいです。
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Unknown (ツッチー)
2005-06-05 21:09:40
トラバありがとうございました。

たくろうさんのファンですか?

私はこのライブのLPレコード持っていますよ。

そしてこのコンサートにも行きました。
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