映画「鉄コン筋クリート」で、シロが言う。
「安心、安心」
今年、たくさんの子どもたちの命が失われました。その中には、自ら絶ってしまった命もありました。どんな理由があるにせよ、大人が子どもたちを守れない社会は成熟した社会とは言えないでしょう。
子どもたちの世界が歪んでいるとするなら、それは大人の社会が病んでいるからにほかなりません。大人がきちんとした後姿を見せられるような社会なら、子どもたちも . . . 本文を読む
32歳という若さで死んでしまったことで、彼の生涯のほとんどは戦いに費やされることになりました。彼の軍事的才能は遺憾なく発揮されました。彼は司令官でありながら、常に自ら先頭に立って戦いました。命の危険にさらされたのも一度や二度ではありません。しかし、そうやって征服した領土を実際に統治していくことは彼にはできませんでした。彼の政治的才能は未知数のままなのです。彼はいったいどんな「統治」をしたかったので . . . 本文を読む
「アレキサンダー」
こういう歴史映画が公開されるたび、なんで「今」?と思います。なんで今、アレキサンダー大王なのか? この映画の公開は2005年ですが、紀元前4世紀、今から2,300年も前の人物がなぜ今取り上げられるのか?しかもメガホン取ったのはご存じ「社会派」のオリバー・ストーン。アレキサンダーの「征服戦争」を米国のイラク戦争と重ね合わせる人も多いようですが、どうなんでしょう? ちょっと意味合 . . . 本文を読む
地元紙の記事。コンクリート護岸の施された今別川に巨石を投入し、魚を呼び戻そうという試みが紹介されていました(2006年12月27日付け東奥日報)。
2年前から行っているのだそうで、今回は25トンもの巨石が投入されたとか。ショベルカーを使って、岸辺近くに巨石を積み上げて魚礁を作ったり、川の真ん中に放り込んで水流に変化を与えるんだそうです。
今別川に限ったことではなく、コンクリートの衣をまとった無 . . . 本文を読む
最近よく目にするのが「社会起業家」という言葉。2006年12月27日付けの日本経済新聞の記事を借りれば、「社会起業家」とは、「福祉や環境、街づくりなど地域や社会の問題解決をボランティアではなく、事業として目指す」起業家のこと。
同紙で紹介されているのは、横浜市のドヤ街で労働者向けの簡易宿泊所を格安料金で旅行者などに斡旋する事業を行っている「ファニービー」という会社。谷津倉智子社長は、「ビジネスと . . . 本文を読む
50年後の日本の人口は9,000万人を割り込み、そのうち4割が高齢者であるという人口推計が先日、国立社会保障・人口問題研究所から発表されました。参考値として、100年後(2105年)には人口4,459万人となり、現在の3分の1程度に縮小するという推計も出されています。
「少子高齢社会」に関する政府の発表やそれを報じるマスコミ報道は、一様に、「このままではマズイ」、「何とかせねば」という「危機感」 . . . 本文を読む
横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』を読んでみました。9月にNHKで見たドラマ(再放送)のシーンが頻繁にフラッシュバックしてきて、その結果、登場人物のほとんどが、ドラマに出てた俳優の顔と重なりながら読み終えることになりました。主人公の悠木は、カンペキに佐藤浩市だし、等々力部長は岸部一徳だし、社長は杉浦直樹、安西は赤井英和。物語を活字で追うときに、それはいいことなのかよくないことなのか。この作品に限って . . . 本文を読む
昔から「地図帳」が大好きでした。小学校5年生くらいの時に学校で渡された帝国書院の地図帳に始まり、中学校で使った青い地図帳、高校の「地理」の授業で使った地図帳、大人になってから買ったハードカバーの分厚いアトラス、それぞれに思い出があります。
小学校の頃の地図帳は、前半に日本の地図があって、後半が世界でした。日本の地域区分の並びがなぜ南(九州)→北(北海道)の順番なのかとても不思議でしたが、これはい . . . 本文を読む
この本では、「基本的な職業観・勤労観の構築」が大切であり、そのキーワードとして「人間力」を掲げています。つまりは「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」。
この「人間力」の形成をベースとしたキャリア教育を行うこと、これは、欧米各国のキャリア教育でも既に取り組まれてきたことだと言います。さらに、欧米の取組に共通しているのは、「発達段階ごとに異なる明 . . . 本文を読む
日本IBM会長で日本経済同友会代表幹事を務める北城恪太郎氏編による『ニッポン「起業」学』(日本実業出版社、2005年)。現在の日本の経済の閉塞状況を打破できるのは「起業」であり、起業家の育成こそ、これからの日本の活性化に必要だと説きます。ベンチャーを生み出しにくい日本の土壌、その中であえてベンチャーを志し、成功した何人かの起業家の皆さんの話はどれも切実だし、何より説得力があります。
私にとって特 . . . 本文を読む
戦争とは人が無差別に殺し合い、人が尋常でない死に方をするもの。
そういうことを伝えるには映像の力を借りるしかないと思い、世界史の授業では、戦争を描いたドキュメンタリーや映画の映像を時間の許す限り教材として使っていました。しかし、そういう意味では、「硫黄島からの手紙」は、戦場の悲惨さとかむごさを伝える反戦映画というよりはむしろ、戦争の持つもの悲しさやはかなさを伝えてくれる映画だと思います。
クリ . . . 本文を読む
チリのピノチェト元大統領が死去したそうです。91歳の高齢だったとか。
ピノチェトは、1973年、社会主義政権のアジェンデ大統領を倒して軍事政権を樹立、大統領(任期1974~90年)として独裁権力をふるいました。東西冷戦のさなか、キューバのような社会主義政権がアメリカ大陸にこれ以上存在することを恐れる米国にとって、チリは「中南米における社会主義の防波堤」でした。米国は政治的・経済的にピノチェト政権 . . . 本文を読む
2006年12月12日付けの読売新聞に、外国のいじめ対策の例が紹介されていました。米国も英国も基本的にはいじめには厳罰主義で臨むという点で共通しているようですが、英国やフィンランドでは、「生徒による助言」やいじめ対策に取り組むリーダー役の生徒を作るなど、生徒同士でいじめに取り組ませる方策をとっているそうです。たとえば、英国では、リーダー役の生徒にはいじめられる側だけでなく、いじめる子にも話を聞くこ . . . 本文を読む
以前から時折耳にしていた「18歳選挙権」の実現に向けて、自民党がいよいよ動き始めたそうです。選挙権の年齢条件を引き下げるということは、当然、「成人」のとらえ方にも連結します。これはたぶん、とっても大変なことなのです。
世界の状況を見ると、186ヶ国・地域のうち、米国や英国、フランス、インドなど162ヶ国で選挙権が18歳以上としている(朝日新聞、2006年12月6日付け)のだそうです。サミットのメ . . . 本文を読む
日本時間の1941年12月8日、日本海軍はアメリカ太平洋艦隊の基地であるハワイ・オアフ島の真珠湾に奇襲攻撃を仕掛け、米国と交戦状態に入りました。同時に、当時英国の植民地だったマレー半島のコタバルにも侵攻、英国とも開戦しました。
12月8日というのは「太平洋戦争」の開戦の日なのです。戦争が終結した「8月15日」は、日本人なら「終戦記念日」としてほとんどの人が知っていると思いますが、それにひきかえ、 . . . 本文を読む