『MW(ムウ)』(1976~78年「ビッグコミック」連載)は、私が読んだ手塚作品の中ではものすごく異質な印象があります。通常の手塚作品に共通する「人間愛」とは正反対の、憎しみ、復讐、嫉妬、愚かさ、人間の醜悪な部分だけが全面に出た作品。描写も、人間がバラバラになったり、同性愛のシーンなどが次々と出てくる。「子どもには見せられない漫画」というなら、それはそうかもしれません。でも、この作品は、「悪」に対 . . . 本文を読む
第1巻の後半(第5章~)は、チャプラが主人公です。
チャプラは、シュードラ(奴隷階級)の出身でありながら、コーサラ国のブダイ将軍の命を助けたことから、彼の養子に迎えられます。シュードラであることは、ブダイ将軍には内緒にしていましたが、ある時、道端でシュードラの子どもをチャプラが助けるのを見て、ブダイはチャプラもシュードラであることに気づいてしまいます。そして、決してそのことを秘密にするようチャプ . . . 本文を読む
この表紙は、潮ビジュアル文庫版ですが、私が持っているのは、潮出版社のハードカバー版。第1巻の第1刷は1988年4月20日となっています。全8巻。
第1巻 カピラヴァストゥ
第2巻 四門出遊
第3巻 ダイバダッタ
第4巻 ウルベーラの森
第5巻 鹿野苑
第6巻 アナンダ
第7巻 アジャセ
第8巻 祇園精舎
第1巻のタイトル「カピラヴァストゥ」とは、ゴータマ・シッダルタが生 . . . 本文を読む
なんだか途中半端の「覚書」ばっかり増えてる感じもしますが、手塚治虫の『ブッダ』を改めて読み直してみたくなりました。
仏教という宗教については、ずっと前から気になりながらも、ちゃんと調べたりまとめたりすることはできないままでいます。仏教にはまってしまえば、そこから現代社会の様々な問題や病巣にたどり着き、あらぬ方向に幅が広がっていって手に負えなくなるような気もして。
でも、いろんなことをあれこれ考 . . . 本文を読む
当然のことですが、『火の鳥』については、年季のはいった手塚ファンの方々によってウェブ上でも優れた解説が既に数多く提供されています。たとえば、
「手塚治虫考察録」
「タケ坊のホームページ」(「火の鳥のコーナー」)
などには、編ごとの詳細なストーリーと解説が載っています。それから、
松岡正剛の千夜千冊 『火の鳥』(全13巻)手塚治虫
では、手塚治虫は「文豪」である、「漫画家」という形の文豪を日本人は . . . 本文を読む
『火の鳥』のプロローグとも言える「黎明編」ですが、実は、角川書店版に掲載されているのは「黎明編・第2版」です。最初の「黎明編」は、1954年7月から翌年の5月にかけて「漫画少年」という雑誌に連載されていたのですが、この雑誌が休刊となったことによって8回で連載が打ち切られてしまったのだそうです。それから13年後、「COM」という雑誌が創刊されることになり、その創刊号(1967年1月)から改めて「黎明 . . . 本文を読む
私が持っている『火の鳥』は、角川書店版のハードカバー(昭和61~62年発行)全11巻ですが、もともとの『火の鳥』のラインナップは以下のとおりです(参考:http://www.tezuka.co.jp/hinotori/、日付は連載期間)。角川版では、「3ヤマト編」と「11 異形編」、「6 復活編」と「7 羽衣編」、「4 宇宙編」と「10 生命編」がそれぞれ同一巻に収録されており、また「9 乱世編」 . . . 本文を読む