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黒沢尾根&千年の森

2013-03-07 11:45:31 | 森のくらしの郷&ぐるったネット

 鹿島槍ヶ岳/爺ヶ岳,中央峰・北峰


 3月5日黒沢尾根,6日千年の森と、2日間にわたってガイド(ボラ)を頼まれ、Tomoさんと2人で7人の方を案内した。

 3月5日(火) 今季3度目の黒沢尾根 ※黒沢尾根の写真は1月8日のもの
 9:10に鹿島槍スキー場着。上のリフトに着く(9:40)と、前日から営業時間短縮で10:00スタートとなったとかで20分待たされ、出発点には10:10着。
 スキー場の周辺や上空は晴れているが、爺ヶ岳北峰,中央峰は雲の動きが激しく、この分では鹿島槍の姿を見ることは難しいと思われた。
 唐沢岳,餓鬼岳以南の常念山脈は何んとか見えているものの眠い感じでスッキリせず、南アや八ヶ岳方面,霧ヶ峰,高ボッチさえもが霞と言うには濃いもやもやの中に沈んでかすかに美ヶ原台上の雪が見えるだけ。
 春霞と言うものなのだろうか・,浅間,根子,四阿山方面もぼうっとした空気が光るだけで形のあるものは何も見えない。そして暖かい。


 スキー場から爺ヶ岳/リフトで上がる


 60代後半から80代半ばの7人のゲストの爪かんじき(1人はスノーシュー)をつけてもらい10:15スタート。50~60mほど前方に見えている尾根にぶつかるまで左に進む。
 何となく生き物に出会えるような予感がして目を上げると、その尾根の右手から左手の林の中に駆け込むカモシカを発見・・,ワカン初体験の諸氏にいきなり幸先のよいプレゼントが飛び込んできた。
 カモシカは疎林の中にジッと立ち止まって逃げるでもなくこちらが行動を起こすのを待っているかのようで、やや距離はあったもののしっかり見てもらうことが出来た。
 尾根に着いて右折しゆっくりと登って1546mのピークに到達。かんじきはしっかり締め上げたつもりでも歩いているうちに緩んでいる場合があるのでここで緩みなどを点検する。
 1146mのピークから先は東側に雪庇が出来るので、右により過ぎないようにしているが、この日は雪庇の雪の重みで亀裂が出来ていた。その位置が自分が大丈夫と思って歩いている場所より内側だったのにギクリさせられたただけでなく、更に進むとパックリと口を開いている所があるのに驚かされる。それはかなり大きなブナの木のすぐ外側だった。


 紺碧の空/樹間を行く


 前年,あれほどあった熊棚は今季はまったくと言っていいほど見当たらず、実が枝についたまま落ちていない木が目立った。それは実入りが悪くてクマが見向きもしなかったことを物語っていると思われる。
 ブナの実が不作だった代わりにミズナラのドングリが豊富だったのだ。
 次の1550mのピーク手前の、初めて鹿島槍ヶ岳を見ることのできるポイントに到達した頃から爺・鹿島の山頂付近を覆っている雲が幾分薄くなり、この後1530mまで下がって再び登りにかかる頃からいつもとは逆に鹿島槍のみ晴れ始め期待が膨らむ。


 鹿島槍/五竜岳


 11:40,丁度最後の登りを終えて目標の1599m高地についたと同時に鹿島槍がほぼ全身を現すと言う奇跡のような展開となり、ワット歓声が上がる。
 上空には雲一つ無く快晴,無風。氷点下ながら暑いくらいの陽射しには眠気さえ誘われ春うららを感じる陽気。そう言えば季節は啓蟄の候。
 一旦撮影を済ませて昼食を摂る頃には鹿島槍の鋭い穂先は紺碧の空をバックにますます冴えて、ヒマラヤ襞の1つ1つをくっきりと目に刻むことが出来た。
 12:20から下山。朝はやや硬めだった雪質が緩んできたので、『緩斜面を大股に歩いて富士の須走り下りのように雪を崩して滑りながら距離を稼ぐ』ことを体験し手もらう。角度があれば尻セードに持って行きたいところだがそれは後半のダウンヒルの楽しみ。
 最後のビューポイントからふり返る鹿島槍は、先刻よりも太陽が西に動いた分だけ陰影を濃くし、今季最高の彫の深い哲学者のような相貌を見せていた。


 雪庇を通過/ネズコ


 P1546m下の尾根,朝方カモシカを見た地点まで戻った所から直進し、東側(左下)のスキーのコースを意識に置いて尾根下りに入る。
 前回(2月10日)にはこの先で1つ西寄りの尾根に入ってしまい、降りてはいけない谷に迷い込んで冷や汗をかいた。
 尾根下りは尻セードに充分な斜度があり、思い思いに滑って降りてもらう。途中に風格のあるブナの大木,奇怪な風貌のネズコ,ミズナラの巨木,最後の最後にはびっくりするほど美しいスギの大木等々・・と、この尾根下りには尽きない魅力がある。
 14:25尾根を下りきって林道に到達。黒沢ヒュッテ横から駐車場へ。15:05参加者全員が満面の笑顔で下山し終了。


 ネズコ/ミズナラ




 大町ダム途蓮華・北葛岳/ビッグママ


 3月6日(水)
 前日と同じメンバー7名の方を千年の森に案内する。
 9時前に大町ダム下,前越林道入り口に集結。林道はモビルのキャタピラで固められているのでかんじきは履かずに背負って出発。
 昨日にも勝る好天で、高瀬川にかかる橋から紺碧の空を背景に真っ白な蓮華岳,北葛岳が映えるのを見る。
 15分ほどで泥混じりの黒い雪の塊~大きなデブリにぶつかる。上の方は完全に雪が落ちて地面がむき出し荷なっている。


 高瀬川春めく/オニグルミ


 林道沿いの樹木~植林されたサワラや山際の小灌木等を詳しく見ながら歩く。サワラは木目がまっすぐでヒノキ風呂に使われる高級な木材で、この場のサワラもまっすぐによく育っているように見えるが、凍裂の跡があって材としての価値は低くく植林の樹種を誤った例と言えるのだそうだ。
 山際の灌木ではダンコウバイの芽をはじめ、コブシ,ホウノキ,ヤマネコヤナギ,クロモジ等のが膨らみ、春の近さが窺えた。
 ゆっくり歩いて三棟の家で大休止し、お昼用のおでんと豚まんを温める。


 デブリ/なごみの時


 昨日の黒沢尾根で満足しきった一行はこの日は多くを求めず、のんびりと早春の息吹を感じつつ、あわよくばカモシカかサルに会えることを期待してそぞろ歩くこととなる。
 こうしてカモシカの足跡を追って十数分,期待は見事に的中して子連れのカモシカに至近距離で遭遇すると言うラッキーな展開となった。
 昨日と言い今日と言い、普通こんな言うまく行くものではないから余程の強運である。逆にサルが出なかったことの方が珍しかったかも・・。

 満足して三棟の小屋に戻り、腹を満たしてきた道を下り、12時前に終了。


 ビッグママとその仔 


 千載一遇とも言える絶好の条件下の黒沢尾根・鹿島槍ヶ岳はじめアルプスの写真がカメラの故障でが撮れなかった。
 やむなく1月8日撮影の写真を使ったので、同山行記録『鹿島・黒沢尾根』に使用した写真と重なる。
 ↓  『鹿島・黒沢尾根』
 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-259282.html



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