遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

登頂・・・剣岳北方稜線の記録⑨

2008-11-27 16:42:09 | アルプス

     
 5分休んで12:55発。この日最後の悪場とも言える源次郎のバンドにかかる。長次郎谷右俣最上部の凹状のバンドをトラバ-スする。落ちれば長次郎雪渓を一の沢までの直行便で、見通しの悪い時には歩きたくない所だが今は晴れており、何なく通過。問題はむしろその後である。
 そもそも北方稜線にはペンキの目印などなく、ルートを見つけながら進まなくてはならない。踏み跡はあっても残雪の状態で歩く場所が変わっているのでこれと言って決まったルートはないに等しい。バンドを越えてからの道はほとんど不明で、ただ、長次郎の頭からずり落ちてきた残雪の切れ目の間を、ガラガラと岩屑を落としながらしゃにむに進んだが、長次郎谷左俣源頭部にさしかかる当りで道に詰まる。少し下り過ぎたのではないかと不安になり登り返したが稜線は右手遥か上である。
 13時:30,稜線まで登るか、急な崖を下るかという岐路で小休止。下を覗き込むと、先ほど詰まった場所と崖の下が回廊状につながっているように思え、小形が空身で偵察に行く。経験のある小形の記憶が頼りなのだ。思ったとおり回廊状になっている岩場を回って小形が崖を登ってきた。

 13:43発。以後は問題なく、同57主稜線に出る。涼風が心地よい。いよいよ本峰への最後の登りとなる。左下の源次郎尾根に懸垂下降を待つ登山者が長蛇の列をなすのを見る。
 14:10分,中本の『見えたぞ~』の声。何が見えたのか,多分頂上のことだろう。5分遅れてその場所に立つと、ガスの向こうに頂上らしき岩峰を垣間見る。同28登頂。

     
 頂上には我々の他に外国人女性と邦人男性のパーティーがいただけで、時間が遅いからか天候のせいか、8月上旬の剣岳山頂とは思えない淋しさである。この2人が私達を見て無造作に北方稜線の方に下って行こうとしたのを慌てて止める。こう言う手合いが結構いるらしい。
 14:48発。展望もよくないし寒い。何よりも早月小屋までの3時間の行程が残っているのでのんびりしてはいられない。けれど北方稜線縦走の緊張感から解放されたという安堵感から気持ちに緩みが出てしまってどうにも締まらない。
 14:55室堂への分岐点を通過,室堂方面は晴れ。ここからはうるさいほどの鎖場の連続となる。15:15,最後の鎖場を過ぎる辺りで早月小屋を遠望する。まだ先は長そうだ。
 15:30,小休止。同40発。小形,中本が先行し、藤井と2人遅れて行く。『今日はどこででもークしてやる』等と冗談を言いながらやけっぱち気味に歩く。16:12,小ピークの手前で小休止。ハクサンイチゲやトリカブトに混じってマツムシソウやアキノキリンソウ等、すでに秋の気配を感じさせる花を見る。5分後発。
 小ピークを登ると先行の2人が待ってくれていたのでまた休む。2610mのピークかどうかで意見が別れる。もっと下りているはずだと思いたいがまだその地点らしい。白花のトリカブト,エゾシオガマ,ベニバナイチゴ等,花も低山種に変わる。
 16:35発。5人の中高年グループを追い越す。17:14~37休憩し、18:11,早月小屋のテン場に着く。5:45の出発以来12時間半におよぶ長丁場でさすがに疲れた。

 テン場にテントはなく、我々は小屋に近い一等地を選んで幕営。少し遅れてもう1パーティーがテントを張っただけで静かな野営となる。小屋の前の広場から日本海に沈む夕日を見送る。富山市街と富山湾がよく見える。食事はビーフンと乾燥野菜入りスープ。17:30に終わり、同45テントに入る。離れたテントから賑やかな星空をたたえる歓声が上がるのを聞きながらいつしか眠りに落ちていた。


お菜を洗う人々

2008-11-27 12:05:31 | 安曇野
 先客あり
      お菜の山
 カタダイコンを洗おうと湧き水に行くと先客があった。お菜を洗うために遠路堀金からわざわざやって来たと言う。ここが一番いいのだとおっしゃる。同感だ!

 川の中にコンテナを置き、梯子を差し渡してその上で作業をしている。3人が洗い子で土手の1人は車に積み込む役。洗い子には丸太の腰掛もあって考えた上に手馴れたやり方だ。

     
 お菜とは野沢菜のことで、品種は同じだが野沢産でないものは『野沢菜』と称することが出来ないので地元ではこう呼ぶ。
 信州ではどの家庭でも大量のお菜を漬け込んで冬に備えるが、今がその漬け込みの最盛期であちこちでお菜を洗う風景が見られる。

 お菜は大きな野菜で、長さがあって株の部分が太いので家で洗う場合は風呂桶ほ
どの大きな容器を使っての大変な作業になり、使う水の量も半端ではない。その点,湧き水を利用すると大いに助かるのでこうして遠くからでもやって来る人がいるのだ。
 カタダイコン 
     
 草履のまま流れに入ると『あれまぁ~,元気だこと』と目を丸くする。『上流を占領しちゃって悪いねェ』 『いいせ いいせ どこだって同じせぇ』
『カタダイコンけぇ いい出来だねェ』 『ンまぁネ それより梯子使ってうまく考えたじゃん!』 『毎年のことだでよ。丸太の腰掛もいいずら!』 『ん,おらも1つ欲しいくれぇだ』・・・。
 てなことを話しながら仲良く洗って、ついでに土手の人に写真を撮ってもらった。
 
     
 上流から流れてきた小さなダイコン1つ。『上にもいるだネ・・』とおばさん達。『下流の洗い場にももう1組いるよ』と私。


 そうこうするうち夕暮れとなり、うすい闇に常念が沈む。

 さて、今日の白鳥は・・・,
 只今154羽(+3羽)
     



ダイコンを干す

2008-11-27 02:07:29 | 喰う寝る○太
 
 こんな風にダイコンを干すのは晩秋の風物詩の1つで、昔は田圃にハザを立ててずらりと干したものをよく見かけた。子ども達はそれを見て『オオネのおじさん,首吊ったげな!』などと言って年寄りをからかった。
 これをやりたくて干し理想をつくっているけれど、のんびりとこんなことをやっているとたちまち凍みてしまうので、信州では誰もやらない。 
 葉っぱが邪魔
      
 葉っぱが邪魔なので、こんな風に葉先を縛り、数が知れているのでハザを立てることもなく、フェンスを使ってあっちとこっちに振り分ける。

 気温の下がり方にも寄るが、凍みるのを避けるために夜は家の中に取り込む。
 毛布をかけておけばいいんだよ,と言ってくれる人もいるが、生憎専用毛布がないので毎日干したり締まったりを繰り返す。たかが10日程度のことでたいした手間ではない。何しろ失敗して量が去年の半分しかないのだから・・。 

     
 次第に水分が抜けてくると、固く縛ったつもりでも紐が緩んでくる。そのうち葉っぱが黄色くなって付け根からポロリと離れてしまい、下手をするとダイコンがスッポリ抜けて落ちるしまうことがあるので油断できない!