法人の無国籍化の流れが止まった。

私はこれまで、法人は無国籍化の流れを強めていると主張してきたのだが、世界の保護主義化の動きは、その流れを揺り戻しているかもしれない。特に、中国のような共産党独裁国家では、その流れは顕著である。1億1600万人のユーザーを抱える写真補正アプリの美図（メイトゥ）の株価が香港市場で、13%安まで一時売り込まれた。その理由は美図が過度に、利用者の生体情報を入手していると消費者団体から指摘されたからだ。中国の場合には、消費者団体の後ろには中国政府の影がちらつく。その先には当局の捜査まで予想されるのである。慌てて、美図はそのような情報収集はしていないと打消しに追われた。たぶん、裏では政府筋にも説明を行っていたのだろう。つまりは政府の支配を受け入れたということであろう。そのほか、中国では中国ネットサービス大手テンセントホールディングスのテレビゲーム承認の凍結やアリババへの介入などが取りざたされている。たぶん、そのような流れの中で、資本主義国であるフランスでも、マクロン大統領がルノーの日産子会社化を進め、日本政府がそれを阻止しようと動いたのかもしれない。（12月03日）

Y-FP Office Japan