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銀座に「番外地」

2009年11月23日 | うんちく・小ネタ

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東京中央区の銀座は、日本を代表する繁華街です。

いまはビル街だが、かつては川と橋に囲まれた風情ある街で、築地川、汐留川、三十間堀、京橋川などが街なかを流れ、京橋、三原橋、新橋、土橋といった橋があちこちにかかっていました。「築地」「新橋」「京橋」という地名は、もともと川や橋の名前として知られていたものでした。

131「数寄屋橋」昭和20年

中でも、銀座のシンボルともいえる橋だったのが数寄屋橋で、1952年にNHKラジオで放送されたドラマ『君の名は』では、数寄屋橋を軸に物語が展開し銀座の名前をさらに高めることになったそうですね。

   23a_2                                                     『君の名は』1953年 

                                                                その銀座も、今ではすべての川が埋め立てられ、橋は消え失せ、頭上を高速道路が走っています。
数寄屋橋も現在では、数寄屋橋交差点という名前が残るだけになってしまいました。

0237_2数寄屋橋交差点 昭和30年代

253_2数寄屋橋交差点 平成21年   

                                                                 そんな銀座に地名も地番もない「番外地」があることを知りました。
日本で一番地価が高いところなのに、そんなものがあるのか?と思ってしまいますが、正真正銘本当の話です。

番外地があるのは、高速道路下の数寄屋橋交差点辺りなのです。

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                                                                  そこは、中央、千代田、港の3区の境となる川を埋め立てて作った土地で、埋め立ててから40年以上たっても、各区が互いに譲らず、自分の区の土地だと主張して、正式な住居表示が付けられないままになっています。
各区にしてみると、その土地が自分の区の範囲に入ると、固定資産税やその土地で商売している人からの税金など、いろいろな収入源が見込め、しかも高額になることから、簡単に「はい、そうですか」とは引き下がれないまま、40年が経過してしまったというのです。

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たまらないのは、そこで商売をしている人ですね。救急車を呼ぶにも住所がないことから、場所の説明に手間が掛かります。同所にある会社で携帯電話の契約をしようとしたら「コンピューター登録できない」といった事態もあったとか。

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とりあえず、警察や消防、税務署、保健所などは、話し合いで管轄を決めているようですが、区境が決まらない限り、番外地は番外地のまま、今後も存在し続けることになりそうです。

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