あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

気楽な稼業を満喫するしかないですね

2024年07月15日 | うんちく・小ネタ


最近、知人が独立してコンサル会社を起業したのですが、
経営者として当然の壁に激突し、「ビジネスは本当に難しい」と
懊悩を吐露する電話をかけてきました。

当然ながら小生に当を得たアドバイスができるはずもなく、
覚えのあるビジネス書のエッセンスを3件伝授して、
復活の兆しを掴んでもらいました。



その1.セブン&アイ・ホールディングスの故伊藤名誉会長の悩み
商売の基本は、
「お客様は買ってくださらないもの」
「取引先は売ってくださらないもの」
「銀行は貸してくださらないもの」と考えるべき。
だから商売が本当に好きでないと続かない。
また、規模が大きくなると物事を「お金の物差し」で考えてしまいがちだが、
常に「人の物差し」で考えよ。
お客様と社員とお取引先を大事にするべし。




その2.人を動かすために「自分ごと」で考えるという博報堂の指南。
人を動かすヒントは「他人ごと」ではなく「自分ごと」で考えること。
親が子の立場で、上司が部下の立場で、社長が社員の立場で、
企業が生活者の立場で考える。
あたりまえの話ですが、相手自身にとっての「自分の視点」で
見ることがポイント。




その3.サラリーマン根性との決別という商工会議所のささやき
ビジネスマインドは
「結果」を重視、サラリーマン根性は「過程」を重視。
ビジネスマインドは
「報酬は成果の対価」、
サラリーマン根性は「報酬は労働の対価」。
ビジネスマインドの塊であるオーナー経営者と、
サラリーマン根性に毒されている社員との溝を埋めるには、
「会社は自分たちがつくる」という主体的な意識を社員が持ち続けること。




かつて、植木等が「気楽な稼業」と唄ったサラリーマン根性を捨て去り、
艱難辛苦の商人道へとステージを移した件の知人は、
「コピー用紙1枚のコストを考えて行動している」と言い残して
電話を切りました。

数字の全てが「自分ごと」なのだと、妙にしみじみと思った初夏の夜でした。



7月

2024年07月01日 | うんちく・小ネタ
7月

懐かしきボウリングブーム

2024年06月15日 | うんちく・小ネタ


接待で豆腐料理の専門店「とうふ屋うかい」を利用したことがあります。
場所は東京タワーのすぐそば。



ここに2000坪の広大な日本庭園を構え、山形の造り酒屋や
新潟の豪農屋敷を移築して異空間を演出しています。
東京のど真ん中で和の真髄が堪能できるということで、
53室ある個室のあちこちから外国人の声が聞こえていました。
会食の席で敷地の広さが話題になり、年配の仲居さんに来歴を尋ねました。




「もともとは東京タワーボウルっていう都内最大級のボウリング場でした。
64レーンもあって、昭和38年のブームの頃には東洋一とかって言われてたんですよ」



「昭和38年にボウリングブーム?」



当時のボウリング場はどこも満員で正月休みの予約が11月末で満杯。
賭け試合や高額な景品、未成年者の深夜入場など、風紀の乱れが社会問題にもなったとか。
我々が知るブームは昭和46年頃で、実際にボウリング場に行き始めたのは中学坊主の頃。
まだスコアが手書きの時代でしたから、点数計算できることが男子の必須条件でした。




こんな思い出話に酒量も進み、いつの間にかテーブルには徳利が林立。
酩酊の果てに、それがボウリングのピンに見えてきましたが、
あながち的外れな幻影ではありません。



日本初のボウリング場が青山に出現した翌年の昭和28年。
ある雑誌に掲載されたボウリングを説明する記事に、似たようなくだりがありました。


   「白い徳利みたいなものを向こう側に並べ、こちらから西瓜ほどの
                      プラスチック製ボールを転がして倒す遊び」


デザートに西瓜をオーダーしたくなった夜でした。


6月

2024年06月01日 | うんちく・小ネタ
6月

粘りのある人間

2024年05月15日 | うんちく・小ネタ



最近、やっと納豆がおいしく食べられるようになったのです。
ただし、納豆臭の少ないやつを、辛子とタレでごまかして。

白飯と一緒に納豆をかき込みたい願望はすごく強いのですが、
ごはんがネバネバになるのがちょっと嫌。
ネバネバこそが納豆の真骨頂なのに。
 


納豆のネバネバ成分は、グルタミン酸が約5万個つながった
ポリグルタミン酸と呼ばれる高分子体。
納豆菌たちは、このポリグルタミン酸を楯にして
アメーバや原生動物などの捕食者、バクテリオファージなどから
粘り勝ちで身を守るのです。




だから、こんなバリアを破って食べる納豆好きは
粘り強い人間になれるのです。
オクラ、山芋など、ネバネバ系を避けてきた私は、
あきらめの早い粘り無き人。



そして、
納豆のポリグルタミン酸にはもうひとつの不思議があるのです。
それは、D型のグルタミン酸がほぼ半分を占めているということ。
ふつう、自然界に存在するグルタミン酸はL型。
「味の素」の主成分であるグルタミン酸ナトリウムもL型。
D型に旨味はないのです。

     


D型とL型の違いは、単に構造が左右対称というだけ。
つまり、右手と左手のような関係で同じだけど重ならない不思議なペア。
D型を鏡に映した姿がL型だから、鏡像体という呼び方もある。



自然界に存在しないD型グルタミン酸。
納豆のねばねばは鏡の向こうからやってきたのか。
いや、D型アミノ酸は隕石の中にもあるから宇宙からやってきたという説も。
ならば納豆を宇宙に持参し、スペースシャトルの中で糸を引くかどうか、
調べてみてはどうでしょうか。



もちろん、納豆菌汚染のリスクがあり、NASAは気絶するでしょうが…。

とにかく、日々納豆を食べ、コツコツネバネバ前に進み、
宇宙飛行士になるがごとく精神力で仕事を成就せねばならないと思うのである。