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日本四大珍味になる資格充分なある食品

2020年12月15日 | うんちく・小ネタ



1950年、愛媛県八幡浜市の西南開発株式会社が日本で初めて魚肉ソーセージ
を商品化して、今年で70年になりました。
あのオレンジ色のセロファンとピンク色のボディーが忘れられないという人も多いと
思います。



戦後の動物性タンパク質不足を補うため、「スモークミート」という商品名で世に出た
魚肉ソーセージは、1954年の「第5福竜丸」被ばく事件の風評被害で鮮魚消費が
落ち込んだマグロの利用策として一気に生産が拡大しました。



ところがその後、使用していた添加物の発ガン性問題で消費が激減。
当時、売れなくなった魚肉ソーセージを動物園の白クマに与えるシーンをニュースで
見て、「白クマさんはガンになってもいいの?」と思ったことを覚えています。

それにしても時代にもまれる商品です。1954年の生産量が4千トン。福竜丸事件で
1956年には2万6千トン。高度経済成長期の1972年に18万トンでピークとなり、
発がん性問題で1974年には12万5千トンまで落ち込んでいます。
その後も減少して近年は5万トン台を推移していますが、根強いファンは多いようです。



発売70周年。いろいろ苦労した魚肉ソーセージの労をねぎらって、日本三大珍味の
仲間に入れてあげるってのはどうでしょうか。
日本三大珍味は、うに、からすみ(ボラ卵巣の塩漬けを干したもの)、このわた(なまこの
内臓の塩辛)。



世界三大珍味のフォアグラ、トリュフ、キャビアとは違って、全て海産物ですから魚肉
ソーセージにも資格はありますし、激しい浮き沈みを経験したという意味では十分に珍味。

魚で肉の代用をしたという世界に誇る日本の食品加工技術。練りものは水産加工食品
の3割を占めるトップカテゴリーです。

日本四大珍味としての登録を願うこの頃です。