あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

気付き

2018年07月29日 | うんちく・小ネタ



中学校の保健体育の授業で、武道とダンスが必修科目となって久しいようです。
ダンスの必要性はよくわかりませんが、柔道、剣道、相撲などの武道は大賛成。

スポーツを通して伝統文化を学べば知識の幅が広がりますし、勝敗にかかわらず相手を尊重する姿勢は必ず人格形成につながるものです。



さらに、柔道の受け身は自転車やバイクで転倒した時に身を守りますし、相撲の番付からは実社会の厳しさが学べるのです。



中学生の時、体育の授業は2ヶ月間相撲だったことがあります。取り組みの結果がクラス内の番付に反映され、上位に名を連ねるのをみるのが楽しみでした。

けれど、1日でも授業を休むと番付は下がり、またやり直しとなります。
「さぼるな」という先生の叱責より効果がありました。休みたくないと思ったものです。



ふと、「叱責とは『いかに言わないか』の技術である」という八代目桂文楽師匠の「小言の流儀」を思い出しました。

「小言の種をためておき、一番小さなことで、短く、大きく叱る。叱られる弟子は、こんな小さなことも師匠に見抜かれていたと知り、言われずに済んだ大きな小言の種も改まる」

なるほど。
相撲授業の番付も文楽師匠の流儀も、ポイントは「当事者の意識改革」なのですね。
追い詰めてはいけません。

自らを改めるきっかけを与えるだけでいいのです。



ということで話は飛躍しますが、食の意識改革を錦旗に掲げ、家庭科の学習指導要領で小学5年生の必須科目となっている「だし取り」という授業があります。
だしの効いた和食のおいしさを実感してもらい、コツコツ手間を惜しまないことの素晴らしさを伝得る授業内容だそうです。

料理の流儀は、「見えないところで手を抜かない」こと。影の努力が実を結ぶことを経験すれば、自己啓発のきっかけが生まれるかもしれません。

ハンバーガー世代ではありますが、先人から刷り込まれた、だしへの思いは、必ず呼び覚ますことができると信じたいものです。



京の夏

2018年07月16日 | 日記
京の夏

豪雨被害お見舞い申し上げます。

2018年07月09日 | うんちく・小ネタ


西日本を中心とした豪雨において被害を受けられた方々、

並びにご家族・ご関係者の皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、

一日も早い復旧をお祈り申し上げます。



犬が居ぬと…

2018年07月01日 | うんちく・小ネタ


人工知能やIT系の研究者とディスカッションする企画がありました。SONY、IBM、NTT等のIT業界と食品業界によるコラボ講演会です。
テーマは2045年の食糧事情。「30年後に果たす企業の役割」といったような感じでしたが、どうも絵空事で気持ちが入りませんでした。

そう思っていた時、食糧問題解決策としてファン・エーレン氏の培養肉研究が紹介されました。シャーレで作る人工肉です。
細胞培養で食肉を得ることができれば、動物を飼育したり殺したりせずに食肉が増産でき、2045年に倍増すると予想される世界の食肉消費量に対応できることで、同時に飼料穀物を人間に回せるという構想です。

さらに、畜産業は人間活動に伴う温室効果ガス排出量全体の約18%を占めていて、これは全世界の輸送部門による排出量より多いのです。



また、凍土を除く土地の30%が家畜の放牧と飼料の栽培に使われていることから、この土地も有効活用できるそうです。
培養肉の製造理論はmまず、家畜から採取した胚性肝細胞(ES細胞)を培養液中で増殖させます。

その後筋肉に分化させ、最後に「鍛えて」大きくして完成。



理論上は10個の細胞から2ヶ月で5万トンの肉が作れるとか。
大戦下のインドネシア。日本軍捕虜収容所で強制労働に従事させられていたオランダ人ファン・エーレン氏は、当時の空腹をこう振り返っていました。

「間抜けな野犬が鉄条網を越えて入ってこようものなら、捕虜たちはとびかかって犬を引き裂き、生で食べたものだ」


氏はこの飢えを起点に、培養肉の生産研究に生涯を捧げたそうです。



堀場製作所の創業者堀場雅夫氏が生前語っていた戦時下の地獄も紹介されていました。

「国が極限まで窮したことが本当にわかるのは、街から犬が消えたときです。終戦間際も、牛、馬、豚、鶏がなくなり、最後に犬が消えました。…その2ヵ月後に日本は降伏したんです」

ドン引きしました。

けれど、犬がタンパク源という地獄を経験した先達からすれば、AIやITが食糧に絡むこと自体、飽食慣れした時代背景以外の何物でもないと思うのですが…。