あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
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競争相手

2013年05月26日 | うんちく・小ネタ

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若者が食事にお金をかけなくなって久しく、販売ターゲットを若年層から中高年層に変更することが食品流通業の常となっています。
若年層はコンビニよりドラッグストアを好み、食費を削って携帯電話の支払いを工面。今や、食品業界のライバルはどこに潜んでいるかわからない乱世なのです。

食品製造の現場においても、しばしば意外なライバルが出現して原材料の奪い合いとなるようですね。

例えば、少し前のバイオエタノール。トウモロコシの発酵によるバイオエタノールの生産が歓迎されたものですから、トウモロコシが食品業界に回らなくなったのです。
結果、トウモロコシでんぷんを原料とする調味料や糖類が高騰。バイオエタノールと縁の薄い国内では、ピンとこないライバルだったと言えるでしょう。

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たしかに、エネルギー市場は手強いのです。最近ではシェールガスの掘削にグアーガムという増粘剤が使用されるようになり、価格が15倍に高騰しています。
環境に配慮する米国では、天然の増粘剤を使用することを免罪符に掘削を進めたい思惑もあるとか。
エネルギー問題が、増粘剤を配合するアイスクリームやドレッシングの製造コストを上げてしまったそうです。

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思惑が外れたライバルもいます。加工食品の包装容器に使用されるポリビニルアルコールという資材は酸素を透過しない特性で品質保持に威力を発揮してきたのですが、ある時、液晶パネル業界から高値オファーを受け、食品業界からの決別を宣言してしまったのです。
しかし、リーマンショック以降、日本の液晶パネル産業は失速。出戻った食品業界でも居場所がなく、ポリビニルアルコールは苦戦を強いられています。

元来、地味な食品業界ではあるものの、シェールガスや液晶パネルなど、時流のキーワードに翻弄されることで変化に敏感になるというメリットもあります。
意外なライバルも、時には必要なのかもしれないですね。

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分析 「おせっかい」

2013年05月12日 | うんちく・小ネタ

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二大都市の文化の違いを痛感する機会がたびたびあります。特に、大阪人のおせっかいは筋金入りだと感心することがあります。

東京神田。セーラームーンに女装した中年のおじさんが、笑いながら路上を闊歩するも周囲はクールに完全無視。 

大阪鶴橋。地下鉄の券売機前で、駅員に対し凶器らしきものを振り回す男性。騒然とする乗降客の中から1人のおばさんが凶器男に近づき、「兄さん、バック落としてまっせ」。

こんな話を聞きました。

命がけのおせっかいを平気でやってのけるのだから、大阪人はすごい・・。
このおせっかいが何に起因するのか、江戸時代にさかのぼって都市文化を検証してみました。


その1.武士の少なさ
江戸は人口100万人で、そのうちの半数が武家。対して大坂は人口42万人ながら武士はわずか2000人。武士の少なさが気軽におせっかいを焼く文化を醸成したか。

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その2.大坂は牛
武士の多い江戸は手間のかからない豚を飼育した豚文化圏。対して大坂は牛。世話を焼かないと育たない牛が、おせっかい気質を育んだか。

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その3.だしの聖地
食い倒れ大坂の食文化はだし文化。今でこそ「粉もん」や「ソース」に集約されがちですが、大坂の料理はだしの風味を前面に出す薄味料理。
かつお、さば、あじ、うるめ、昆布、椎茸とだし素材の種類も豊富なだけに、食材の物々交換等、おせっかいの機会が多かったかもしれない。

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その4.昼にご飯を炊く
商人の町大坂の朝はいそがしく、昼にご飯を炊いて翌朝は前日のご飯をお粥にして食べる。江戸は出仕する武士や職人が弁当を持参するため朝ご飯を炊き、夜は冷や飯をお茶漬けにする。朝ご飯を炊かない大坂では、前日に食べ尽くしてしまって朝に「もらい飯」という、おせっかいのやりとりがあったかもしれない。
 

以上、勝手な推測ばかりで、これこそ「おせっかい」なのであります。

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