あんなこと こんなこと 京からの独り言

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「おせっかい」の語源は台所用品

2022年05月15日 | うんちく・小ネタ



大阪人のおせっかいは筋金入りだと思うのです。

大阪鶴橋。地下鉄の券売機前で、駅員に対し凶器らしきものを振り回す男性に遭遇。
騒然とする乗降客の中から1人のおっさんが凶器男に近づき、
「兄さん、バッグ落としてまっせ」
とセカンドバッグを拾って渡していました。
命がけのおせっかいを平気でやってのける大阪人はすごい。



対して、東京秋葉原。セーラームーンに女装した中年のおっさんが、笑いながら路上を闊歩するも
周囲はクールに完全無視。当然私も関わりたくはないけど、田舎者根性でチラ見。




この大阪おせっかい気質が何に起因するのか、江戸時代にさかのぼって都市文化を検証してみました。



その1.武士の少なさ
江戸は人口100万人で、そのうちの半数が武家。
対して大坂は人口42万人で武士はわずか2000人。
武士の少なさが気軽におせっかいを焼く文化を醸成したのか。


その2.大坂は牛
武士の多い江戸は、手間のかからない豚を飼育した豚文化圏。
対して大坂は牛。世話を焼かないと育たない牛が、おせっかい気質を育んだか。



その3.だしの聖地
食い倒れ大坂の食文化はだし文化。
今でこそ「粉もん」や「ソース」に集約されがちだが、大坂の料理はだしの風味を前面に出す薄味料理。
かつお、さば、 あじ、うるめ、昆布、椎茸とだし素材の種類も豊富なだけに、食材の物々交換なんかで、
おせっかいの機会が多かったかもしれない。
 

その4.昼にご飯を炊く
商人の町大坂の朝はいそがしく、昼にご飯を炊いて翌朝は前日のご飯をお粥にして食べる。
江戸は出仕する武士や職人が弁当を持参するため朝ご飯を炊き、夜は冷や飯をお茶漬けにする。
朝ご飯を炊かない大坂では、前日に食べ尽くしてしまって朝に「もらい飯」という、おせっかいのやりとりが
あったかもしれない。



以上、勝手な推測ばかりであり、間違いがあればご指摘おせっかい大歓迎なのであります。


※ 「おせっかい」の語源は「狭匙(せっかい)(切匙)」との説があります。
室町時代に既にあった台所用品で、物をすくったり、すり鉢の鉢の溝に付いたみそをかき取ったりしました。

カトリックの修道会イエズス会が1603(慶長8)年に刊行した「日葡辞書」にその名があります。
明治期まではよく使われたていたようで、しゃもじを縦に半分に割って作ることもあったとか。
家庭での使い道は広く、細かいところまで行き届く道具であったことから、世話を焼くという意味に転じ、
次第に、一方的に世話をする人を指すようになったそうです。
今では、他人のために必要のないことまで立ち入って世話を焼く意味に変わっています。