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大腸菌の世界にも自己犠牲という考え方があるそうです。
ボストン大学のコリンズ博士は、薬剤耐性のある大腸菌が自分の身を犠牲にして、
耐性のない仲間の菌を抗生物質から守るという現象を確認したのです。
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そのメカニズムはこうです。
耐性を持つ菌がインドールという物質を分泌。このインドール、自身の増殖は
阻害してしまうのですが、周囲の大腸菌の薬剤排出ポンプを活性化する
働きがあるのです。
薬剤が迅速に排出されるから抗生物質の攻撃に耐えることができ、
仲間は生き残るのです。
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本来、院内感染等で問題になっている薬剤耐性菌対策として始まった研究なのですが、
こういう自己犠牲のストーリーは日本人ウケする話でもありますね。
日本の教育は、幼少期から自己犠牲の精神を諭してきました。
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例えば、小学校の国語や道徳の教材で有名な「泣いた赤鬼(作:浜田廣介)」。
人間の友達ができないと嘆く赤鬼のために、親友の青鬼が悪役を買って出てきます。
悪者青鬼を「退治」する芝居の効果で、赤鬼は人間の信頼を得て、交友が始まります。
その陰で、青鬼は赤鬼のために姿を消します。
青鬼の置き手紙を読んで赤鬼が号泣するシーンは、大人でも感動します。
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例えるならば、やなせたかし先生の「アンパンマン」。
自分の頭をちぎって弱者を助ける姿は自己犠牲そのもの。
美徳には痛みが伴うという哲学的思考を、具体的かつメルヘンチックに刷り込むには
最高の教材といえるでしょう。
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自己犠牲スポーツの一典型である箱根駅伝も然り。
就職面接で「箱根駅伝走った」と言えば一発合格。
日本のおじさんは箱根駅伝にものすごく弱いのです・・・。
大腸菌、赤鬼、アンパンマン、駅伝。
自己犠牲のタスキでつながる不思議なキーワードなのです。
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