あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
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こんな風に

2015年06月21日 | うんちく・小ネタ



映画で”参勤交代”が取り上げられた所為か、近年、話題に上る回数が増えました。

”参勤交代”の概要は次の通り。
『各藩の藩主を定期的に江戸に出仕させる江戸幕府の法令で、徳川家光によって1635年に制度化された。将軍に対する大名の服属儀礼として始まったが、結果として、各藩に財政的負担を掛けると共に人質をも取る形となり、諸藩の軍事力を低下させる役割を果たした一方、都市や交通を発達させた。』


つまり、徳川幕府の権威を示すと同時に、各藩の財力・兵力を大きく削ぎ、幕府への反抗をできなくする政策です。江戸中期においては1年ごとに藩と江戸を往復し、上屋敷と下屋敷でそれぞれ政務に当たらせたというのですから、藩から見れば過酷な制度だったのです。
薩摩藩の場合、片道40日間をかけて、千人以上が旅をしています。1回当たり、現在の金額で数億円の費用がかかったとか。
これを1年毎に繰り返したのです。



子供の頃から参勤交代についてこう思っていました。
「こんなバカげた制度をよくも250年間も続けていたものだ。一見平和に見える時代だが、無駄な金と時間を費やしただけじゃないか・・」

但し、結果としてこの制度は功罪の「功」をいくつか残しています。
東海道、山陽道などの交通網を発展させ、宿場町に金を落としたのです。
地方の物産が江戸に集まり、江戸の文化・教養を地方へ持ち帰ることになりました。
いわゆる人々の往来によって文化の均一化、教育水準の発達が図られたわけです。
また、各地に名産品が生まれ、藩士たちは旅行と江戸での単身赴任生活をエンジョイしたともいえます。



やがて、黒船が来航し、幕府は国力を保持のために参勤交代の回数を緩和。
これによって西国諸藩は力を付け、討幕・明治維新へと繋がっていきました。

「ムダと思える消費と国民の平和」について、ここ数年ずっと考えてきました。
今、政府がやろうとしている「個人消費を活発化し、物価を上昇させ、公共工事を増やし、企業を儲けさせる」ことについて・・・。



6千有余の島を橋やトンネルでつなぎ、過疎地へまで新幹線を走らせる。
増税をしても社会保障費に回さず、時代錯誤の補助金漬けに使い続ける。
だから、庶民の生活は一向に向上しない。

こんな風に時代は過ぎて行くのかと、妙に暗澹たる気分になりました。


サイクルを回してはいけない場所って?

2015年06月07日 | うんちく・小ネタ


あらゆる現象を「仮説-検証」サイクルに乗せて問題解決に導くのは、私のしがない習性です。


現象「アフリカの奥地で下痢をしたゴリラが必ず食べる木の実がある」→

仮説「その木の実には下痢防止成分が含まれている」→

検証「木の実から特定の成分を抽出し、動物実験で下痢防止効果を確認」。



仮説が100%検証できれば新薬誕生等の問題解決につながるのですが、たいていの場合2割程度は想定外の結果になり、そこに新たな実験のネタが潜んでいるのです。
仮説が的中するもうれしいですし、外れるもまたうれしい悦びなのです。



先日、この仮説-検証サイクルの実践を、某国立大学付属幼稚園の教諭に切にお願いしてきた人がいます。
どういう幼児教育をしたら難関大学に合格するのか、砂遊びは本当に人格形成につながるのか、幼時のガキ大将ほど大人になるとしょぼいという説は本当か、等々。

教育学部付属という実験校の責務として、氾濫する英才教育情報の真価を問う仮説-検証を実施してほしいと私も思いました。
ちなみに、東京大学付属中学は双子の生徒を素材にした研究に注力し、

「短距離走の能力は遺伝するが、長距離走の能力は遺伝しない」

「社会科の学力は遺伝するが、数学の力は遺伝しない」


等の検証結果を発表しているのです。



なるほど、コツコツ地道に取り組む学科は中学からでもレベルアップできるということか・・・。
ならば、その「地道に努力する力」を身につけるにはどういう幼児教育が最適なのか、そして、途中で投げ出さない性格は積み木遊びで醸成できるのか等のテーマを付属幼稚園で研究してほしいものです。

「学問に王道なし」

は百も承知ですが、あやしい教材を駆逐する意味でも、ぜひ教育の現場で仮説-検証サイクルを回してほしいですね。

あっ、ただし、家庭内でこのサイクルを回すと炎上する場合がありますのでご注意を。