季節によって気温が変化するのは、
地球の軌道が円ではなく楕円だからです。
と書いてありました。「目が点になる」とはこのことか。本当に目が点になってしまっていたかもしれません。
もしかしたら、ジョークサイトでどこかにネタバラしが有るのでは無いかと思いましたが、どうやらジョークでは無かったようです。
◇太陽からの距離の変化と気温
季節による気温の変化は地球と太陽の距離の変化で起こるのではないことはご存じのことと思いますが、敢えて地球と太陽との距離の変化と気温の変化について考えてみることにしましょう。
確かに地球の軌道は円軌道ではないので、太陽に近い時期と遠い時期が存在します。太陽に一番近付いた場所を、近日点、遠い場所を遠日点といいます。
「日(=太陽)」に近い点だから近日点、遠い点だから遠日点。判りやすいですね。
さて、地球の近日点と遠日点での太陽までの距離はというと、
近日点における地球・太陽の距離 ≒ 1億4700万km
遠日点 〃 ≒ 1億5200万km
その差は何と、 500万km。地球と月の平均距離が38万km程ですから、その13倍も変わるのです。こんなに変化するのなら気温に変化を与えてもおかしくは無いですね。と言いたいところですが 500万kmと言わずに、変化の割合で言えば、
近日点での地球は、遠日点でより 3.3%太陽に近い。
と言い換えると、なんだか急にたいしたことが無い気がしてきます。
太陽から地球へ降り注ぐ太陽のエネルギー(光の)はどう変化するかというと、この量は太陽までの距離の二乗に反比例しますから、遠日点で地球へ降り注ぐ太陽のエネルギーを 100とすると、
近日点で地球に降り注ぐ太陽エネルギー
= 100 * 1.033 * 1.033 ≒ 106.7
増加量は6.7%ということになります。確かに近日点の方が太陽から受けるエネルギーの量は増えるのですが・・・。この6.7%の増加を多いと思うか少ないと思うか・・。
◇地球と太陽との距離で「季節変化」は説明出来ない
地球と太陽との距離の変化で地球に降り注ぐ太陽のエネルギーの量には変化が有りますが、これでは地球の季節の変化を説明することは出来ません。
地球と太陽の距離の変化は北半球と南半球との区別など無く同じに起こるのですから。
よく知られるとおり、北半球と南半球では季節が逆になります。北半球が夏なら南半球は冬という具合ですね。
もし、地球上の季節の変化が太陽からの距離によって起こるとしたら、地球が近日点付近にあるときには、北半球でも南半球でも「夏」になり、遠日点付近では「冬」にならなくてはならないことになります。実際の季節の変化のように北半球と南半球の季節が逆になることの説明出来ません。
◇季節変化は「自転軸の傾き」が原因
地球上に季節変化が起こる最大の理由は、地球の自転軸が地球の公転面(地球が太陽の回りを巡る軌道面)に対して直交していないからです。傾きの角度は約23.4°。
この傾きによって、地球上のある点での太陽の南中高度角(南半球では北中高度角)は一年の間に、46.8°(=23.4°× 2)も変化します。地球の表面(大地)が太陽から受ける単位面積当たりのエネルギーは、
sin(太陽高度角)
に比例します。単純に太陽の南中高度で計算してみることとして、東京での太陽の南中高度を調べてみると、
東京での冬至の頃の太陽南中高度 ≒ 30.9°
〃 夏至 〃 ≒ 77.8°
では、夏至の時期に大地が受ける単位面積当たりの太陽のエネルギーは冬至の時期を100とするとどれくらいになるかというと、
東京の夏至の時期における大地が受ける単位面積当たりの 太陽エネルギー
= 100 × sin(77.8°) / sin(30.9°) ≒ 190.3
何と 90%以上のアップです。ほとんど倍。
これは太陽の南中時刻だけの比較ですが、さらに夏至の頃は冬至の頃に比べると太陽が地表を照らす時間も長いので、その効果も考えれば効果はより大きなものになります。
地球の自転軸が公転面に対して傾いているため、地表面と太陽の成す角は一年の間に大きく変化します。そしてこれが地球上で季節の変化が起こる主な理由となるのです。
多分、学校の理科の時間に学習したはずの内容のはずなのですが、その時代から月日が流れて、記憶があいまいになってしまったため、おさらいのつもりで、さらに少し突っ込んだ展開にしました。
子供に聞かれて、「地球と太陽の距離が変わるからだよ」なんて答えないために、もう一度思い出してみたいですね。