あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

今年も一年ありがとうございました。

2015年12月26日 | うんちく・小ネタ



今年一年の総括として、SMBCコンサルティング発表の2015年ヒット商品番付を見ました。
東の横綱に鎮座するのは「自然科学分野2部門でノーベル賞受賞」。

2012年の「iPS細胞」、2014年の「青色LED」と、日本人のノーベル賞受賞が正横綱の定位置となってきました。
モンゴル勢に支配される大相撲のうっ憤をここで晴らしたかも。

西の横綱は、「体操日本男子」。昨年は「羽生結弦、錦織圭」でしたから、ここはスポーツ枠になりつつあるようです。
あの内村選手にリスペクトされる白井選手がリオで活躍すれば、またこの場所に帰ってくるはずですね。



東の大関は、「ラグビー日本代表」。昨年の正大関は「妖怪ウォッチ」でしたが、W杯をテレビ観戦していると、サモアやニュージーランドのラグビー選手の中に、妖怪なんじゃないかと思う風貌の選手が何人かいました。(失礼をお許しの程)西大関「北陸新幹線」、東関脇「火花」、東前頭筆頭「あさが来た」、東前頭6枚目「機能性表示食品」…。



あれ、あの本が出てこない。



東京都が750万部を発行し、各世帯に無料配布した防災マニュアル「東京防災」。B6版340ページ箱入りの重厚さに加え、濃厚かつリアルな内容が評判を呼び販売希望が殺到。「利益を出すわけにはいかない」と在庫を140円で販売したものだから即欠品。
話題性と発行部数は十分横綱級ではないですか。
早速、防災キャラクター「防サイくん」がセンターに立つ黄色と黒の表紙をめくってみました。
平時の心がけや防災グッズ、避難所マップ等のありきたりな内容かと思いきや、避難生活での体操、子供の遊ばせ方、仮設住宅の入り方、生活再建支援手続き等々、これぞ最終マニュアルという感じで少し怖くもなりました。

他に、長ズボンでリュックサックを作る、牛乳パックでスプーンを作る、タオルとハンカチとアルミホイルで単三電池を単一電池に変えるといったサバイバルマニュアルもかなり斬新。

まあ、災害は無いに越したことはないですから、番付外になったのではと納得して、2015年大団円とさせていただきます。



知識は深く広く

2015年12月13日 | うんちく・小ネタ



以前、フランス料理店で得意先と会食した際、在籍するソムリエに接待を助けてもらったことがあります。
その客人は自宅にワインセラーを持つワイン通。生半可じゃない蘊蓄に気絶寸前だった私をソムリエが救ってくれました。
会話を盛り上げながら「3本で4万円」という予算内でヴィンテージをセレクトし、客人の舌を納得させてくれたのです。
客人の言われるままのワインだと10万円を超えていたらしい・・・。
それまでの「ソムリエなんて趣味の延長線上にある道楽的職業で、さほど世の中の役に立っていない」という偏見を猛省し、
浅学を恥じました。



この事件がきっかけで交流が始まった件のソムリエから、気象予報士取得に向けて勉強中との連絡がありました。
気候変動でブドウの成分が変化し、ワインの味に影響が出ていることが動機だとか。
気温が上昇するとブドウの糖分が増し、発酵で生成するアルコール濃度が高まるそうです。
アルコール分が高いワインは苦く感じられ「ホット」という評価になる一方で、シャープで爽やかな味をもたらす酸味は熟すにつれて
減少するため、温暖化はワインの爽やかさを低下させてしまうとのこと。



気候変われば風味も変わる。名ワインは育てるものにして造るものにあらず、なのだとか。
事実、世界各地のブドウ畑で品種の見直しが始まっています。
赤ワイン用のピノ・ノワールを育てるカリフォルニア州カーネロスの畑では、シラーや白ワイン用のソーヴィニヨン・ブランを
試験栽培しているそうです。

もちろん、木の列の向きや葉の配置を変えて日陰を増やす工夫も抜かりないとのこと。



カーネロスやブルゴーニュといった地域の「大気候」、各地のブドウ園という「中気候」、葉という日よけの下にあるブドウの房の
「微気候」。
ソムリエが気象予報士を取得する意義は十分にありそうです。
とすると放送局のお天気お姉さんやお兄さんがソムリエを取得し、天気予報にワインの蘊蓄を絡める日が来るのかもしれない、
と思った次第です。