あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
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勉強しなさい

2012年03月19日 | うんちく・小ネタ

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【歳月人を待たず】(さいげつひとをまたず)
[陶淵明、雑詩「時に及んで当に勉励すべし、歳月人を待たず」]
年月は人の都合にかかわらず過ぎて行って、少しの間も止まらない。今の時を大切にして努力せよ、という戒めにも用いる。
                         《広辞苑・第六版》

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◇勉強しなさい
「勉強しなさい」

言われたところで、あるいは言ったところで「はい、勉強します」とはならないのが世の常。言う方も言われる方も

  またか

と思うだけで効果の程は、どれほどあるか。

 「時に及んで当に勉励すべし、歳月人を待たず」

この言葉もそうした意味の言葉の一つとして使われることがあります。こちらの方は文語の響きがありますから「勉強しなさい」よりはずっと重々しい感じがしますが、それでも「またお説教か」と、若い頃はどちらかといえばマイナスの印象を受ける言葉でした(一応、「若い頃は」と限定)。

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                             陶淵明
                                                             

◇陶淵明さん、あなたまで?
「またお説教か」と思ったこの言葉が、陶淵明の雑詩の一部と知ったのは言葉自体を知った大分後のこと。そのときは、ショックでした。

 陶淵明さん、あなたまでこんなことをおっしゃるとは!

「我、五斗米の為に腰を折りて郷里の小人に向かう能わず」と職を辞して田舎に帰ったという貴方までが・・・。

しかし、これは断章主義の生み出した誤解でした。断章主義とは、文章の一部を切り取って、本来の文脈とは無関係に解釈する(ある意味、勝手に)というもの。

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陶淵明の雑詩にはこの言葉の前段に「歓を得なば当に楽しみをなすべく」とあります。陶淵明は

「ぼやぼやしていると楽しい時を逃し、充実した時間を味わうことなく年老いて死んでしまうかもしれない。だからその時々に真剣に向かい合いなさい。」

と言っているだけで、「勉強しなさい」と説教しているわけではないのでした。ああよかった。

 
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◇今になれば思うこと
「勉強しなさい」と説教される年頃には、なかなか分からないことですが、勉強それ自体は、楽しいものです。大人になると、皆一様に口にします。

 ああ、若いときにもっと勉強しておけばよかった

と。そして誰に「勉強しなさい」と云われるわけでもないのに、勉強を始めたりします。「あの時もっとしておけば」と悔やんでみても仕方がない。
歳月は人を待たずですから。

過ぎてしまった時間は取り戻せませんが、これから先の時間だけでも真剣に向かい合って、楽しい時を過ごすことにしましょう。

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試験勉強へのオマージュ

2012年03月05日 | うんちく・小ネタ

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日本人は物事をゴロ合わせで覚えるのが大好きだと何かで読みました。誰もが中学時に「鳴くよウグイス平安京」で794年を暗記し、高校に上がると「リヤカーなきK村動力」でリチウム=赤、ナトリウム=黄、カリウム=紫、銅=緑という炎色反応を諳んじたものです。
最近だと、ゴロで覚える古文の解釈が流行らしく、「こぼちゃんつっぱり皿壊す…こぼつ=壊す」というような、何だかファンキーなフレーズも飛び交っているようです。

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そう言えば、サラリーマンの宿命ともいえる幹部研修でもゴロ合わせが大活躍とか。 

PDCA                                                 「Plan→Do→Check→Action」。これぞビジネスゴロの定番というべきもの。「計画→実行→評価→改善」というサイクルを回すことで、事業の質が継続的に向上します。ただ、PDCA自体はゴロになっていません。
 
                                                              3K2D                                                        「カン、コツ、経験、度胸、妥協」という悪い仕事の進め方の頭文字を、マンションの間取りのようなゴロで覚えます。

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チャチャチャ                                                    躍進企業の共通点は「チェンジ、チャンス、チャレンジ」。変化に対応し、勝機を逃がさず、挑戦し続けるというキーワードを体育会系でゴロ合わせしたものです。

                                                            アイウエオチップス                                                誰かが意識を失って倒れた時の原因を推測する医療系ゴロ合わせ。Alcohol(急性アルコール中毒)、Insulin(低血糖症)、Uremia(尿毒症)、Encephalopathy(脳症)、O2(低酸素症)、Temperature(体温異常)、Infection(感染症)、Psychogenic(精神疾患)、Stroke(脳出血)。

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人材VSOP                                                          「Vitality、Sensibility、Originality、Professional」。優れた人材とは、活気に溢れ、感受性に富み、独自性を持ち、その道のプロであること。これを満たす人材が「人財」になるというオマケ付き。                                                            ただし、VSOPがゴロになるのは昭和までで、ブランデーどころかアルコール自体を忌避する草食系にとっては、VSOPはゴロでも何でもないようです。

                                                                                    以上5例。試験のために覚えるゴロではないという点がミソであり、難点でもあります。コンサルタントの先生は正解のないビジネス道の道標だというのですが、果たしてどうなのか。

今度、コンサルタントも驚くビジネスゴロを作ってみようと思った次第です。

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