あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

2016年

2016年12月25日 | うんちく・小ネタ




今年一年の総括として、SMBCコンサルティング発表の2016年ヒット商品番付を見ました。

東の横綱に鎮座するのは、「リオ五輪の快進撃」。昨年、西の横綱だった「体操日本男子」が他の種目も巻き込んで正横綱になった感じで、五輪全体が凄い盛り上がりでした。

西の横綱は「ポケモンGO」。ここは、一昨年から「羽生結弦、錦織圭」「体操日本男子」と続いたスポーツ枠でしたが、アウトドア系ゲームに取られてしまったようです。



東の大関は「君の名は。」 西が「北海道(新幹線・日ハム・大谷翔平)」。
そして、昨年東の横綱だったノーベル賞ネタが「日本人3年連続ノーベル賞」として東の関脇まで降りてきて、西の「ピコ太郎」と並んでいます。

日本人のノーベル賞受賞が日常化したからか、ピコ太郎がノーベル賞級ということなのでしょうか。

東小結「広島カープ」、西小結「インスタグラム」、東前頭筆頭「IQOS」、西前頭筆頭「シン・ゴジラ」…。



東前頭4枚目でやっと食品登場かと思ったのですが、パスタではなく「バスタ新宿」で、結局食品は西前頭5枚目の「熟成肉」のみ。
 
まあ、今年は今後の社会や経済に大きく影響を与える出来事が多く、毎年何種類か登場していたのですが、今年は食品どころではなかったのかも知れません。



「マイナス金利」「五輪のコスト見直し」「豊洲市場問題」「イギリスのEU離脱」「トランプ現象」等々。
このような解析不能の混沌とした環境を、「VUCAの時代」と言うそうです。


Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字でVUCA。


確かにピコ太郎のヒットは、予測も解析も不能でした。
とはいうものの予測不能などという言い訳がビジネスで通用するはずもなく、来年も仕事に精進することを宣言して、2016年大団円とさせていただきます。





おぼろ夜に思う大陸

2016年12月19日 | うんちく・小ネタ




高校に入学したばかりの頃、地理の授業の中で「ヴェーゲナーの大陸移動説」だけは楽しく聞き入っていたような気がします。
世界地図のアフリカ東海岸と南米西海岸をつなげて、「なるほど」と。


「朧夜のベッド大陸移動説」 仲 寒蟬

地球は中心核が高温、表層は低温だから中心と表層の間のマントルで熱対流が生じ、このマントル対流によって地球表層を構成するプレートが移動。
仲 寒蟬先生の作品は、数億年のスケールを朧夜のベッドに落とし込んだ名句です。
先生は寝相が悪かったのかな。



ところで、このままマントル対流が続いたとして、現在の6大陸はどうなるのか。
海洋研究開発機構の吉田博士は、表層プレートとマントルの動きをスーパーコンピューターで数値シミュレーションし、2億5000万年後に北米大陸とユーラシア大陸などが合わさった巨大な「超大陸アメイジア」が形成されると発表しました。(アメイジアとはアメリカとアジアを合わせた造語)



10万年刻みのシミュレーションによると、ユーラシア大陸は北半球にとどまり続け、南米と南極大陸もあまり動かない。
一方、オーストラリア大陸はインドネシアの島々とともに速いペースで北上して日本列島に近づき、ハワイ諸島も太平洋プレートに乗って日本に接近。
1億5000万年後には、日本列島はユーラシア大陸とオーストラリア大陸に挟まれ、ハワイともくっつく。
そして、2億5000万年後には北米大陸の北東部が北極海を横断してシベリアと接し、超大陸アメイジアとなるのだそうです。

またまた地理の授業がおもしろくなりそうですね。





「短夜や大陸少しずつ動く」 桐木知実

桐木さんは高校3年生で、掲出句は第19回俳句甲子園全国大会の優秀作品。
いつの時代も大陸移動説はロマンを掻き立て、一夜の思いに結実するのかもしれません。




トラップ

2016年12月04日 | うんちく・小ネタ



今年の4月、アルゼンチンで開催された「第15回世界最優秀ソムリエコンクール」の様子が、BSの番組で詳細に紹介されていました。
優勝は、ニューヨーク「チャーリー・バード」のヘッドソムリエを務めるスウェーデン代表ローゼングレン選手。
2位はフランス代表ビロー選手、3位はアイルランド代表デュプイ選手でした。日本人は森選手(コンラッド東京)が8位で石田選手(ホテル日航大阪)が13位。




審査の対象は接客技術とワインのテイスティングが基本で、出題されたワインの味と香りと色から「産地、ブドウ品種、生産年」を推測し、相性のいい料理を提案。
「ピノ・ノワール、ブルゴーニュ、2004年。これには鴨肉のローストがぴったりです」という感じで・・・。
厄介なのは、客に扮する審査員が出題するオーダーの随所に仕掛けられた巧妙なトラップ。




・オーダー1.
「超辛口(エクストラブリュット)のモエシャンドンを下さい」

・トラップ1. 
モエシャンドンに超辛口は存在しない。

・模範解答1.
最も糖度が低く超辛口に近い2006年のモエを勧める。ノンビンテージは糖度9なのですが2006年は糖度5という知識が求められるのです。もちろん、「超辛口ではないのですが」とのコメントを添えることも必要。

 


・オーダー2.
「おすすめのシャンパンを出してください」

・トラップ2. 
卓上のグラスに少量のシャンパンが残っている。

・模範解答2.
グラスを新品に差し替える。意外なことですが、テイスティングに集中するあまり、卓上のグラスに飲み残しのシャンパンがあることに気づかず、そのまま注いでしまう選手が多いのです。




・オーダー3.
「舌平目のムニエルに合うワインは赤白どちらですか」

・トラップ3. 
一般的には白ですが、主賓はどうしても赤が飲みたいという。

・模範解答3.
わかりました。ムニエルに柑橘を添えて赤に合わせましょう。単に客のわがままを受け入れるだけでは勧めた意味がなくなります。ひと手間かけて合わせる。赤ワインを冷やすという選択もいい。





これはもう、超難関としか言えません。
では、日本でも日本らしい素材を用いたソムリエコンクールを開いてみるのはどうでしょう。
例えば、「だしのソムリエ制度」をつくってコンクールを開催なんていかがでしょうか。

オーダーは「うるめ煮干しとかつお煮干しのだしで味噌汁」。
トラップは「かつお煮干しは存在しない」。
 

あぁ、トラップの妄想ばかりが膨らんでしまいそうです。