あんなこと こんなこと 京からの独り言

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食の面倒をサポートするビジネス革命到来?!

2020年09月15日 | うんちく・小ネタ


ある市場調査を行っていた知人が、スーパーのレジ近くに立っていると、
買い物かごの中に、「ある法則」が存在することに気付いたといいます。

「ベテラン主婦の買い物かごを見ても夕食メニューは想像できませんが、
新米主婦のかごの中からは容易に食卓がイメージできる」 というのです。

ベテランは生鮮3品(肉、魚、野菜)の素材中心で、新米は「○○の素」的な
加工食品や出来合い惣菜が多いとか。



自身の記憶をたどると、母親の買い物かごにはいつも生鮮3品が詰まって
いたような気がします。
それはそれで懐かしいのですが、加工食品メーカーの存在意義は、調理の
手間を代行して献立を提案することが業績につながるのですから、新米主婦
を応援してこその売り上げといえます。


 
つまり、料理をすることが「めんどくさい」と思ってくれる新米主婦のおかげ
で加工食品メーカーは成り立っているのです。

この「めんどくさい」をキーワードに現代社会を総括しているのが、仏文学者
の鹿島茂先生。

「日本企業は贅沢の提供からめんどくさいことの代行業へシフトした」

「めんどくさいことを嫌う人々がいないと経済が成り立たない状況になりつつある」

とおっしゃっているのです。



確かに、「めんどくさいこと」の代行商品は多い出回っています。
テレビ通販とネットショッピングで家に居ながらにして物欲は満たされ、ウーバー
イーツとインスタント食品と冷凍食品があれば外食も不要になります。
そして、過剰に進化した家電製品に囲まれ、アニメとユーチューブで欲の入る
隙間もありません。

草食系だからではなく「めんどくさい」から女性を口説かないという日本男性の
意識確変が起きているという話も耳にします。
・・・とはいうものの、ここに商売のネタがあることは間違いありません。



鹿島先生の、
「贅沢には限度がある。けれど、面倒と感じることには限界がない」
というコメントを頼りに、料理を「めんどくさい」と思う人たちに厨房代行商品
を日本の加工食品メーカーは、我が日本の食卓に提供し続けるしかありません。
それがこれからの食品業界全体への牽引力となる可能性があると期待したいものです。

そう、食事自体を「めんどくさい」と思う人が出現する前に。


9月

2020年09月01日 | 日記
9月