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「舞姫」「山椒大夫」「阿部一族」など、作家として名をはせた森鴎外ですが本業は陸軍軍医。
19歳で東大医学部を卒業したエリートなのです。そして、エリートゆえの悲劇を巻き起こしてしまいました。
日清日露戦争時、兵隊は脚気に苦しみ脚気による病死者が戦死者以上にいたそうです。
白米に疑いがかかるも、森は脚気細菌説を主張し、1日6杯の白米で脚気は防げると言いながら死者を出し続けてしまいました。
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対する海軍は、軍医高木兼寛が麦飯で脚気は根絶できることを実験データで証明して麦飯を導入。
海軍の脚気死者ほぼゼロを達成したのです。
脚気はビタミンB1欠乏症。胚芽部分に含まれるビタミンB1をそぎ落とす白米中心の食事だと、脚気になるのは当然ともいえます。
なのに、プライドの高い森鴎外と陸軍は、決して麦飯を取り入れようとはしなかったようで、兵士の数が多い陸軍において、麦飯の供給には限界があるという事情を考慮しても、少し頑固すぎたかも知れません。
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高級な白米より安い麦飯を食べたほうが健康になるという皮肉。
参勤交代で念願の江戸詰めになると体調が悪くなり、田舎に戻ると健康体に戻るという「江戸わずらい」もビタミンB1欠乏症でしたし、刑務所の服役で麦3割配合食を続けたら糖尿病が改善したという事例もあります。
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昨今のシリアルブームで雑穀が高値で売られていますが、昔の田舎や塀の中で暮らした人にとってはおかしい話しですね。
白米至上主義とくだらないプライドのせいで、日本はビタミン研究の世界で後れを取ってしまったのです。
救いは、世界が高木兼寛を評価していること。
フランスの南極探検隊は、1905年に発見した岬を「高木岬」と名付けました。長期航海で脚気に悩まされていたのですが、高木兼寛の研究のおかげで改善。
敬意を表しての命名だったそうです。耳を貸さなかった陸軍とは大違い・・・。
大東亜戦争への迷走は、ここから始まっていたのかも?しれません。
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