あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

おしどり夫婦

2009年12月28日 | うんちく・小ネタ

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仲のいい夫婦のことを「おしどり夫婦」といいますが、実際のところ、おしどりの夫婦は仲がいいのでしょうか?

おしどりはカモ科の鳥で、秋に日本に渡ってくる時はオスもメスも同じ色をしています。
普通の鳥は春に夏羽になりますが、カモ類は越冬地に着くと全身の羽が生え変わり、12月に夏羽になります。

特におしどりは、オスの方が美しく生まれ変わり、ダンスをしてメスの気を引き、つがいになるそうです。

このオスにメスが寄り添う姿が、江戸時代頃から正月の置物や結婚式の飾りとして使われるようになり、次第に「おしどり夫婦」が仲のよい夫婦を表すようになったそうです。

実際はどうかというと…本当に「仲がいい」ようですね。
ただ、ヒナが生まれると別れてしまうそうです。残念ながら、結婚して半年ぐらいまでの仲のようです。

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メスは30日も卵を1人で温めつづけるのですが、その間、オスは、他のオスと群れをつくって遊びに出かけたり、他のメスに求愛したりだそうです。
ヒナがかえっても子育てはメスまかせで、家にエサも入れようとしないとか。
メスは妊娠そうそう、シングルマザーになる運命のようです。

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こうなると、次の繁殖期が来ると、多くのおしどりは別の相手とペアを組んで子作りに励むのだとか。
以下、この繰り返し・・・だそうです。
繁殖期間は一応一夫一妻制を守っているようですが、学者によっては、この時期でも一夫多妻制だという説を説く方がいるようです。

どうやら、人間よりもはるかにフリーダムのようですね。

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                                                              さて、今年7月からスタートさせたこの「京のほけん屋 あんなこと こんなこと 京のひとりごと」も、半年となり、新年からは7ヶ月目へと突入致します。
多くの方々とのコミュニケーションを通して、少しづつですが、このブログをはじめる前に抱いていた夢に近づいて来ました。
とはいえ、まだまだ恥ずかしい限りの稚拙なブログです。
これからも、一層のご教示を賜りたく、お願い申し上げます。


               ―お願い―
本年の更新はこの記事をもって終了と致します。
新年は1月11日か12日に更新する予定でいます。
年始からコメントを戴いても、返信は控えさせて戴きたく、ご容赦の程お願い致します。(殆どの場合が新年のご挨拶コメントの繰り返しになってしまいますので、それぞれの方への心からの御礼の気持ちが、同じようなコメントでは、失礼ながらも伝わりにくくなりそうで怖いのです。ひとりひとりの方に感謝の念をお伝えしたいという本意を、同一のコメントにしてしまわないようにという信念を貫かせて戴きたく、心よりお願いの程)

そこで、出来ましたら、コメントのやり取りは年内までとし、次は1月からの記事に、新年のご挨拶抜きでお願いしたいと思っています。

勝手ながら、お願いの旨、ご理解賜りたく宜しくお願い致します。

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クリスマスって?

2009年12月21日 | うんちく・小ネタ

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12月ともなれば、避けては通れない(?)クリスマスの話です。

◇クリスマスはイエスの誕生日?
クリスマスは何の日かと質問すれば、返って来る答えはイエス・キリストの誕生日と言うのがほとんどですが、本当にそうなのでしょうか。

福音書の記述にはイエスの誕生日が書かれていません。そのためキリストの誕生日は福音書が書いている誕生の前後の事実から推定するしかないのですが、そうした推定された誕生日の中に、12月25日 というクリスマスの日付はみつかりません。

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たとえば、イエスが厩で生まれた時、一番にこれを祝福に訪れたのは近くで野宿していた羊飼いであったとされていますが、冬のこの時期には氷点下にまで気温が下がると言うシナイ半島で野宿しているというのは、かなり無理がありますし、大体冬の草のない時期に、羊飼いが荒野で野宿する必要性がない(草がないので、この時期に放牧するはずがない)のです。
この羊飼いの記述が事実であるとすれば、イエスの誕生日は初夏の頃辺りがそれに相応しそうということになります。

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                                                          ◇クリスマスはイエスの「誕生を記念する日」
イエスの降誕記念日については三世紀始め頃、アレキサンドリアのクレメンスが5月20日と推測しています(これだと、先に書いた「初夏の頃」に合致します)。

現在の12月25日 がクリスマスとして祝われている記録は、AD336 のローマの行事を記述したフィロカロスの暦が最古と言われています。ここには12月25日 にキリストはベツレヘムでお生まれになったと書かれているということですが、これは史実としての日付というより「太陽の誕生」の日と考えられた日付に「義の太陽の誕生」という意味で当てられたものだろうといわれています。

キリスト教歳時記(八木谷涼子著・平凡社新書)によれば、12月25日はイエスの「誕生を記念する日」であって、この日にナザレのイエスが生まれたと主張するクリスチャンは子供を除いてはいないと書かれてあります。

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                                                           ◇キリスト教の布教とクリスマスの関係
キリスト教は世界宗教として拡がって行く過程で、聖人の記念日の多くをキリスト教布教以前にその地で行われた行事の日付に当てるという方法をとってきました。

これは、その地域で行われている行事はそのままにして、行事の意味だけをキリスト教的なものに替えることによって、徐々に世界にキリスト教を自然に浸透させていく方法だったそうです。

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                                                             12月25日 のクリスマスもこの戦略の一環。
 
この日は当時のローマでは「冬至祭り」の意味合いの日で、キリスト教以前にローマ帝国で広く信仰されていた太陽崇拝のミトラ教では、

 不滅の太陽の誕生の日

として大々的に祝われる日だったのです。太陽の誕生日が冬至にあたっていたこの日とされたのは至極当然と考えられます。
これに対して、キリスト教ではこの日を

 義の太陽(すなわちキリスト)の誕生の日

としてこの冬至祭りを、キリストの誕生を祝う日へと変えていったのです。太陽に対して「義の太陽」というキリストの象徴に置き換えたということですから、人間としてのイエスの誕生日という意味はそこにはなく、あくまでも象徴としての

 キリストの誕生を記念する日

だといえそうです。

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                                                            ◇二つのクリスマス
西方教会と呼ばれるローマ・カソリックやプロテスタントの多くは、祭礼の日付を現在のグレゴリウス暦で祝います。

これに対して東方正教会と呼ばれる正教会系の教会では祭礼の日付はユリウス暦を用いている場合が多いので、ユリウス暦での12月25日 にあたる日(現在なら、翌年の 1月7日がクリスマスとされています(日本の正教会系の教会では、クリスマスだけはグレゴリウス暦での12/25 日としているところもあるそうです)。

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◇・・・
子供に、「クリスマスって何の日?」と尋ねたら

「ケーキを食べて、サンタさんにプレゼントをもらえる日」

と答えるでしょう。現代日本の大部分の人にとって、クリスマスの意味ってこの子供のの答えのようなものでしょうか。

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赤穂義士祭 

2009年12月14日 | うんちく・小ネタ

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師走も半ばを過ぎると毎年どこかのチャンネルで放映される赤穂浪士討ち入りの様子。
講談風に言えば

  元禄十五年極月十四日・・・

極月は12月の異称と言うことで、12/14 は赤穂義士祭が行われる日です。

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現在は赤穂浪士という呼び名が定着していますが、これは大佛次郎の小説「赤穂浪士」(昭和 4年)がTVドラマ化されて定着したものと言われ、それ以前は、赤穂義士という呼び名が普通だったようです。

元禄十五年と言えばAD1702年ですが、十二月十四日は新暦だと翌年AD1703年1月30日にあたります。
ただ、討ち入りの時刻は「寅の刻」となっていますから、正しくは日付は翌日の12/15 (新暦では1/31)。

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寅の刻という時刻ですが、本来「寅の刻」というような使い方は暦で用いる時刻の表示法で定時法、現在の時刻で言えば午前 3時~ 5時の間ということになります。ただ、この当時は普通に用いられていた時刻は明け六ッ、暮れ六ッを基準とする不定時法でしたので、これと混同していた可能性もありそうで、午前 4時~ 6時少し過ぎくらいとなります。
そうすると、大体午前 4時頃の討ち入りと考えてよいでしょうか。

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旧暦で十四日ですから、小望月と言うことになります。TVなどでは、雪の降る中での討ち入りになっていますが、これは「仮名手本忠臣蔵」に書かれた情景で、実は脚色なのです。実際はよく晴れて寒い夜だったようです。
また、月が明るい晩だったはずとされていますが、試しにこの日の東京(江戸)での月と太陽の様子を調べてみると、

   月出 14:34 , 月没 05:15 , 月齢 13.2
   日出 06:43

…と、満月に近いことは近いのですが、討ち入りの時刻の頃に、月は随分と西の空の低い場所にあって、月齢から考えるほど「明かり」としての効果はなかったかも知れません。

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                                                                 吉良上野介の首級をあげた時刻は「卯の刻」。 
定時法では午前 5~ 7時、不定時法で考えると午前 6時10分頃~となります。
どちらを考えても、首級をあげて引き上げる頃には、空が白んでいたことは間違いなさそうです。

  11_3                                        大石内蔵助                                                                  

こうやって史実を知ることで、メディア等から植えつけられたイメージを払拭してみるのも、一考かと思っています。

現在は、新暦の12月14日 に東京都港区泉岳寺、兵庫県赤穂市大石神社で「赤穂義士祭」が行われています。

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新型インフルエンザ考察

2009年12月07日 | うんちく・小ネタ

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新型インフルエンザ対策に関する情報が錯綜しています。
キムチが効く。ヨーグルトを20日間食べると抵抗力が増す。
麻黄湯はタミフルより効果的等々。

とりあえず季節性インフルの予防接種を済ませて様子をうかがう今日この頃。学術雑誌を精読し、新型インフルに関する情報をまとめてみました。

                                                                   夏でも流行
熱帯のベトナムやインドネシアでも、季節性インフルは毎年普通に流行する。
確かに、実験室レベルだとウイルスは高温多湿が苦手ですが、飛沫が主な感染経路となると環境はあまり関係ないことになります。

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                                                          先祖はスペイン風邪                                                    1918年のスペイン風邪流行時、ウイルスはブタに入って定着しました。畜肉用途が多いブタは免疫が形成される前に世代交代するので、ウイルス自体は免疫から逃れるための変異を必要としません。ですから、新型ウイルスはスペイン風邪当時の形質を保っていて、当時を生きた高齢者に免疫が残っている可能性が高いのだとか(米国疾病対策センターの調査だと、65歳以上の免疫保持率約30%)。

Photo_2                             スペイン風邪によるアメリカの隔離風景

                         567                           日本における「スペイン風邪」の被害報道


ブタ型
つまり、いま流行しているウイルスは完全なブタ型なのです。それでもヒトからヒトに感染するのですから、完全なヒト型に変異したら大変です。第2派が怖いのです。ヒトの免疫から逃れるためにどんどん変異して拡大することになります。

                                                             高温好き
新型ウイルスは高温好きだそうです。肺炎になる患者が多いのは、35℃前後の喉より40℃近くある肺を好むからだとか。

                                                           パラドックス
ウイルスの目的が増殖と感染拡大だとすれば、宿主であるヒトには健康で歩き回って、周囲にうつしてもらわなければ困るわけです。 エボラのような死亡率99%ウイルスは、決して広がりません。ウイルスにとって、ヒトは病気だけど元気でいてもらいたい存在ということですね。
・・妙に哲学的です。

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学習の結果、究極の予防グッズとしてダチョウマスクに行き着きました。ダチョウに作らせた抗体を卵から回収し、マスクにしみこませた抗体マスクがあるそうです。(「化学」「日経サイエンス」「日経メディカル」09年11月号掲載)20枚入り6720円。ダチョウの卵1個から8万枚のマスクが生産できるそうです。

                                                           塚本康浩教授のマスク
メスのダチョウに4種類のウイルス抗原を注射し、抗体量が最大になる2週間目以降に産卵した卵から抗体を取り出し、マスク素材の不織布にしみ込ませるそうです。卵1個から得られる抗体は約4gで、マスク8万枚分(ダチョウは半年で100個産卵するとか)。         (ダチョウの卵は鶏卵約25個分です)

なお、マスクは乾燥状態ですが、抗原抗体反応には水分の存在が必須だそうです。表面パリパリ、中しっとりの特殊な不織布を使用したことが成功のポイントだったみたいです。
京都府立大教授とオーストリッチ・ファーマ社の代表取締役を兼務する塚本先生ですが、ダチョウに囲まれるお姿は、ダチョウ博士の二つ名にふさわしい勇姿です。

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その他・・・

岡野雅行代表の注射針
マスク着用と同時にワクチン接種で自己防衛。予防接種で「痛くない注射針」が使われる日を願われています。
痛くない注射針とは、通常の半分サイズで蚊の針とほぼ同じ直径0.2ミリ(内径0.08ミリ)の注射針です。糖尿病患者をインスリン注射の苦痛から解放する画期的商品を開発したのは、従業員6人の岡野工業を仕切る岡野代表。
この加工を100社以上に断られたテルモ社の思いに、ステンレス素材の神業的プレス加工で応えたのだそうです。

ちなみに、小泉元首相も同社を訪問し「痛くない」と感嘆したそうで、今では笑い話のように語られています。

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                                                           鼻にスプレーするインフルエンザワクチン
米国では今年10月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まりました。使われたのが、鼻の粘膜にスプレーするタイプのワクチン。
このスプレー式ワクチンは、日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入し、既に接種している病院もあるそうですが、自己責任、費用は自己負担だそうです。
日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい為。聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話しています。
国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められているそうです。                                                           

                                                             貼るタイプのワクチン
京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組んでいます。 直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100~250本並んでいて、その突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いています。
腕などに貼ると溶け出し、体内に吸収される仕組みとか。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほどで、痛みを感じる真皮には届かない仕組みです。
海外では、貼るタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告もありました。

               

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                                                                  予防対策としてのうがいと手洗いは当たり前のことながらも、まずは、病気の事を知り、その対策などについても、いろいろと日頃から聞きかじっておくことは、良いことだと思っています。
皆さんも、くれぐれもご自愛、ご留意のほどを。

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