あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

チャンスに変えろ

2019年06月15日 | うんちく・小ネタ



若者が食事にお金をかけなくなって久しく、販売ターゲットを若年層から中高年に変更することが各業界の常となっています。
若年層はコンビニよりドラッグストアを好み、食費を削ってスマホなどの支払いを工面している様子。

今や、ライバルはどこに潜んでいるかわからない乱世なのです。

食品メーカーの製造現場でも、しばしば意外なライバルが出現して原材料の奪い合いになっているとか。




例えば、トウモロコシでんぷん。
発酵によるバイオエタノールの生産が盛んになり、トウモロコシが食品業界に回らなくなったのです。

結果、トウモロコシでんぷんを原料とする調味料や糖類が高騰。バイオエタノールと縁の薄い日本国内ではピンとこないライバル出現でした。



エネルギー市場は手強い。他にもシェールガスの掘削にグアーガムという増粘剤が使用されるようになり、価格が15倍に高騰しました。

環境に配慮する米国では天然の増粘剤を使用することを免罪符に掘削を進めたい思惑もあるようです。
エネルギー問題が、増粘剤を配合するアイスクリームやドレッシングの製造コストを上げてしまったのです。




思惑が外れたライバルもいます。加工食品の包装容器に使用されるポリビニルアルコールという資材は酸素を透過しない特性で、品質保持に威力を発揮してきたのですが、ある時、液晶パネル業界から高値オファーを受け、食品業界からの決別を宣言してしまいました。

しかし、リーマンショック以降、日本の液晶パネル産業は失速。出戻った食品業界でも居場所がなく、ポリビニルアルコールは苦戦を強いられています。



そして、最近では「エバール」という機密性包材も食品業界から出て行ってしまいました。
家庭用冷蔵庫の断熱材用途の方が儲かるのだとか。

また、業務用の貸し冷蔵庫がカーボンファイバーに占拠され、食品原料を受け入れてくれなかったという事例もあります。

ライバルは、いつどこに現れるかわかりません。

逆に考えれば、チャンスはどこにでもある、と肝に銘じる次第です。