あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

1里=4km

2014年02月17日 | うんちく・小ネタ

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ミズノが「わらじ」をヒントに開発したウォーキングサンダル「<wbr></wbr>ウェーブリバイブ」。
発売以来3万足を売り上げるヒット商品に育った「現代版わらじ」<wbr></wbr>ですが、これを履いて甲州街道を徒歩で踏破しようとする人がいるのです。
なんでも、ご先祖様を調べると、江戸の高井戸の「長兵衛」<wbr></wbr>というはきもの屋に行き着くとか。
高井戸は甲州街道を出発して最初の宿場町。<wbr></wbr>日本橋から4里のところにあり、わらじを新調するのにちょうどいい距離だったそうで、<wbr></wbr>はきもの屋長兵衛は繁盛したのだとか。
 
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ただ、最初の宿場が4里先というのは旅人にとって少々きつく、<wbr></wbr>東海道の品川宿も中山道の板橋宿も日光街道の千住宿も、<wbr></wbr>すべて日本橋から2里のところにあります。
だからなのか、<wbr></wbr>高井戸宿が整備されてから約100年後の1698年、今の新宿1丁目から3丁目あたりに内藤新宿ができました(<wbr></wbr>新しい宿場だから新宿)。
出発してまだ2里とはいえ内藤新宿でわらじを交換する旅人も多く<wbr></wbr>、高井戸宿長兵衛の売上は激減したそうです。
 
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この人は「ウェーブリバイブの機能性を検証するだけ」<wbr></wbr>と言っていたのですが、そんな動機で下諏訪宿までの53里は無理ではないでしょうか。
たしかに、ウェーブリバイブのフィット感は凄いらしく、<wbr></wbr>わらじ研究の第一人者である東京大学 深代教授と、<wbr></wbr>ミズノ開発スタッフの4年にわたる共同研究の成果物だけに科学的根拠も十分。
 

 

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昔のわらじのどこが機能的かというと、<wbr></wbr>鼻緒がソールの最先端部分から出ていて、履くと足先がソールの前にはみ出す感じになること。これにより、<wbr></wbr>キック時に足指が下がり、<wbr></wbr>膝が自然に前に押し出される感じで負担が軽減されるというのです。
とはいえ、薄っぺらな履物で1日に8里前後も歩いたのだから、<wbr></wbr>江戸人の健脚は
ほんとうに凄いですね。
 
 
車移動中心の日常。
 
これじゃ駄目だと、とりあえずウェーブリバイブを購入し、4里を<wbr></wbr>試し歩きしてみようかと思うこの頃です。
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運命に抗わず

2014年02月02日 | うんちく・小ネタ
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                                                                         いまでこそ、<wbr></wbr>書物とのふれあいは何ものにも代え難い最高の悦楽ですが、幼時、わけもわからず強要された読書は、<wbr></wbr>暗い記憶として未だに心の奥底によどみ続けています。
「ガリバー旅行記」「宝島」「エジソン」「野口英世」「<wbr></wbr>星の王子様」等々。
とにかく無理やり。そんな中で、「ファーブル昆虫記」<wbr></wbr>だけはおもしろく読み進んだことを克明に記憶しています。
 
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なにせいきなりフンコロガシ…なのです。<wbr></wbr>逆立ちして後ろ脚でフンを転がすことを日々の営みとする昆虫がいて、<wbr></wbr>そのディテールを記録する先生がいます。小学坊主にとって、<wbr></wbr>壮大な偉人伝より目線を落とした観察日記の方が感情移入しやすか<wbr></wbr>ったに違いないのです。
 
そんなフンコロガシが、<wbr></wbr>星を追いかけるロマンチストであることが最近発表されました。
 
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スウェーデンのルンド大学の研究者らは、<wbr></wbr>月のない夜でもフンコロガシがまっすぐ進んでいることに気づいたそうです。<wbr></wbr>目隠しをしたフンコロガシは直進できない。
ならば、目印は星ということになります。
そこで、<wbr></wbr>フンコロガシをプラネタリウムに連れて行くと見事に直進したのだ<wbr></wbr>とか。この時の必須条件が天の川。
きらめく星空を用意しても、<wbr></wbr>天の川がなければ直進できなかったのですね。
 
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                                                                      何ともおしゃれではないですか。<wbr></wbr>生業で生物を差別してはいけません。
動物界で、<wbr></wbr>天の川を道標に使っていることが実証された気高き最初の事例なの<wbr></wbr>です。
ふと、NHKの「みんなのうた」で、伊武雅刀さんが歌った「<wbr></wbr>フンコロガシは、忙しい」を思い出しました(2006年6月)。
 
「家族の幸せコーロコロ LOVE&PEACEだコーロコロ まだまだいけるぞコーロコロ フンは、小さな地球だよ 丸く収めてしまいましょ」
 
 
フンを地球になぞらえるなんて、<wbr></wbr>まるで天の川仮説を予見していたみたいです。そして、秀逸のサビ。
 
「何も悩んではいけません 転がすことが運命です」
 
 
おお、この哲学的達観。おそるべしフンコロガシ、<wbr></wbr>おそるべしみんなの歌。
悩んではいけないのです。
運命に抗わず前進するのみなのです。
フンコロガシを昆虫記の巻頭に持ってきたファーブル先生の深意に<wbr></wbr>、姿勢を正す今日この頃でした。
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