今日は耳障りについて少しお話を致します。
【耳障り】 (みみ ざわり)
聞いていやな感じがすること。聞いて気にさわること。
「耳障りな話」「耳障りな雑音」
《広辞苑・第五版》
「耳ざわりの好い音楽」という説明を聞いたり見たりしたことがあります。勘違い言葉というものがあるとするならこの「耳ざわり」はその勘違い言葉の代表格だと思います。
もし「みみざわり」を漢字で書けばこの勘違いは一目瞭然。
耳障りの好い音楽
では、好い音楽なのか癇に障る音楽なのか。
何か変だとすぐにわかります。
おそらく「耳ざわり」の勘違いは手触りとか肌触りといった「触り」と「障り」を混同した結果生まれたものでしょう。
肌触りの好い生地
といった使い方があるように「さわり」を「触り」とすれば「耳触りの好い音楽」と言う表現もなるほどと思いますが、やはり音楽が耳に「触る」というのは、まだちょっと無理があるように思えます。
「耳ざわりの好い音楽」なんていう言葉そのものが、とっても「耳障り」な存在です。
「耳障り」と同じ使い方をする言葉としては「目障り」と言う言葉がありますが、こちらは流石にまだ「耳触り」流の勘違い言葉は生まれていないようです。
「目障りな奴」とは言っても、「目ざわりのいい眺め」と言われたら誰でもきっと「?」と感じることでしょう(目に触られたとしたら痛いでしょうしね)。
願わくば「目ざわりのよい色合い」なんていう文字を、今後も目にすることがないことを祈りたいものです。