あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
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年末年始のご報告

2013年12月22日 | インポート

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「どのようにして」 から 「なぜ」 へ

2013年12月15日 | うんちく・小ネタ
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                                                                  最近の医学研究のトレンドは、「HowからWhyへ」。
すなわち、どのようにして病気になるのかではなく、<wbr></wbr>なぜ病気になるのかを
追究することで新たな治療法を開発するというもの。
NHKスペシャル「病の起源」でも、<wbr></wbr>がんのHowとWhyが解説されていて、
 
How…
細胞分裂の際のコピーミスで異常増殖が起こり、がん化
Why…
進化の代償
 
という結論でした。
進化の代償とは、<wbr></wbr>700万年前に共通の祖先からヒトとチンパンジーに分かれて以降、ヒトが進化する過程で得たものと引き換えに、<wbr></wbr>がんのリスクを背負ってしまったという意味です。
 
だから、がんによる死亡率は、ヒト30%に対してチンパンジー2%。
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進化の代償を具体的に紹介すると・・・。
                                                                  700万年前…<wbr></wbr>繁殖戦略として常に精子が増殖する能力を獲得した代わりに、がん細胞も増殖するようになった。
180万年前…<wbr></wbr>脳細胞が増殖して脳が巨大化し知能を獲得した代わりに、がん細胞も増殖するようになった。
 
6万年前…<wbr></wbr>人類がアフリカを出て北半球で生活するようになった代わりに、紫外線量の少なさゆえのビタミンD欠乏でがんリスクが増大した。
 
じゃあ、どうすればいいか。
進化で獲得した優秀な脳で治療法を研究するべしということで、<wbr></wbr>180年前の進化に着目。
 
                                     1_4
 
                                                                 脳細胞の増殖とがん細胞の増殖に共通に関与した物質が脂肪酸合成<wbr></wbr>酵素「FAS」であり、FASの働きを阻害すれば、<wbr></wbr>がん細胞が死滅することがわかってきたのです。
副作用のない新たな治療法が登場しそうですね。
 
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HowからWhyへ。<wbr></wbr>身近な食品でもこの考え方を取り入れてみましょう。
 
どのようにして美味しいだしを取るのか…<wbr></wbr>1リットルのお湯にかつお節を30グラム入れて弱火で5分。
 
なぜ美味しいだしをとるのか…<wbr></wbr>だしが効いていると薄味でも味がぼけず減塩で美味しいメニューができるから。
 
どのようにしてグルタミン酸の旨味を認識するのか…<wbr></wbr>舌の受容体で検知して脳に信号を送るから。
 
なぜグルタミン酸の旨味を認識するのか…<wbr></wbr>タンパク質の存在を察知することで必須栄養素を確保できるから。
 
                                                                 あらゆるビジネスシーンで「HowからWhyへ」<wbr></wbr>という思考を取り入れてはどうかと思った次第です。
 
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友情

2013年12月01日 | うんちく・小ネタ
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ペットフードに関するこんなクレームがあったそうです。

「おたくの商品使ってるんだけど、<wbr></wbr>かつお節の骨がウチのワンちゃんに刺さったのよ」
私が企業のお客様相談員だったら、「<wbr></wbr>魚ですから骨くらいありますよ」と答えてしまい炎上必至。
よって、「申し訳ございません」と不条理に耐えるのみでしょう。
昔、<wbr></wbr>ペットの犬は一家の夕飯の残りをまとめて骨ごとガジガジ食べてい<wbr></wbr>たのではなかったでしょうか。<wbr></wbr>いつから小さな骨にてこずるようになったのか…。
 
最良の友として食事を共有していた時代が懐かしいです。
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ウプサラ大学(スウェーデン)のリンドブラード博士は、この「<wbr></wbr>食事の共有」こそが、犬とオオカミの違いだとネイチャー誌に発表しています。
犬はオオカミに比べて体が小さく社交的で攻撃性が低いが、<wbr></wbr>全ての犬はオオカミの子孫だとされているのです。
 
では、いつ犬はオオカミから離れたのか。
DNA研究によると、犬がペットになった時期は約1万年前で、<wbr></wbr>これは人類の農耕のはじまりと同時期。
つまり、麦や稲という農作物の傍らに人間と犬がいて、<wbr></wbr>ともにデンプンを糖に分解して吸収する能力を獲得していったことになります。これを「<wbr></wbr>平行進化」というようですが、進化を共にしたのですから、これ以上の「友情」<wbr></wbr>はありません。
 
ちなみに、オオカミはデンプンを消化することが出来ません。
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                                                                   ところで、昭和の食卓に占める炭水化物の割合は今より高く、<wbr></wbr>カロリーベースで昭和21年81%、昭和40年72%。そして、<wbr></wbr>平成17年60%。
炭水化物ダイエットが浸透するとさらに減少しそうですが、<wbr></wbr>人間と犬をつないだ栄養素なのですから、共に炭水化物を食べようではないかと、<wbr></wbr>公言してみたくなります。
毎年、開催されるペット関連商品の展示会の最近の傾向は、<wbr></wbr>マダムがだっこする犬の大半がサングラスをかけていること。
単なるおしゃれなのか紫外線カットなのかは不明ですが、「<wbr></wbr>骨が刺さった」と悪態つかれても仕方がない佇まいです。
どうやら、最良の友を巡るビジネスは、<wbr></wbr>とどまるところを知らないようです。
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