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絶命丼?

2019年11月16日 | うんちく・小ネタ



「鰻(うなぎ)」は近い将来、第二の鯨肉になるかもしれません。
稚魚のシラスウナギが獲れない。今年は特に不漁で、仕入れ値は前年の4倍に跳ね上がったとか。
シラスの減少は河川の護岸工事や河口堰などによる生息環境の悪化、乱獲などが原因とされていますが、なにしろその生態は謎が多く、よく分かっていないのです。



「鰻丼」の話を書いてみようと思っていたのですが、少々気が重い・・。
そもそも絶滅危惧種の「レッドリスト」に入ったニホンウナギを「とにかく美味しいから・・」と言って、食べ続けて良いものでしょうか?



平賀源内が「土用の丑の日に”う”のつく鰻を食べると夏負けしない」というキャッチコピーを考案した頃は、近くの河川で鰻がいくらでも獲れたのです。

私が子供の頃、各地の河川で、透明な稚魚がよく獲れたようで、そんな報道を何度も耳にしてきたことを思い出しました。

それほど日本中の河川に鰻が遡上していたのです。



シラスウナギが獲れなくなったので、養鰻業者は価格を抑えるために「太化(ふとか)」という策を考えました。
一匹の鰻の体重を増やして、従来の2倍の身にしようという試みのようです。

以前から”鰻蒲焼”の代用食が考案されていました。
いわしの蒲焼やなまずの蒲焼、もどき料理では山芋やナスを使う丼があります。
「鰻もどき」の蒲鉾を買ってみたことがありますが、いやはや冷や汗もの。

所詮フェイク料理であり、一抹の悲しみを誘う代用食でした。



鰻料理を本業とする老舗は各地で頑張っています。

かつて名の売れた名店、大阪の曽根崎「大巳」さんは廃業してしまいましたが、値が上がった鰻の中でもより良い鰻を仕入れ、上代を上げずに踏ん張っている老舗も多くあります。

関西風の地焼きなら関目高殿「魚伊」、木津市場「川上商店」。

鰻の隠れた大消費地=中京地区では東京・大阪とはまったく違った鰻料理があります。

三重県津市「新玉亭」、岐阜市「なまずや」、郡上八幡「魚寅」、名古屋市・大須「大松」。

濃厚な”飴炊き”のような蒲焼です。

関東なら、東京赤羽橋の200年続くのれんの味「野田岩」、日本橋「伊勢定本店」「喜代川」、神田「きく川」。老舗の深い味わいを楽しめます。



悩んでばかりはいられません。美味しい「鰻丼」は、今のうちに・・・!?