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夕暮れ時に民家の間を縫うように走るひなびたローカル線に乗っる機会があると、
車内で必ず頭をよぎる妄想があります。
「このまま失踪してみたい」
自分のことなど誰一人知らない異郷の地で、一からやり直す。染みついた垢と
しがらみを捨て、リセットした自分を想像してみるのです。
詮無い願望ではあるのですが、ささやかな鉄旅の一興としては悪くはありません。
そんな願望を叶えてくれるのが、アランジアロンゾ著の写真絵本の
「どこへいくカッパくん(角川書店)」。
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主人公のカッパくんは、ある日なんだか切なくなって朝一番の電車で海に向かいます。
そして、車中で居眠りして見た変な夢で、もうひとりの自分がこう提案します。
「いい考えがある このまま失踪する で、やりなおす」
・・・
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そういえば、どこでやりなおしているかは不明なのですが、2006年に突然失踪してしまった
生物がありました。
ミツバチです。
当時、世界中で不可解なミツバチの失踪が相次ぎ、数百万もの巣箱が空になり、
授粉を必要とする100種類近くの作物が危機に瀕したのです。
日本国内でもミツバチ不足は深刻で、イチゴ、メロン、スイカなどの栽培に影響が
出ていました(日本で飼育されているミツバチの約2割が授粉用)。
ミツバチ泥棒なんて一見メルヘン(?)な犯罪も発生したりしてます。
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全世界におけるミツバチの授粉作業を労働コストに換算すると2150億ドルにも
なるとか。つまり、ミツバチがいなくなれば、この金額がそのまま農作物の単価に
乗ってくるのです。
また、アインシュタインの「ハチが地球上からいなくなると人間は4年以上生きられない」
という真偽不明の予言まで取り上げられたりしていました。
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2013年に失踪の原因はネオニコチノイド系農薬だとEUが発表しましたが、反論
も多く、確定はしていないそうです。
そう。ならば、ぜひここに失踪願望説を加えてもらいたいものです。
働き続けたミツバチの思い切った行動に、自身を重ねて観て、こう思いました。
「いい考えがある このまま失踪する で、やりなおす」
そんな勇気、どこにもないからこその、敢えての妄想ですが・・・。
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