あんなこと こんなこと 京からの独り言

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菌で探せ

2017年03月26日 | うんちく・小ネタ



昨年放送されたNHKの土曜ドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」に、全国の香料研究者が熱狂したそうです。
阿部寛演じる主人公が、犯行現場に残されたわずかな匂いを手掛かりに驚異の嗅覚で犯人像を特定し、逮捕に協力するストーリー。
犯人と絡みのある香気成分を表現するため、画面上に次々と有機化合物の構造式が登場。
有機化学の知識のある視聴者は、画面に向かって 「それは違うだろう」 「なるほどその通り」 と熱くなったりしていたそうです。



そんなマニアックな刑事ドラマのネタになりそうな研究が、理化学研究所で進んでいるとか。腸内常在菌研究です。
ヒトの腸には重さにして1.5kgもの細菌が棲んでいるそうです。これらの腸内常在菌には善玉菌、悪玉菌、環境次第でどちらにもなる日和見菌が存在しています。

そして、その構成は年齢、性別、肥満度、食生活、運動習慣などの違いから個人差が極めて大きいのです。

つまりは個人が特定できるかもしれないということ。

たとえば、主な腸内常在菌がフィルミクテス、ルミノコッカス、クロストリジウム、バクテロイデスという人物の生活特性は、

「喫煙・飲酒なし、便秘気味、標準体重、60歳以上の女性」

というところまで絞り込めるというのです。

ただ「犯行現場に落ちていた犯人のウンチから腸内常在菌を検出し、容疑者を特定」という設定には無理があります。

ドラマ「バクテリアン 腸内常在菌捜査官」の実現は難しそう・・ですね。



実際のこの分野の応用は、肥満防止や健康長寿につながる予防医療です。

遺伝的な肥満マウスの糞を無菌マウスに摂取させると、そのマウスの体脂肪が47%増加したそうですが、やせ型マウスの糞では27%しか増えなかったというデータがあります。

つまり、肥満を促進する腸内常在菌が存在したわけですね。



他にも健康長寿につながる常在菌として、ビフィズス菌、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、コプロコッカスなどの研究が進んでおり、長寿菌が特定されつつあるとか。

確かに、犯罪捜査よりダイエットや長寿の方が人類にとってのメリットが大きいわけです。


・・・とはいうものの、「相棒」か「科捜研の女」あたりの一話完結枠で、腸内常在菌からの犯人逮捕をネタにしてもらえないかと願う日々なのであります。



バンザイなので・・あり・・ます

2017年03月12日 | うんちく・小ネタ


早食いは肥満のもとです。
国立健康・栄養研究所などの研究グループが、全国の女子大生1695人を対象に実施した調査によると、食べる速さが「とても速い」と答えた人の平均体重は55.4kg。
「とても遅い」と答えた人より平均で5.8kg体重が重かったことがわかりました。

身長差を考慮するためにBMI値も比較したようですが、「とても速い」が22.0、「とても遅い」が19.6。
やはりダイエットには、ゆっくり食べることが必要なんですね。



この調査での発見は、早食いの人ほど食物繊維の摂取量が少なかったということ。
食物繊維の少ない食事は食べやすく、早食いが加速。満腹中枢が機能する間もなく必要以上に食べてしまうのです。
他に、早食いの人ほどダイエット経験者が多いということも分かりました。




私は食物繊維の多い食品を好んで食べますが、どちらかというと早食いです。
なので、2時間かけて食べるフランス料理のフルコースは耐えられません。
「早く次の料理持って来て~」とクレームをつけたことも。まぁ、悲しいかな、貧乏性が抜けきらないのでしょう。

フランス料理のスタイルが確立したルイ王朝の頃、貴族にとって食事は数少ない娯楽のひとときであり、2時間なんてあっという間だったとか。

クラシックのコンサートも2時間、オペラも2時間。ついでに江戸時代の一刻も2時間。
2時間は優雅な時代の1単位だったのです。




育ちがいい人ほど遅食いで、優雅に食べて5.8kg体重が落ちるというならそれもいいですね。

けれど、本当においしいものをカウンターで食べる時は早食い上等。
揚げたてのキスの天ぷらをペロリ。にぎりたての中トロをペロリ。出された瞬間の最高の味を瞬時にいただくのがカウンターの流儀ではありませんか。


だから(?)・・・早食い万歳なのであります。