あんなこと こんなこと 京からの独り言

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改良という名の元の苦労

2016年08月28日 | うんちく・小ネタ



商品のリニューアルは新商品の発売より難しいといわれています。
まず、売れない商品のリニューアル。徹底したマーケティングと最高の技術で生み出した新商品が売れない時、引導を渡された開発者の苦悩が始まるのです。
これ以上どこをどう改良すればいいのか。いっそ廃番にしてほしい~、とまで考え込んでしまいます。



さらに難しいのが売れている商品のリニューアル。そもそも、なんで売れているのにリニューアルするのかと開発者は不満を吐いてしまいます。
それは、食品の場合
 
「美味しいものほど飽きる。売れているものほど飽きる」

というセオリーがあるからなのですが・・・。

美味し過ぎず、適度にぶれる家庭料理と違い、外食、コンビニ、加工食品は徹底的においしく、ぶれない。
だから必ず飽きられてしまう。売れているからこそのリニューアルなのです。



懐かしの「ベビースターラーメン」も、リニューアルには手を焼いてきたそうです。
1959年発売のベビースターラーメン。駄菓子屋の帝王の座に甘んじることなく、時代に合わせて少しずつ塩分を減らしてきました。そして、1988年にはチキン味に加えてカレー味とみそ味を追加。
つまみやすいように固めた「ベビースターラーメン丸」もヒットしました。



ところが、2010年のリニューアルは大失敗。本物のラーメンに近づけるというコンセプトで麺を太くしたのですが、何十年も食べ続けているヘビーユーザーが離れてしまったのです。定番客は本物が食べたいわけではなく、駄菓子屋のベビースターラーメンを求めていたわけです。

麺の太さは2ヶ月で元に戻しました。



亀田製菓「ピーナッツ入り柿の種」も1966年の発売当初はあまり売れず、1977年に窒素ガス充填した個包装6袋入りが大ブレイク。
ただ、ピーナッツと柿の種の配合比率はリニューアルで迷走。発売当初は「柿の種7:ピーナッツ3」だったのですが、もっとピーナッツを食べたいという消費者の声を受けて「5:5」にリニューアル。

しかし、これが不評で、結局現在は「6:4」に落ち着きました。


上位2割の定番品が全体の8割の売り上げを稼ぐといわれる食品業界。
ヘビーユーザーの声に耳を傾けつつ、自信を持ってリニューアルに挑戦しなければならないのです。