Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

WINTON MARSALIS / Christmas Jazz Jam

2009年12月25日 22時23分11秒 | JAZZ
 こちらは出たばかりのウィントン・マルサリスのクリスマス・アルバムだ。前回の「Crescent City Christmas Card」が1989年の制作だから、20年振りのクリスマス物ということなる。ついでに書けば、私が最近けっこう聴いている彼のアルバムは1990年代初頭くらいのものばかりだから、一気に20年近くの年月を越えて(私はこの間に出た彼のアルバムを私は全く聴いていない)、最新の彼の作品を聴いたということにもなる。ちなみに前回のアルバムの時、彼は28歳だったから、今回のはだいたい48歳の時ということになる訳だけど(考えてみれば、彼はまだ48歳なのだ)、まさにジャズのメインストリームをあっと言う間に征服し、血気盛んだった秀才が、50近くになってどんな音楽をやっているのか....そんな興味も感じさせるアルバムだ。

 内容だが、基本的にはほとんどアルカイックといってもいい、ディキシー・ランド・ジャズである(マルサリス+10ピース・バンドという編成、曲にょってはボーカルも入る)。その意味では前回の「Crescent City Christmas Card」と似たようなところがないでもないが、今回は肌触りが大分違う。前回が全体に楷書体の演奏、アレンジで、生真面目かつ律儀に作られたアルバムだったとすると、本作は一曲目の「サンタが街にやってくる」から、ぐっと肩の力が抜けた、素直に音楽が楽しさのようなものを全面に出しているのが如実に感じられる仕上がりだ。なにしろアルバム・タイトルが「クリスマス・ジャム」だから、当然といえば当然かもしれないが、なにしろ最近は彼の若き日の制作した、細部までコントロールしきったような音楽を聴いていたので、このリラックスぶり、豪快のスウィングしている様は、やはり20年という歳月を感じないではいられない。「ジングル・ベルス」や「ブルー・クリスマス」などの曲で感じられる、良い意味で弛緩したムードなどその典型だ。また、定番の「Christmas Song」と「Have Yourself a Merry Little Christmas」は、前者はかなりムーディ、後者はこのアルバムでは唯一モダンで都会的なアレンジで演奏されているが、どちらもかなりいい仕上がりだ。

 他の曲も八割方お馴染みのものばかりである。前述の通り、基本的にはオプティミズム全開といった感じのディキシー・ランド・ジャズなので、あまり自分の嗜好からすると好みの音楽とはいえないが(もっともモダンなアレンジなども当然随所に取り入れてはいそうなのだが)、とりあえずどの曲も非常に快活にスウィングしているし、問答無用に楽しんでいることが伝わってくるので、以前の作品のような息苦しいところがないのはいい。もっともマルサリスだからして、完全主義的なところは随所に出てくるが、このくらいならあまり気にもならない。
 という訳で、本年のクリスマス・アルバム・シリーズは都合8枚も紹介することできた。例年に比べればけっこう多い方か。ちなみにマルサリスに始まり、マルサリスに終わったのは全くの偶然である(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする