「Jムード」のカルテットで86年12月に収録された2枚組にライブである。これまでのアルバムからのベスト選曲、アルバム未収録曲、そして充実したインプロヴィゼーションとライブ盤に必要な要素が全て完備した内容になっている。マルサリスはこれ以降、「自分探しシリーズ」を敢行、また大編成指向、作曲家指向などが強まることもあり、こうしたオーソドックスな新主流派風の音楽はしばらくごぶさたしてしまうこともあり、このアルバムでマルサリスは「初期5年間の総決算」をやらかしたという趣も感じられる。ロックの方では活動のひとつの区切りとして、ベスト選曲のライブ盤でそれまでの活動を総決算するというのは、一種の常套パターンだが、ジャズの方ではけっこう珍しいのではないか?。とにかく、マルサリスのジャズ・トランペッターとしての実力が遺憾なく発揮された作品であり、どこを切っても「これでどうだ!」的な自信に満ち満ちた、威風堂々たる内容になっている。
1曲目はバンド・テーマともいえる「ノーズ・モウ・キング」、この曲はスタジオ版も凄い出来だったが、このライブはそれを上回ること数倍といった感じの凄まじいパフォーマンスになっている。なにしろマルサリスの超高速な「トランペット版シーツ・オブ・サウンド」が凄い。並のプレイヤーなら決めやハイライトでこうした高速フレーズを使ったりするところだが、マルサリスは最初から最後まで、ギターもかくやと思わせる早さで吹ききっている。アラン・ホールワーズと同じで、あまりにスムース、あまりに当たり前に吹いているので、うっかりすると速いことすら感じさせないのだ。2曲目の「ジャスト・フレンズ」はスタンダード・ナンバー。マルサリスはミュートをつけて、都会的な雰囲気で吹いているが、ここではジェフ・ワッツのブラシがなかなかいいグルーブ感を出している。途中、テンポが自在に増減させていくのは、この時期のこのバンドの特徴的アレンジだろう(今聴くと、古いスタイルをそのままやってると思われたくないがために、一種のアリバイ作りみたいな感じで、ちょっとあざとい気もするが)。間奏曲的な「ノーズ・モウ・キング」をはさんで、4曲目の「ホワン」はミディム・テンポのブルース・ナンバー。途中のマルサリスのワイルドな展開するソロもいいが、こういう曲だと後半を受け持つマカース・ロバーツのピアノが若さに似合わず味があっていい。ちなみに「ノーズ・モウ・キング」と並んで「ホワン」も、途中何度も顔を出すが、これも当時のバンドのテーマ曲のようなものだったのだろうか?。
「チェロキー」は「スタンダーズ・タイム」に収録されたのとほぼ同じアレンジで(テーマがポリリズムというか複音楽的なアレンジ)、2分半ほどで終わる。続く「デルフィーヨのジレンマ」と「チェンバーズ・オブ・テイン」は、文句なくディスク1のハイライトだ。どちらも「ブラック・コーズ」の収録曲で、オリジナルにはブランフォードが入ってがいたが、ここではワン・ホーンで彼が居ない分、ロバーツの存在感が大きくクローズ・アップされた格好だ。前者は奔放なマルサリスのソロのバックで、かなりホットなプレイを展開しており、両者がヴィヴィッドに触発しあっているのが良く分かる。後半のソロは前任にケニー・カークランドに比べると色彩感のようなものは劣るが、その分ブルース的なフィーリングが濃厚なプレイとなっている、個人的にはケニー・カークランドのアカデミックなプレイが好みだが、こちらももちろん悪くない。後者は15分にも及ぶ長尺演奏で途中ジェフ・ワッツのドラム・ソロがフィーチャーされている。前曲でもそうだったが、このパフォーマンスでのジェフ・ワッツのドラムは相当にハイテンションだ。冒頭のアフリカ的な導入から込み入ったリズムをものともせずに、バンド全体を鼓舞しているのはさすがだ。マルサリスもアルバム冒頭の「ノーズ・モウ・キング」並の超高速フレーズで応えている。これまたすさまじい。
1曲目はバンド・テーマともいえる「ノーズ・モウ・キング」、この曲はスタジオ版も凄い出来だったが、このライブはそれを上回ること数倍といった感じの凄まじいパフォーマンスになっている。なにしろマルサリスの超高速な「トランペット版シーツ・オブ・サウンド」が凄い。並のプレイヤーなら決めやハイライトでこうした高速フレーズを使ったりするところだが、マルサリスは最初から最後まで、ギターもかくやと思わせる早さで吹ききっている。アラン・ホールワーズと同じで、あまりにスムース、あまりに当たり前に吹いているので、うっかりすると速いことすら感じさせないのだ。2曲目の「ジャスト・フレンズ」はスタンダード・ナンバー。マルサリスはミュートをつけて、都会的な雰囲気で吹いているが、ここではジェフ・ワッツのブラシがなかなかいいグルーブ感を出している。途中、テンポが自在に増減させていくのは、この時期のこのバンドの特徴的アレンジだろう(今聴くと、古いスタイルをそのままやってると思われたくないがために、一種のアリバイ作りみたいな感じで、ちょっとあざとい気もするが)。間奏曲的な「ノーズ・モウ・キング」をはさんで、4曲目の「ホワン」はミディム・テンポのブルース・ナンバー。途中のマルサリスのワイルドな展開するソロもいいが、こういう曲だと後半を受け持つマカース・ロバーツのピアノが若さに似合わず味があっていい。ちなみに「ノーズ・モウ・キング」と並んで「ホワン」も、途中何度も顔を出すが、これも当時のバンドのテーマ曲のようなものだったのだろうか?。
「チェロキー」は「スタンダーズ・タイム」に収録されたのとほぼ同じアレンジで(テーマがポリリズムというか複音楽的なアレンジ)、2分半ほどで終わる。続く「デルフィーヨのジレンマ」と「チェンバーズ・オブ・テイン」は、文句なくディスク1のハイライトだ。どちらも「ブラック・コーズ」の収録曲で、オリジナルにはブランフォードが入ってがいたが、ここではワン・ホーンで彼が居ない分、ロバーツの存在感が大きくクローズ・アップされた格好だ。前者は奔放なマルサリスのソロのバックで、かなりホットなプレイを展開しており、両者がヴィヴィッドに触発しあっているのが良く分かる。後半のソロは前任にケニー・カークランドに比べると色彩感のようなものは劣るが、その分ブルース的なフィーリングが濃厚なプレイとなっている、個人的にはケニー・カークランドのアカデミックなプレイが好みだが、こちらももちろん悪くない。後者は15分にも及ぶ長尺演奏で途中ジェフ・ワッツのドラム・ソロがフィーチャーされている。前曲でもそうだったが、このパフォーマンスでのジェフ・ワッツのドラムは相当にハイテンションだ。冒頭のアフリカ的な導入から込み入ったリズムをものともせずに、バンド全体を鼓舞しているのはさすがだ。マルサリスもアルバム冒頭の「ノーズ・モウ・キング」並の超高速フレーズで応えている。これまたすさまじい。