(童話)万華響の日々

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ブリューゲル「バベルの塔」 (都美術館)を観た印象

2017-06-02 17:16:39 | 展覧会

東京都美術館で現在開催中のブリューゲル「バベルの塔」展を観た、ボイマンス美術館の所蔵で24年ぶりの来日であるそうだ、ピーター・ブリューゲルは1526-1569年のベルギーの画家、出始めは聖書の物語を版画で示す、農村の風景や農民の絵を得意とした、ヒエロニムス・ボッシュの絵画も同時展示である、その他同時代の画家や彫刻家の作品もある、印象に残ったのとして「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」(ヨアヒム・パティニール1520年ごろ)と「ロトと娘たち」(同上)がある、聖書からの題材である、火と爆発の中で滅亡するソドムとゴモラ、

ボシュの絵画も幻想的で謎と寓意に溢れている、「放浪者(行商人)1500年ごろ」や「聖クリストフォロス 1500年ごろ」、また作者不明の「ムール貝」1562年というものが目を惹いた、

ブリューゲルの版画には、「大きな魚は小さな魚を食う」1557年、「七つの大罪から大食、邪淫」、「七つの徳目から希望、慈愛」などがあり、やはり寓意的だ、

今回の目玉はブリューゲル「バベルの塔」1568年である、これには図解と映像で開設がなされ解りやすい、東京芸大が製作した拡大複製画が展示されてあり細部を観察するのには便利、

兎に角バベルの塔の持つ意味は暗示的で黙示的であり500年を経た今でもモナリザの微笑(ダ・ビンチ)のように不可解なのである、巨大な塔は雲を突き抜け上へ上へと伸びて建造されていて、その最中にも下の階では人々が生活を営んでいる、しかも見ようによっては巨大な塔は画面左側に傾いているかのように描かれている、いつかは倒壊する運命が待っているように見える、この絵はまさしくいま現在の人類の姿そのものだ、

人類が究極を目指して進めているあらゆる分野についてこの「バベルの塔」は警告を発しているように思えてならない、自分らの陥っている生活、政治、社会や文明や科学技術についてよく見まわしてみないといけない