”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

あっちでゆっくりお食べ~♪

2024-03-06 00:05:23 | ブログ

昨年11月下旬、夫と私の学生時代の友人Nの奥様から

突然メールがきました。

「夫は今、ホスピスに入っています。

 学生時代のことをすごく懐かしがっているので、

 励ましの言葉をかけてあげてください。」

  

ホスピスに入る経緯も驚くべきものでした。

春に健康診断で初期の肺がんが見つかり、手術は成功。

その後も治療を続けながら仕事をしていました。

それが、10月に突然激痛が走り、それでも本人は歩いて病院へ。

 

でも、そこで言われたのは、がんが脊髄に転移していて、

もう手の施しようがないという残酷なものでした。

  

治療中にここまで進行する症例はかなり珍しく、ドクターも驚いていたらしい。

上半身は動かせるものの、下半身にマヒが生じ、寝たきりに。

 

1ヶ月前まで普通に仕事もしていた彼が、どうやってこの現実を受け止めたのか?

それを思うと、メールをするのも怖かった。

  

しかし、Nから夫に電話があり、笑い声が聞こえてくるのがわかった。

「あいつ、すっごい落ち着いていて、明るいんだよ。」

  

私も一度だけ電話で話した。

Nは自分がつらいのに、私の体のことを心配してくれた。

その声は、学生時代と変わらず、こんな状態になってもNの発する言葉は

前向きなものばかりだった。

  

 

私たちの大学は、今は府中に移ってしまったけど、

当時は北区西ヶ原四丁目という所にありました。

Nは「西ヶ原四丁目組」というグループLINEを作り、

Nと夫と私で他愛ない会話を楽しみました。

  

Queenの話題が多かったかな?

紅白歌合戦でQueen+アダムランバートの演奏が終わると、

Nから「Don’t stop me now 一曲だけとは!!

おじさんは怒っているぞ!!」とLINEがきた。(^-^)

  

 

どんな言葉を使ったら、Nはうれしいんだろうか?

「ガンバレ」なんて言葉、一番むなしい。

 

私たちは、Nにできるだけおいしい思い出を作ってあげようと思った。

12月には青島みかんを送った。

「あんな立派なみかん箱、久々に見たよ!」と大喜びされた。

  

年が明けて1月の10日あたりから、LINEに「既読」が付かなくなった。

急激に体調が悪くなったらしい。

やっと来た返事が「生きています」

 

  

「イチゴ、食べる?」

「いただきます」

 

  

私たちは、イチゴの発送を渋る直売所にお願いして

紅ほっぺを送ってもらった。

すると、食欲が全くなかったNがイチゴを完食!!

おいしそうに紅ほっぺを頬張る写真が送られてきました。

  

 

そして、1月下旬。

Nは、最後は自宅で療養することを選び、ホスピスを出ました。

自宅での生活は、Nの心を楽にしてくれたのか食欲も出て、

ご家族との時間を楽しまれたようだった。

 

でも、その後、また体調がガクンと下がり、

スマホやパソコンを触ることもなくなり、

操作の仕方もわからなくなってしまったようだった。

  

 

3月2日に奥様から

「お別れが近いようです。あと数日だと思います。」

と、メールが。

そして、3月4日の夕方、Nはご家族に見守られて静かに旅立っていきました。

  

 

最期のお写真が送られてきましたが、

本当に穏やかな表情で、

私は、悲しいというよりもホッとした気持ちになりました。

  

 

思えば、11月末のNの誕生日までもたないと言われ、

その次は年を越せないかもしれないと言われた。

それが、ドクターの予測をはるかに超えて3月まで生き抜いた。

もう頑張らなくていいからね。

やっと楽になれたね。

お疲れさま。

  

 

入院していたホスピスの性質上、面会には厳しい規定があり、

お見舞いも叶わなかったけど、

学生時代の思い出があればそれでいい。

  

  

Nはくるみパンが大好きだと言っていた。

 

 

夫がくるみパンを焼いた。

  

 

  

 

  

  

  

私は、このくるみパンをスライスしてサンドイッチを作り、

夫作のくるみパンの写真と一緒に

西ヶ原四丁目グループLINEに、この写真を送りました。

 

「くるみパンでサンドイッチ作りました。

 寒いからミネストローネも付けるね。

 あっちでゆっくりお食べ~♪」

 


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6 コメント

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青春時代の友 (りりん)
2024-03-06 10:05:21
同じ大学のキャンパスで青春を共にされたNさんとUmeさんご夫妻
たくさんの思い出があるのでしょうね。
ほんとうにお辛い事と思います。

心がこもったご夫婦手作りの「陰膳」というべきお料理
きっと笑顔で食べきってくださっと思います。
りりんさん、ありがとうございます。 (ume724)
2024-03-06 11:30:46
りりんさん、温かなお言葉をありがとうございます。
 
都内の火葬場が混んでいるため、
N君はまだご家族と一緒に最後の時間を過ごしています。
 
先ほど、奥様から
「LINEの写真を見せたら、ニヤッと笑った気がします。」と
西ヶ原四丁目グループLINEに返信がありました。
きっと、むしゃむしゃ食べてくれていると思います。
Unknown (oyajisann)
2024-03-06 11:41:04
ご友人のご冥福をお祈り申し上げます。
沢山の学生・青春時代の思い出。
憶えている事が最高の供養ですね。
無心に頬張られて天国向かってらっしゃるかな?
oyajisannさん、ありがとうございます。 (ume724)
2024-03-06 12:41:06
oyajisannさん、温かなお言葉をありがとうございます。
これからも彼のことを忘れず、
学生時代の思い出を大切に生きていきたいと思います。
 
きっと、むしゃむしゃ頬張っていることと思います。
「おかわり!!」の声が聞こえてきそうです。(^-^)
Unknown (luffy000616)
2024-03-06 14:22:48
ご冥福をお祈り申し上げます。
切ないですね
人は何の為に産まれ
何の為に死ぬのでしょうかね、、、
思い出だけを残して、、
真衣さん、ありがとうございます。 (ume724)
2024-03-06 14:35:24
真衣さん、こんにちは。
真衣さんご自身もお辛い時に、温かなお言葉をいただき、
ありがとうございます。

真衣さんには特別に美しい桜が待っています。
あともう少しですよ。(^-^)
 

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