民家 昔の記録 198003
■ 高知県梼原。坂本龍馬の脱藩ルート上にある山間(やまあい)の集落を訪ねたのは1980年の3月下旬のことだった。そこに茅葺の民家が点在していることを下の本で知り(当時はインターネットなど無かったから、情報を得ることは今のように簡単ではなかった)、春休みに出かけたのだった。あれからもう30年以上も経つ。
『カラー日本の民家』 山と渓谷社に紹介されている梼原の民家
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隈研吾は「人は建築を大きくしようとするが、自然は建築を小さくしようとする」と指摘し、インフラに頼らない小さな建築を試みている。自然に逆らわない負ける建築も同様の概念だろう。
黒川紀章は建築の内でも外でもない中間領域・中間体という概念や生物のように新陳代謝する建築という考え方、そうメタボリズムという概念も示した。さらにもともとは仏教思想である「共生」という概念も提示した。
これらの概念にぴったり当て嵌まるのが民家だ。更に加えて気候風土が形を決めるというデザインの必然性。このことも恣意的なデザインを施す現代建築の設計者は学ばなければならないだろう・・・。
温故知新ということばを思い起こそう。