■ 野に祀られている石神石仏の中では道祖神は最も馴染みの存在で、道祖神巡りを目的に安曇野を訪れる観光客も少なくないと聞く。私も以前は道祖神以外の石神石仏には関心がなかったが、数年前から道祖神に並べて祀られていることの多い二十三夜塔や庚申塔にも注目するようになった。
朝日村には30体を超える道祖神があるとのことだが、やはり道祖神と並べて庚申塔などが祀られているところが何ヶ所もある。上の写真には道祖神は写っていないが、すぐ右側に道祖神が祀られている。
写真左の庚申塔は大正9年12月に建立されたことが裏面の刻字で確認できる。右は「こだまさま」と通称される蚕の神様。かつてはこの地も養蚕が盛んだった。中は線刻された青面金剛像。
西川久寿男氏の『安曇野道祖の神と石神様たち』に**青面金剛が庚申待の崇拝の対象となったのは室町中期といわれるが、当時伝尸病(結核のこと)の治癒を青面金剛に祈る傾向が生まれ、(中略) 庚申の夜は青面金剛を礼拝する習わしとなっていったといわれている。**(140頁)と書かれている。(伝尸 でんし)
庚申塔には猿と鶏を付したものが多いようだが(多いと言い切るには観察数が足りない)、この像にも二猿二鶏が彫られている。**鶏を配したのは申の晩が明けると酉の日になるためといわれている**と前掲書にある。(143頁) なるほど!
裏面の刻字から昭和五十五年十二月に建立されたことと、この像の作者が友人のお母さんだということを知った。石神石仏に関心を持たなければ、このことを知ることはなかっただろう・・・。
長野県朝日村西洗馬にて 撮影120819