■ 「おかえり、栞の場所で待ってるよ」 今日(27日)から始まった読書週間の標語。
栞が枝折る(しおる)に由来することは昔何かで読んで知っていた。語源由来辞典にも次のような説明がある。栞は動詞「枝折る」の連用形が名詞化された語。「しおる」とは、山道などを歩く際、迷わないように木の枝を折って道しるべとする動作のことで、そこから道しるべを「しおり」と言うようになり、 さらに意味が転じ、書物の間に挟んで目印とするものや、案内書などを「しおり」と言うようになった。
ところで今や文庫でこの栞(栞紐)を付けているのは新潮文庫だけとなった。このことについて新潮社では次のように説明している。**「安価で軽装な文庫本といえども書籍であり、これを蔵書として扱う読者にこたえたい」 という考えが新潮文庫にあるからです。**
何年か前、「文庫は新潮、新書は中公」というタイトルの記事を書いた。(過去ログ)
なぜ岩波文庫ではなくて新潮文庫なのか。岩波は本当に読書好きの人がいつも持ち歩いていて、ボロボロになるまで繰り返し読む文庫というイメージがある。それに対して新潮は本そのものが好きで丁寧に扱い、読んだあときちんと書棚に並べて置く文庫というイメージ。私は先に引いた新潮文庫に栞を付けている理由の説明もこのことを補足しているように思う。
私の本(と書くとなんだか恥ずかしいような嬉しいような気持ちになる)も読んでいただいている人に「おかえり、栞の場所で待ってるよ」と優しく語りかけているだろうか・・・。
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