図書カードで本を買う図書カード9
■ 図書カードで買い求めた最後の本『スピリチュアルペイン』細田亮/幻冬舎を読んだ。
書名のスピリチュアルペインという耳慣れないことば、副題の死を待つ人の「魂の痛み」がこのことばの意味を示しているが、明確な概念規定となるとなかなか難しいようだ。
29ページの図表に「身体的苦痛」「精神的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」が痛みの分類として示されている。更にスピリチュアルペインの内容として「人生の意味、罪の意識、苦しみの意味、死の恐怖、価値観の変化、死生観に対する悩み」が同図表に挙げられている。
身体的苦痛、精神的苦痛は経験することがあるが、スピリチュアルペインというのは終末期患者となって初めて持つ痛み。これはどう生きて、どう死んでいくかという人生の本質に関わることであろう。医療だけでは対処できない痛みであることが本書に示されている。
第1章に「超高齢社会から多死社会へ」という見出しの節があるが、たくさんの人が亡くなることが社会問題化することが当然のこととして予見されている以上、スピリチュアルペインについて無関心ではいられない、とは思うが。
**(前略)多死社会を目前にした今こそ一人ひとりが死と向き合い、思い残しのない看取り、そして自身にとって思い残しのない人生の幕引きとは何かを考えようではありませんか。そしてそれがすなわち、死を考えること=生を考えることなのです。**(176頁)と著者の細田氏は本書を結んでいる。
どう死んでいくか、ということなど考えたこともなかったが、人生の課題として意識しなくてはならない、ということか・・・。
『スピリチュアルペイン』細田亮著(幻冬舎)
図書カード(10,000円)で買い求めた本一覧
1 『富士山はどうしてそこにあるのか』山崎晴雄/NHK出版新書
2 『歌舞伎はスゴイ』堀口茉純/PHP新書
3 『江戸の不動産』安藤優一郎/文春新書
4 『日日是日本語』今野真二/岩波書店
5 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子/新潮文庫
6 『日本の思想』丸山真男/岩波新書
7 『新聞記者 疋田桂一郎とその仕事』柴田鉄治・外岡秀俊/朝日選書
8 『日本一おかしな公務員』山田 崇/日本経済新聞出版社
9 『スピリチュアルペイン』細田亮/幻冬舎