会館は、前川國男、坂倉準三、吉村順三の共同設計による建築。確か取り壊しも検討されたが、耐震補強や大規模な改修工事が行われて生まれ変わったのが数年前のことだった、と記憶している。
同行の友人によると、本館棟の客室は以前は中廊下型で狭かったが、改修工事によって片廊下型となり、ゆったりとした客室に生まれ変わった、ということだ。
パンフレットには客室の内観写真が載っている。モダンな和の空間は吉村順三主導で設計されたのだろうか。外観のデザインは坂倉準三主導ではないか。薄いスラブや細い手摺、写真には写っていないが本館棟の妻壁は鎌倉の近代美術館に通ずる雰囲気だ。1階の壁に使われている大谷石も近代美術館と同じでは。
増築棟は東京都美術館と同じレンガ調タイル打ち込みの外壁。設計は明らかに前川國男。では、本館棟の前川國男のデザインはどこだろう・・・。
ロビーやティーラウンジはなんとも心地よい上品な空間。「普通の空間」と一体どこがどう違うのか。床や壁、天井、開口部など、空間構成要素を分析的に捉えても分からない。やはり空間の雰囲気は様々な要素が統合されて醸し出されるものだろう。確かなことは「時間」という要素が必須ということだ。
屋外には豊かな緑の庭園が広がっている。静寂な空間は都心に位置するとは思えない。京都の造園家 小川冶兵衛の作とパンフレットにある(旧古川庭園の作庭者も同一人物だが、庭園のパンフレットは小川治兵衛となっている)。
機会があれば再訪したいと思う。