高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月設立の「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした
42年の歴史をもつ生産者と消費者の会です

第5回「学生と考える記憶の記録と継承」

2022-05-23 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第5回「学生と考える記憶の記録と継承」
「ビキニ事件を中心に」その5

2021年10月、
被災船員さんのお話を伺いに室戸を訪れた。

室戸船籍のマグロ漁船の機関室で働いていた方。
捕鯨船にも乗っていた方。
従兄弟にお願いして
三崎のマグロ漁船に乗った方。
お話を伺う事前学習として行なった、
室戸まちあるき、室戸市史の講読、
1960年代の室戸を捉えた
ドキュメンタリー視聴と同様に、
被災船員のご遺族や
太平洋核被災支援センターの方から
お力添えをいただき、
繋げていただいた方々だ。

お話からは、
みな戦争と敗戦直後の大変な時代を過ごし、
家族のため生き抜くためにと
懸命に働いておられたこと、
被災の事実を実感する機会は
当時さほどなかったこと、
何が原因かわからないなかで
体調不良に襲われたことが、窺えた。

体調不良に襲われ、
自らの被災の実態との因果関係が
分からぬままに亡くなった
漁船員の仲間たちを見送り、
少しずつ明らかになってきたことを
受けて声を上げつつも、
被害の救済は今なおなされているとは言い難い。
それでもなお、
孫よりも若い世代の学生が訪ねてきたことを、
多くの船員さんたちが歓迎してくださった。
歓迎してくださっているというその事実は、
学生たちに強く印象に残ったようだ。

後日振り返りをしたとき、
印象に残ったこととして
学生たち全員が
「あんたらがしてくれたことに
助けられる人が何百人もいるから」、
「目をつぶらないうちに
いつでも来てください」
という語りや、
一生懸命に学生の質問を
聞き取ろうとしてくださっていた姿を挙げた。
そしてこうした経験は、
歴史的な一存在である
自分についてを考えさせることを、
促したようだった。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年5月号より転載しました。
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