高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、45年の歴史をもつ共同購入の会です。

お金では買えない豊かな暮らし その7

2023-11-30 09:00:00 | 連載
いの町 マコモ長茶生産者の奥山加奈子です。

『お金では買えない豊かな暮らし』その7

食欲の秋ですね。
世間でコロナの警戒も
すっかり落ち着いたようで、
収穫を祝う催しが飲食を伴って盛んで、
やっと日常に戻ってきたのだなと感じます。
高知は米どころ、
酒蔵も多いので、
公園で夜日本酒をメインにイベントがあるのは
移住者の私には新鮮です。

私もあっという間の
マコモダケの旬が終わり一安心です。
私には荷が重いかなと
一度は辞めたマコモダケの販売でしたが、
千葉の友人に声をかけられ1回だけ、
100本ポッキリ、
生鮮野菜を売るという、
まさか自分にそんなことをする日が来るとは
という経験をさせて頂きました。
あー野菜がお金を出して
簡単にスーパーで買える裏には、
長い過程があるんだな
初めてわかった気がします。


新鮮な方が美味しいのは
多くの野菜で言えることかと思います。
なので、千葉で店頭に並ぶまで
時間がかかること!
正直もどかしさでいっぱいになりました。
収穫するにも田んぼに
水を張ったままなので
足を取られるので一苦労。
車に積み降ろしも一苦労。
整形して、梱包して、
マコモの説明・食べ方も説明して
郵送して…
届いてからも
なんだか申し訳なくなってしまい
販売価格と卸値を再度話し合ったり、
宣伝のチラシ作って頂いたり、
終わったらどれだけ売れたかやり取りがあり、
全てが初めてのことでドキドキの連続でした。

食を大事にしている友人だったので
『大切に育てたものをお預かりしたので、
ちゃんと対価をいただきたいと思うよ』と
私だけでは決められない価値を考えてくれて、
畑で収穫した時の写真で
ポップを作ってくれたり、
購入者からの嬉しい感想を
フィードバックしてくれました。
決めた時こそあー大変!
何てことをしてしまった!
とチャレンジにストレスを感じましたが、
生産者を大事にするって
みんなが嬉しいことなんだなと
勉強になりました。

土といのちは
流通では一番早く
お野菜が手元に届くんじゃないかなと思います。
野菜がいいからと
会に戻ってくる人がいるのも納得でした。
農家の労は計り知れないものがあると
ほんの少しだけ知ることができた気がします。
生産者さんあっての私たちの食生活。
会の主旨の一つである
生産者を守ること、
持続可能な社会。
そのために今日自分は何が出来ているか?
有り難く頂く事、
買い支えるだけでなく、
生産者さんに感想を伝えたり、
人に良さを伝えたり、
まだまだ出来ることがあるなと思いました。

12月のオーガニックフェスタは
絶好のアピール日和!
生産者の皆さんにも会えるし、
早速実行していきます!
みんなも
お買い物に!
お手伝いに!!
来てくださーい。
待ってまーす♪



※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年12月号より転載しました。
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食べる日々(5)

2023-11-10 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(5)

前回までは、
一見同類の食材も、
風土によって性質が異なることを
紹介してきた。
現代のように食材の流通が発達し、
ほぼ全てが商品化される事態は
人類史の中では例外である。
地球上のどこでも、
人類は基本的に
その地で採れる材料で生き延びてきた。
この点で環境へのヒトの適応力は
非常に大きいと言える。
最近の研究では、
先輩格のネアンデルタール人も、
個々の環境に適応して
食生態を発達させたらしい。
通俗的なイメージのように、
頑丈な体格で獣を狩っていたのは、
特定の環境条件に生きる集団であって、
木の実やキノコ類を多食する菜食中心の集団や、
魚類を多量に摂取する集団もあったとされる。

重要なことは、
遺伝子的には同一のヒト達が、
異なる環境の中で、
多様な適応方法を編み出し、
その結果として、
身体的にもそれなりの差異を
発生させたことである(小進化という)。
その適応の結果が
普遍的かつ明確に観察されるのは、
腸内の微生物叢(micro biomミクロ/マイクロ ビオーム/バイオーム)である。
本来不消化の海藻を処理するのは、
お腹の中の特定の微生物である。
それどころか、
狭い意味で「含有する栄養素」には無いはずの
有益な成分(ビタミン、アミノ酸、脂肪酸など)を、
腸内微生物のおかげで摂取できているらしい。
大腸の微生物叢は、
免疫の仕組みや脳の働きにも
関連していることが分かってきた。


(このイラストは、『土と内臓 微生物がつくる世界』p.26より転載)
(D・モントゴメリー/A・ビクレー著、片岡夏実訳)

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年11月号より転載しました。
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お金では買えない豊かな暮らし その6

2023-10-05 09:00:00 | 連載
いの町の奥山加奈子です。

『お金では買えない豊かな暮らし』その6

待ちに待った実りの秋の到来で、
マコモダケの収穫も目前!
マコモダケを一日に家族で1本、
一人親指一節分を1ヶ月食べると
一年分のデトックスができる
と言われています。
収穫期が1ー2ヶ月と短いので、
楽しみでたまりません。
土といのちで予約した新米も
届くのが楽しみで待ち通しいです!


自然のもつパワーは未知なもので、
目の当たりにする度感動します。
薬の副作用で
手荒れのような症状が出ている人に、
去年作っておいた
マコモチンキを毎日つけさせたら
病院で処方される1万円する高価な薬では
1年改善がなかったのに、
たった1週間で
見違えるほどきれいになりました。
私もあまりの変化に驚きです。

私が体調不良で蕁麻疹が出た時は
家の周りに生えてるヨモギを
塩と一緒にすり潰して、
塗ってみたらスーっと
痒みも湿疹も消えました。

日常の食生活の影響は大きいと思いますが、
いざ困ったとき、
昔の知恵を持っていると
慌てて病院のお世話になることなく、
周りにあるもので
手当てすることが出来ます。
昔は病院なんてないし、
知恵で生きていたのだなと実感します。


こんな気付きも、
都会で暮らしていたままなら
気付くことがなかったなぁって思います。
自然に囲まれた生活!が
いかに豊かであることかと
改めて知ったような気がします。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年10月号より転載しました。
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食べる日々4

2023-09-04 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(4)

引き続き
中部ヨーロッパ(「中欧」)で体験した
飲食生態の異質性について。

今回はとくにエグさのこと。
これは参ったという食材の代表は
ナスとタマネギ類。
固さはもちろん、
いわゆるアクの強さに閉口した。
ナスをそのまま味噌汁に入れると
苦渋(苦汁)を飲むことになる
(味噌は1980年代から現地産が拡大)。
いろいろ調査して、
にがりのある塩で事前の処理をすることを学んだ。
タマネギ類の種類が多いこと
(特に南欧産)に気づいたが、
エシャロット(ラッキョウに酷似)の
大ぶりな類を生で食した時には、
二日は消えない
そのエグ味の強烈さに辟易した。
この類は若くなければ、
水で晒すより、炒めるしかないことを学んだ。
彼の地でも、
春先に短期間「春タマネギ」と称して、
ほぼ通常の日本産品に近い
柔らかさと穏やかさを備えたものが出回る。
欧州(中欧)の食材
とくに野菜類のエグさ、
アクの多さについては、
ミネラル類が多いことに起因するらしい。
アクは灰汁とも書き、
カリウム、カルシウム、
マグネシウム、シュウ酸などが関与する。
書物によると、
太古の海洋起源の地層を含む
大陸地殻に乗っている地域(いわゆる「大陸」)では、
土中の多様なミネラル類を吸収した
野菜、穀物や牧草(→肉と乳)の成分が
風味と栄養分の要因として重要とのことである。
一方「山が島で島が山」の日本列島では、
火山活動などによる形成史も若く、
多量の降水に流されて、
ミネラルは海岸(磯)に求めるのが合理的で、
故に一般的であった、とされる。
魚介類(小魚、貝類)や海藻を常食する背景である。
これがヒトの環境への適応戦略に持つ意味と
その身体的な帰結(腸内微生物叢)については、
いずれまた。


図は大地に根を張る樹木のイメージ
例えばワイン用ブドウ樹なら、
その根は地下20mまで伸びて、
岩(の隙間の地下水)のミネラルを吸収する。
いいワインはやや苦い。
(降雨の少ない地域の特性、日本列島では?)

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年9月号より転載しました。
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お金では買えない豊かな暮らし その5

2023-08-17 09:00:00 | 連載
いの町 マコモ長茶生産者の奥山加奈子です。

『お金では買えない豊かな暮らし』その5

夏真っ盛りになりました。
今年は先人の知恵を頂き、
マコモの葉を7月の新月に収穫します。
これからマコモダケがなるのを
ドキドキしながら見守ります。
まだまだ未熟者な私が言うのも難ですが…
植物にも命、知性があり、
その命を頂いて、
今日の自分の命になります。
だから、ありがとう。
とりあえず元気に育ってね。
なんてマコモ達に声だけはかけて、
手は全然出さないけど(笑)
私の溢れる愛で
愛でて愛でて愛でてます(笑)

(このイラストは、奥山さんの子どもさん作)

つくづく私一人では絶対できなかった
支えて下さる方々のお陰様の田んぼです。
3年目の今年も
我が子の成長を見守るように
期待と不安でいっぱいです。

(このイラストは、奥山さんの子どもさん作)

先日私が目標とする食養家さんに
サインを頂きました。
『野に良い暮らし』と入れて下さいました。
その時、ぱっと
この連載の事が頭に浮かびました。
野良仕事って簡単に口にするけれど、
私はどれだけ野良仕事と
口に出来るだけの行いを
しているだろうかと考えさせられました。
インフラの整った不便ない日本の暮らしは、
野に良い暮らしと言えるのでしょうか?
発展途上国でニ度海外生活のある私は、
停電、断水は当たり前、
買い物は分銅で量るし、
桃太郎のおばあさんのように
沢の水で洗濯して、
大屋さんが分けてくれる薪で
一日分の食事を朝いっきに仕上げます。
蛇口をひねったらお湯が出るなんてありえない。
普段は水を浴び、
火を焚いてお湯を何度も沸かして
大きいバケツでたまの贅沢で
お湯に浸かりました。
あー何て日本は良い国なんだと、
不便な日々の生活の中で
愚痴をこぼしていました。
利便性をお金と交換している生活はとても楽です。
なんちゃって百姓して、
体と時間を使って、
無料で自然から色んなものを頂きますが、
勤めて、お金稼いで、
一瞬の支払いで欲しいものを買う暮らしは
どれだけ楽だろうと、
最近は体の痛みと忙しさと共に
しみじみと感じています。
変化の著しい今、
ちょっと先の未来もまさに未知です。
買う暮らしより作る暮らしに
どうシフトしていけるか手探りです。
今日不便なく生活できることに感謝して、
いまいちど
野に良い暮らしとは何か
考える今日この頃です。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年8月号より転載しました。
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食べる日々3

2023-07-20 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(3)

引き続き中部ヨーロッパ(以下「中欧」とする)で体験した
飲食生態の異質性について話を続ける。
当面は食材の固さとエグさがテーマ。

身近な食材の固さということでは、
野菜や果実類も例外ではない。
タマネギもニンジンもナスもパプリカも
フェンネルもパセリもポロネギも皆固い。
(とりわけイタリアで)
家庭料理の根幹であるソフリットは、
みじん切りの香味野菜を
オリーブ油で丁寧に炒めた物だが、
これを作ろうとすると、
日本での二倍ほどの時間が必要となる。
柔らかくならない。
趣味ではないが、
油の量をかなり多くして揚げ煮のようにする。
リンゴも梨もスモモもそのままでは堅い。
(梨は追熟させると柔らかくなり風味もよい)
堅い実を刻んで、
ソフリットの中で白い肉類や魚のフィレと共にソテーし
蒸し煮にするとよろしい。
(堅い「ブドウ山の桃」はとくによい)

固さの主たる原因はもちろん降雨の少なさにある。
中欧の年間降雨量は
高知県の半分かそれ以下。
高知で一時間雨量としては多いと言える雨(100~150mm)が
一日で降ると水害が発生する。
一ヶ月分に相当する雨が
一日で降ることになる。
降雨の少ない土地であるが、
麦など穀物やジャガイモ・豆の畑にも灌漑はない。
天水利用である。
よってパン用の小麦やライ麦は水分が少なく、
それに対応した風味となる。
決してもちもちにはならない。
(パンについては後ほど詳しく)


放牧地に立つ梨の木
果樹園の密植ではない「散在果樹」
(野原や街道に独立する)
ヨーロッパの歴史的原風景

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年7月号より転載しました。
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お金では買えない豊かな暮らし その4

2023-06-13 09:00:00 | 連載
いの町 マコモ長茶生産者の奥山加奈子です。

『お金では買えない豊かな暮らし』その4
  
すっかり初夏の気候になり、
新緑を楽しむ一方、
草刈りに忙しい季節になりました。
高知に移住する数年前から
若杉ばあちゃんの食養・野草料理を習い、
自分の変化を心身で感じ面白くなりました。
ご縁を頂いた今の借家はまさに野草天国!
お陰で春夏野菜を買うことも
育てる必要も殆どありません。
都会での暮らしは
野草を摘めるような場所がなかったので、
当初は習った野草がどれかわからず
携帯で野草を調べては見比べて、
わかる人のところまで
車を走らせ教わりにいったりしました。


近年野草が健康にいいと
注目を集めているように存じます。
私が体感する限り
野草は確かにデトックス効果が高く、
お米と野草の粗食は体が整います。
しかし、野草はアクがありますから、
適切な調理をして食べなければ
『悪』を食べて不調にもなります。
野草は葉もの野菜と同じように
様々な料理法で食べられます。
天ぷらしか知ないなんて勿体無い。
和え物やお汁、デザートで
美味しくデトックスして欲しいです。
野草天国過ぎて
この環境を活かさなければ勿体無い!
自分の学びを深めるため
習ってきた料理のシェア会も
去年から始めてみました。
お陰様で好評です。
いつでも誰でも歓迎ですので、
是非お声をかけてみて下さい。

(奥山さんシェア会の野草料理です)

切っても切っても
すごい勢いではえてくる野草は
まさに生きるパワーがいっぱい。
「いく薬 求めるよりも 常に身の やしなひ草をつめよとぞ思う」
明治天皇が詠んだ歌で、
いい薬を求めるよりも
養生になる野草を摘むことを
勧めているそうです。
自然の恵み、命をいただいて、生かされている
今日の自分があることに感謝して、
丁寧な暮らしを心がけたいと改めて思います。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年6月号より転載しました。
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食べる日々2

2023-05-04 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(2)

今回から数回、
身をもって体験した
飲食生態の多様性=差異を取り上げる。

三十歳前後に
ドイツ連邦共和国(当時の通称「西ドイツ」)に
最初の研究滞在をした。
ライン川沿いのボン(当時の首都)と
デュッセルドルフに
併せて一年以上住んだ。
業界で言語実用論(語用論)と呼ばれる分野の
独日語対照研究に携わった。
事前の準備もあって、
言葉に不自由はなかったが、
実際の場面では色々と
面白くも痛切な体験をした。
いわゆる異文化間コミュニケーションということで、
後に論文や著作にまとめた。

最も予期しなかった異質体験は
飲食生態全般である。
「彼らの当たり前」について
自分(達)が無知であることを痛感した。
日本は明治以来の近代化を通じて、
とりわけ第二次大戦後に、
飲食の分野で欧米化したなどというのは
視野が狭く洞察が足りないという認識の前でたじろいだ。
一方で他者の異質性(具体的な差異)を
十全に追究してこなかったこと、
他方で「食の欧米化」などという概念に
根本的な欠陥が潜在することが痛感された。
で、この分野をも研究テーマとすることになった。
彼らは何をどのように作り食べて
生き延びてきたか、という問いは
他者とその集団を理解する上で不可欠である。
他人のことをちゃんと理解していないと、
自分のことも分からない、
というのが教訓である。

違和感の大きな要因の一つは食材の性質だった。
現地の事情に慣れてからは
基本的に自炊だったので、
穀物、野菜、食肉などの質を
ほぼ毎日検証することになった。
その核心を端的に言えば「固い」と「エグい」である。
先回りして暗示すると、
火山もある急峻な山島で
温暖多雨という日本列島の一般的地理条件に対して、
彼の地は、ほぼ1万年前は氷河の下だった
大陸で冷涼小雨という事情が背景にある。
他の要因は飲食生態の歴史的社会的な側面、
つまり飲食行動に関わる「当たり前」
(何をいつ誰とどのように調理し食べるのが「普通」か:生活形式という)の差異である。


※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年5月号より転載しました。
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お金では買えない豊かな暮らし その3

2023-04-10 09:00:00 | 連載
いの町の奥山加奈子です。

『お金では買えない豊かな暮らし』その3

お陰様様で遂に
生産者としてデビューしました!
拍手~\(^0^)/と、
おめでたい気持ちより、
満足して頂ける商品として
消費者様のお手元までお届けする、
お金を対価として頂く、
えらいプレッシャーを感じました。


まずは扱って頂くため、
どんな商品か書類を作るのもひと苦労。
多くの人にマコモの良さを知って貰いたい。
しかも継続するとなったら
どれだけ大変なのでしょう。
これまで何かのお礼にと
なんとなく贈っていたものでも、
販売となると
商品に生産者として
自分の名前を連ねる。
あー私はなんてことを
始めてしまったんだ!?
なんて思いました。

そんな話を
先日盛会だったオーガニックフェスタで、
生産者の方々に話を聞いて頂いたら、
自分も生産者になったら
大変なのがわかるからいいのよ!と
お言葉を頂きました。


あーそうだった。
お金では買えない経験を、
私はさせて頂いてる。
改めて有り難さを
感じることが出来ました。
生産者の方々がいなければ
今の安心した食生活はありません。
購買や援農など、
自分が出来ることで
安心安全な生活を臨んでいきたいと
改めて思う最近でした。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年4月号より転載しました。
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食べる日々1 ~新連載

2023-03-15 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(1)
                     
長く生きてきたが、
食べることで切実な、
文字通り「身につまされる」体験をしたのは、
9歳時の大病と
29歳時の研究留学による滞欧である。

当時の診断で
自家中毒腸炎とされた症状で、
何も口にできない状態が数週間続いた。
最後はリンゲル氏液の注射だけで生き延びた。
針を刺す箇所も見当たらない状況だった。
回復にほぼ一年の時間を要した。
普通にごはんが食べられる、
ということのなんという難しさ、有り難さ。
粒も何も見えない濁り粥、
箸に掛からない煮込み素麺から始めた。
学校に戻っても半年は弁当持参だった。
柔らかいご飯と野菜の煮物だけの弁当。
よく噛んで飲み下すことの幸せ。
ちゃんとした野菜の
体にしみる滋味を悟った。
後日、工業生産品の食料は
「なんか変だ」と気づくことになる。


回復して自分で調理し始めた。
台所で理科の実験もどきを
していたのも背景にある。
母親が消費者運動の
第一世代だったので、
何かあると留守宅の昼食を任されもした。
中学校時にカレーと麺類を、
高校時に手作りハンバーグと
煮物類をマスターし、
大学の一人暮らしでは、
数人の仲間と「自炊共済組合」を結成した。
実家がレストランの男が、
当時「ガス乗せ天火」と呼ばれていた器具を
盗み出して、グラタン類に挑戦した。
ほぼ全ての調理類において経験を積んだ。
ただ一つ手を出せなかったのは鮮魚だった。
これは就職後に集中的に体験することになる。(つづく)

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年3月号より転載しました。
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