高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月設立の「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした
42年の歴史をもつ生産者と消費者の会です

伝統医学だより その6:現代社会の健康上の問題点 5(最終回)

2022-06-14 09:00:00 | 連載
木田山薬堂診療所の木田正博です。

《現代社会での健康上の問題点》 

今回はいよいよ最終回です。
前回の3月号までに
健康上の問題点9項目について説明しました。
残りは以下の3項目です。
(10)滋養分の少ない食物
(11)冷飲・多飲
(12)医原性病因

 (10)「滋養分の少ない食物」とは
ファストフード・インスタント食・ジャンクフード・
遺伝子操作作物(これらの4つは滋養分の少なさ以外に化学物質の毒性もあり)・
菓子の多食・無理なダイエット・長期の玄米菜食などです。
これらの食習慣を続けると、
中国医学でいう気・血・精が不足します。
元気(気の根元)が不足するわけです。
症状としては、倦怠・疲れやすい・
息切れ・精力減退・カゼにかかりやすい・
視力の低下と眼精疲労・
生理の減少や停止・不妊症などが生じます。
土といのちの会員の皆さんは
食事に気をつけておられるでしょうが、
一部の人が行っているような
玄米菜食などの動物食品を食べない食生活も、
よほど工夫しないと
気・血・精不足を引き起こすことが多いのです。
一時的な身体のそうじとしては役に立ちますが、
何年も続けると
精力が弱り寿命が縮まります。
長くても1ヶ月ほどでやめるべきでしょう。
一般の人向けには食事指導として、
甘いものを控え目にして
化学調味料・食品添加物を使わないで作られた
伝統的な和食を主とした食事をこころがけるように
アドバイスすることにしています。

 (11)「冷飲・多飲」とは、
スポーツドリンク・各種甘味飲料・
牛乳・水分摂取奨励の影響などのことです。
冷たい物を多く飲むとおなか(中国医学の脾胃)が冷え
ゲリ・腹痛や食欲不振の原因になります。
水分摂取過剰でも同じくゲリ・食欲不振に加え
むくみ・体の重だるさや冷えも生じます。
牛乳は、1回100cc程度以上飲むと
おなか(脾胃)に負担をかけるため、
やはりゲリ・食欲不振・体の重だるさなどが生じます。
冷たいとさらにそれが強く出ます。
学校給食の冷たい牛乳は
おなかへの負担が強いので
飲まない方が良いでしょう。
スポーツドリンクや甘味飲料は
同じく冷飲・多飲の影響が出るし、
さらに、その5(2022年3月号)に書いた
砂糖過剰の害も出ます(スポーツドリンクは、うす目の砂糖水に近い)。
スポーツドリンクが体に良いなどというのは大うそですね。

 (12)「医原性病因」とは、
医療が原因となって生じた病気や症状のことで、
今の日本では非常に多いと言えます。
手術や投薬などのそれぞれの治療について、
それを行う必要があるという理屈を医師は持っています。
しかしそれらは、時の流れとともに
正しいとされる治療法が変わったり、
人体の一部分・一つの物質だけを見ていて
その人の全体を見ていなかったりすることが多いのです。
一般に内服薬は、
一人5種類までにおさえておくことが
望ましいとされていますが、
現実には10種類以上飲んでいる人がよくいます。
5種類以下であっても、副作用が出ますが、
医師にもそうだとわからないことが多いようです。
ワクチンに関しても利点ばかりが言及されますが、
本来は利益と不利益(副作用)とをきちんと比較してから
うつかどうかを決めるべきなのです。
コロナワクチンについても同様で、
「有志医師の会」という会が
現状での使われ方の問題点について発信しているので、
うつべきかどうかに関して調べたい人は
ここのホームページを見て下さい。

 以上、6回にわたって
現代の日本で健康を損ねる原因となっている
主なことがら12項目などを説明してきました。
治療よりも養生して健康を保つ方が大事なのです。
2021年6月以降の5回分も見直して養生を実行して下さい。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年6月号より転載しました。
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第5回「学生と考える記憶の記録と継承」

2022-05-23 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第5回「学生と考える記憶の記録と継承」
「ビキニ事件を中心に」その5

2021年10月、
被災船員さんのお話を伺いに室戸を訪れた。

室戸船籍のマグロ漁船の機関室で働いていた方。
捕鯨船にも乗っていた方。
従兄弟にお願いして
三崎のマグロ漁船に乗った方。
お話を伺う事前学習として行なった、
室戸まちあるき、室戸市史の講読、
1960年代の室戸を捉えた
ドキュメンタリー視聴と同様に、
被災船員のご遺族や
太平洋核被災支援センターの方から
お力添えをいただき、
繋げていただいた方々だ。

お話からは、
みな戦争と敗戦直後の大変な時代を過ごし、
家族のため生き抜くためにと
懸命に働いておられたこと、
被災の事実を実感する機会は
当時さほどなかったこと、
何が原因かわからないなかで
体調不良に襲われたことが、窺えた。

体調不良に襲われ、
自らの被災の実態との因果関係が
分からぬままに亡くなった
漁船員の仲間たちを見送り、
少しずつ明らかになってきたことを
受けて声を上げつつも、
被害の救済は今なおなされているとは言い難い。
それでもなお、
孫よりも若い世代の学生が訪ねてきたことを、
多くの船員さんたちが歓迎してくださった。
歓迎してくださっているというその事実は、
学生たちに強く印象に残ったようだ。

後日振り返りをしたとき、
印象に残ったこととして
学生たち全員が
「あんたらがしてくれたことに
助けられる人が何百人もいるから」、
「目をつぶらないうちに
いつでも来てください」
という語りや、
一生懸命に学生の質問を
聞き取ろうとしてくださっていた姿を挙げた。
そしてこうした経験は、
歴史的な一存在である
自分についてを考えさせることを、
促したようだった。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年5月号より転載しました。
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伝統医学だより その5:現代社会の健康上の問題点 4

2022-03-10 09:00:00 | 連載
木田山薬堂診療所の木田正博です。

《現代社会の健康上の問題点》 

2021年8月号で
現代特有の健康上の問題点を12項目あげて、
前回の2022年1月号までに
その半分の6項目について
対処法などを説明してきました。
見直してみてください。

今回は、
(7)パソコン・スマフォ・テレビなどの見過ぎ
(8)精神ストレスの過剰
(9)砂糖・肉類とパン食の過多と遅い夕食、
についてです。

(7)パソコンなどの電子画面を長時間見ると、
眼精疲労・目の奥の痛み・
不眠と多夢などが生じます。
近年、デスクワークで
ずっとパソコンを見ることが
一般的になりましたね。
「若い人の老眼がみうけられるようになった」と
テレビで眼科医が言ってました。
中国医学で言うと、
目と心を養う血が消耗して
目の痛みや視力低下が起こるし、
心(しん)の火が生じて
夢が多くなり不眠となります。
心火とは頭が興奮状態になるということです。
毎日の電子画面を見る時間を減らし、
就眠前1時間は見ないようにしましょう。
ブルーライトカットの
画面用シールやメガネを使いましょう。

(8)長期間の精神ストレスや
強い精神ストレスでは、
気の流れが滞り、
そのたまった気が胃腸や心を攻撃して、
胃痛・腹痛・ゲリ・
頭痛・動悸が生じます。
また、気が流れにくいことにより
食欲不振・便秘・不安・うつ傾向も生じます。
精神ストレスを感じる状況からは
できるだけ逃げること。
精神ストレスがあるときは
散歩するなど屋外で
体を動かすとよいですよ。
気がめぐりストレス発散ができます。

(9)砂糖をよくとる習慣の人は、
体が重だるく動きづらくなるし、
感染症によくかかったり
化膿しやすくなります。
歯周病・副鼻腔炎・気管支炎・
くさい便と便秘・ゲリなどです。
油ものが多く肉類が野菜より多量
という食事を続けると、
暑がり・顔のほてり・
乾癬などの皮膚病・脳出血・便秘・
大腸ガンなどが生じやすくなります。
遅い時間の夕食の習慣があると
うまく消化できず食物がおなかで停滞し、
体が重だるい・肥満・胃もたれ・
慢性便秘などが生じます。
煮物には砂糖を使わず、
砂糖入りのおかしは
1日に饅頭1個ほどまで、
夕食と夕食後には
砂糖入りのものを食べない、
肉類は野菜より多くは食べない、
ショートニングやマーガリンはさける、
など注意しましょう。
パン食は上記油物や砂糖類が多くなるので注意。
市販のパンは
一般的に輸入小麦を使っているので
農薬がかなり残留しています。
国産小麦で天然酵母のものにしましょう。
小・中学校の給食のパンを
国産小麦のものにしてほしいですね。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年3月号より転載しました。
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第4回「学生と考える記憶の記録と継承」

2022-02-14 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第4回「学生と考える記憶の記録と継承」
ビキニ事件を中心に その4

対面授業が可能となった
2020年10月からの2ヶ月、
30代から70代まで計5名の方を
それぞれゲストに招き、お話を伺った。
被爆者や元日本兵のご遺族へのインタビューを重ね
働きながら語り部をする方、
労災訴訟の原告団長を務める
ビキニ被災船員のご遺族、
平和教育に注力する現役/退職した小学校教員、
ビキニ事件を取材するジャーナリストだ。
ビキニ事件や戦争体験の継承実践に
取り組むようになったそれぞれの動機は、
各ゲストが同時代の歴史的な出来事や歴史問題、
たとえばベトナム戦争や東電福島原発事故、
日本の戦争加害や従軍慰安婦問題と
どう向き合おうとしたのか、
とも連なっていた。
被害を受け傷ついた主体が、
自らの傷を晒し、
時にその傷の意味や加害との因果関係を
“証明”し認められなければ、
救済や尊厳の回復に繋がることはほぼない。
日本社会のそうした側面を
目の当たりにしていたことが、
ゲストそれぞれのお話から窺えた。

学生たちにとっては、
教科書では学び得ないものだったようだ。
ある学生はレポートに次のように書いた。
「新しく知る事実があるたびに衝撃を受け、
そして今まで知らなかった理由は何なのか、と考えた。
その理由の多くは「関心がなかった」、
そして「知る機会がなかった」からである。
何事も関心を持って知ろうとしなければ
知る機会がないことを実感するとともに、
こんなに大きな被害を生んだ出来事を
知ろうとしなければ知らないまま
生きていけることにも驚いた」。

「なかった」ことにされ、
自らの身に降りかかったことの意味を知る機会を
社会から与えられなかった人たちから見た
歴史や社会がある一方で、「
なかった」ことにする力に抗い
加勢する未体験の人たちがいる。
その事実を具体的に知り感化されたからか、
学生たちは年度末の学習成果報告会で
「答えが簡単に出ない大学の学びにくじけず」、
「携わる全ての人の力を借りながら3人で助け合い、
成長しあえる1年にしたい」と語った。

その様子を見て、
2021年度からは継承実践をする人びとにくわえ、
ビキニ被災船員さんを訪ねることにした。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年11月号より転載しました。
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伝統医学だより その4:現代社会の健康上の問題点 3

2022-01-12 09:00:00 | 連載
木田山薬堂診療所の木田正博です。

《現代社会の健康上の問題点》

都合で1ヶ月分遅れて3ヶ月ぶりの登場です。
前回2021年10月号の
養生アドバイスは役立ててもらえましたか?
2021年8月号で健康上の問題点を12項目あげました。
今回はその中の
(4)夜更かし・睡眠不足
(5)慢性疲労
(6)頭脳労働の過剰・忙しすぎる生活、
についてです。

(4)夜更かし・睡眠不足:
毎日11時までには寝床に入りましょう。
遅くても12時は過ぎないこと。
人にはバイオリズムがあるので、
寝る時刻が遅いと眠りの質が悪くなります。
12時を過ぎると
血を吸うドラキュラが出てきますよ
(血虚という状態になることです)。
眠る長さも、少なくとも7時間、
なるべく8時間は確保しましょう。
長期間の夜更かしや睡眠不足では、
中国医学で言う血虚
(血が頭や身体を養う働きの不足)
という状態になります。
その結果、却って眠りが浅く不眠になったり、
動悸・パニック障害・慢性の咽痛・
筋肉の強ばりや痛み・目の疲れと視力低下・
早い老化などが生じます。
早くふけるのはイヤですね。
不眠傾向の人は、
昼間に屋外でよく歩くなどの運動をし、
就眠1時間前ころに
お風呂から出るようにするとよいです。
パソコンなどの電子画面も
眠前1時間は見ないようにしましょう。

(5)は、心身の虚弱や食欲不振・
不安・うつ傾向をもたらします。
(4)の症状もおこります。
「疲れたらこまめに休む・何事もがんばりすぎない」
ということを常にこころがけましょう。

(6)は、考えすぎることで
消化能力が落ち食欲がなくなります。
常に忙しい生活も、
頭を消耗すると同じことが起こります。
さらに、どちらも
(4)の睡眠不足と同じような状態にもなります。
仕事や用事が多量にあっても、
急がないで一つ一つ
着実にこなすことが大事です。
それで仕事をこなし切れないときは
次の日以降に後回しにする
という覚悟を初めからしておきましょう。
頭を高速回転させると
非常に疲れて消耗する
ということをよく覚えておいて下さい。
頭を使う仕事や
ずっとデスクワークをする人は、
昼休みには屋外へ出て
散歩するなど体を動かす方が、
座って休むよりも疲れが取れますよ。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年1月号より転載しました。
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第3回「学生と考える記憶の記録と継承」

2021-11-19 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第3回「学生と考える記憶の記録と継承」
ビキニ事件を中心に その3

学生たちと
高知のビキニ事件を
学ぶことが決まったとき、
次のことが最大の関心事となった。
「今」に連なる歴史的な出来事に対する
若い学生たちが抱いた関心の萌芽を、
伸び伸びと健やかに育てるには
どうすれば良いのか、ということだった。

悩ませられたのには
いくつか理由があった。
まず、本学部の実習は、
商品開発や六次産業化といった
起業的実践を促すカリキュラムが主流となっている。
翻って私たちが取り組もうとしていることは、
決してわかりやすい成果が見込めるものではない。
また、学生が生まれる
遥か以前の出来事である。
歴史学のトレーニングを
受けてはいない学生に
歴史的な出来事と「今」との連なりを
実感してもらうためには、
工夫が必要であるように思われた。
さらに、コロナ禍に伴い
様々なストレスに
直面しがちな環境下にあって、
水爆実験に伴う被曝や
被災者自らが声を上げねば放置されるといった、
容易には共有し得ない体験を
受け止められるだろうか、という懸念もあった。

考えた末に、
体験者に直接聞くのではなく、
体験者から継承しようと実践する
先達に学ぶことにした。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年11月号より転載しました。
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伝統医学だより その3:現代社会の健康上の問題点 2

2021-10-13 09:00:00 | 連載
木田山薬堂診療所の木田正博です。

《現代社会の健康上の問題点》

前回、8月号で
現代社会の健康上の問題点を
12項目列挙しましたが、
今回はその中の
(1)化学物質
(2)運動不足
(3)建物内に閉じこもる生活
について説明します。

(1)化学物質:
「土といのちの会員の皆さんは、
農薬・食品添加物などの
人工化学物質をさけることは
当然実行しているだろう」と思いますが、
それ以外にもシックハウスや
水・空気などの環境汚染からも
身体にこれらの物質が入ってきます。
従来の毒性学では無害だと考えられていたほどの
ごく微量の化学物質であっても、
人体のホルモン系・免疫系・神経系に対して、
各系のシグナル(信号)を撹乱して強い影響をもたらす
「シグナル毒性」が生じることがある
ということがわかって来ました。
「環境ホルモン」はその代表例です。
中国医学から見ると、
これらは精(生命の源)や神(生命を維持する働き)を
損傷・撹乱し、生命力を損ねます。
アレルギー病・自己免疫病・
感染症多発・発達障害・癌・
不妊症などの原因になります。
中国医学の煎じ薬や鍼灸などの治療で、
たいていの病気は改善できますが、
やはり化学物質をさけることが最重要です。
これらのことで、関節リウマチ・喘息などは
ほとんどの人が大幅に改善します。

(2)運動不足(3)建物内に閉じこもる生活――
こういう生活習慣で
体内の気・血・津液(正常な液体成分)の流れが停滞し、
それぞれ気滞・瘀血・湿痰が生じます。
また、中国医学でいう脾臓(消化機能の中心)が衰えます。
その結果、食欲不振・便秘・ゲリ・
鼻汁や鼻閉・気管支炎・喘息の悪化・
中耳炎・むくみ・肥満・冷え症・
生理痛・動脈硬化・癌が生じやすい、
などの症状が生じます。
毎日30分以上は
屋外で歩くか自転車に乗りましょう。
特に梅雨から夏の3-4ヶ月間は
運動不足になるので、
いかにして体を動かすかということを工夫して下さい。


※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年10月号より転載しました。
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第2回「学生と考える記憶の記録と継承」

2021-09-12 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第2回「学生と考える記憶の記録と継承」
ビキニ事件を中心に その2


ゼミ形式の実習で学生たちと
ビキニ事件について学ぶようになった理由の一つに、
学校教育で触れた戦争の歴史をめぐる学生たちの
素朴な疑問に触れたことにある。

学生が持って来た調査報告論文
「地域の記憶を継承する
『学びのプログラム』に関する調査研究
〜ドイツにおける事例分析を中心に〜」
を講読したときのこと。
論文は、ユダヤ人迫害やベルリンの壁など
第二次世界大戦や冷戦時代の
生き証人が減少しつつある中、
ドイツの児童生徒たちが経験している
記憶の継承のための複数の教育プログラムを紹介していた。
この議論の際に、
これまで学校で学んだ戦争の歴史に
ある種の違和感を覚えている、
との発言があった。

日本の加害の側面が教えられないのはなぜか。
慰安婦問題がタブー視されているのはなぜか。
戦争責任はどう論じられているのか。
教員に尋ねると「教員の立場からは言えない」
と言われたこともあったという。
体験に基づくごく素朴な疑問として、
「なかったこと」にされる歴史的な出来事があることへの違和感、
なぜ自分事として教えられる機会がないのか、
と思っているようだった。

この論文と議論は学生たちの印象に残るものだったらしい。
月に一度課すレポートでも強い関心を示す言及があった。
自分たちが生まれる遥か前の出来事を、
自分たちが生きる「今」に連なるものとして、
歴史との自己との関係を捉え直そうとする営み。
学生たちがそうした営みに関心を持つという事実は、
私の中でも強く印象に残った。

2020年夏に「記憶の記録と継承」をテーマに、
高校生たちが掘り起こした
高知のビキニ事件を学ばないか、と提案した。
学生は賛同してくれた。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年9月号より転載しました。
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伝統医学だより その2:現代社会の健康上の問題点

2021-08-09 08:30:00 | 連載
木田山薬堂診療所の木田正博です。

《現代社会の健康上の問題点》

それぞれの時代や社会には
それぞれに特徴的な病気と
その原因があります。
現代の日本社会も、
過去に主流だった多くの病気が
減ったり消えたりしましたが、
逆に以前はなかった
新しい病気が出現しています。
アトピーや花粉症もそうです。
関節リウマチなどの
各種の自己免疫病
(病原微生物を排除するための免疫反応が
逆に自分の体を攻撃して炎症が長期間続く病気)や
2型糖尿病などの各種生活習慣病も
大きく増えています。
子供の発達障害(自閉症や学習障害)も増加しています。

そういう新しい病気や
増加した病気の原因は何でしょうか?

日常の診療で患者さんの
生活習慣や生活環境を詳しく聞き
病気との関係を
伝統医学に基づいて考えるということを
長年続けてきましたが、
それらの経験をまとめて
少しずつ紹介して行くことにします。
大きく12項目に分けました。
それぞれについて
対応法や養生法を紹介して行きますので、
今後の健康維持に役立ててください。

まず項目を紹介すると、
(1)化学物質
(2)運動不足
(3)建物内に閉じこもる生活
(4)夜更かし・睡眠不足
(5)慢性疲労
(6)頭脳労働の過剰や忙しすぎる生活
(7)パソコン・テレビの見過ぎ
(8)精神的ストレス・社会的孤立
(9)甘い物・油物の過多とパン食・遅い夕食
(10)即席物など滋養分の少ない食物
(11)冷飲・多飲
(12)医原性病因

これらについて
次回(10月号)から順に説明します。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年8月号より転載しました。
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新連載:第1回「学生と考える記憶の記録と継承」 

2021-07-13 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

「学生と考える記憶の記録と継承」
ビキニ事件を中心に その1

高知に着任が決まった時、
学びたいと思うことが3つあった。
ダム撤去をめぐる住民運動、
高知パルプ生コン事件、
そしてビキニ事件だ。
2020年10月より、
ビキニ事件について
学生たちとともに学んでいる。

ビキニ事件は、
1954年に南太平洋マーシャル諸島
ビキニ環礁周辺で行われた
アメリカによる水爆実験で
多くの漁船が被ばくしたことに端を発する。
3月から5月までの6回の実験で
延べ1000隻以上が被ばくした。

久保山愛吉さんが乗っていた
第五福竜丸が広く知られているが、
高知県所属の漁船も数多被災した。
高知のビキニ事件を掘り起こしてきた
有志の調査団によれば、
1954年3月から12月までの間に
延べ270隻が被災している。
55年1月に交わされた公文書で
日米間の政治決着は済んだことにされ、
被害の実態解明や被災者の救済は長年放置された。

学生たちと学ぶようになったのは偶然だった。
新型コロナ禍でオンライン講義を余儀なくされた。
私の学部では「実習」という
進級に関わる必修科目で
フィールドワークを3年間で
600時間行うカリキュラムとなっている。
だが新型コロナ禍にあっては無理な話だった。
2020年4月から大学の講義は
全てオンラインに移行していた。
迷った末、
フィールドワークが再開された際に備えて
学生たちの関心を踏まえた
市町村史や新書などの文献講読を重ねることにした。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年7月号より転載しました。
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