野田首相は6月16日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、西川一誠福井県知事と首相官邸で会談し、西川知事から「主な電力消費地である関西の生活と産業に資するため、同意する決意を伝えたい」との原発立地自治体として再稼働に同意する意向の表明を受け、「知事の決断に深く感謝したい」と応じました。
その上で首相は枝野経済産業相ら関係3閣僚との会合を開き、「立地自治体の理解が得られた今、再起動を政府の最終判断としたい」と述べ、再稼働を正式決定しました。茶番中の茶番です。
国民の再稼働反対の世論を押し切り、強引に関電大飯原発3、4号機の再稼働を急ぐ野田政権。再稼働のための重要なカギを握るのは原発立地自治体の西川一誠福井県知事など地元との合意でした。
2012年6月17日付け「しんぶん赤旗日曜版」に関電など電力会社と県の“癒着”の構図。その象徴のような組織が存在しているとのスクープが掲載されています。そこでその概要をご紹介します。(サイト管理者)
<「(財)若狭湾エネルギー研究センター」って何?>
問題の組織は、1994年に設立された「財団法人 若狭湾エネルギー研究センター」。敦賀市にある同財団の豪華なビルは総工費約150億円。そのうち約120億円が「電源3法(電源開発促進税法・電源開発促進対策特別会計法・発電用施設周辺地域整備法)」の交付金から、約8億円が電気事業者の寄付となっています。
同財団の役割は「原子力関連研究や下請け従業員を対象にした原発のメンテナンス研修など原子力の人材育成」(同財団・岩永弘行専務)といいますが、その組織が驚きです。
<組織メンバーは県庁OBと電力会社>
まず、理事長の旭信昭氏は元副知事。前述の岩永弘行専務も県庁から同財団に出向しています。事務局長や企画支援広報部長も県OB。大飯原発再稼働を同意した西川県知事も元理事に名を連ねていました。
さらに、県庁で原発推進を担う「電源地域振興課」からは4人が出向。
一方、電気事業者側からも理事に、関電常務、日本原子力発電(原電)常務、北陸電力常務らも名を連ねています。
<運営資金も電力会社>
この財団の運営資金は、基本財産51億円ですが、福井県が出資しているのは5000万円のみで、あとは電力会社などの事業者。電力会社からは研究委託の名目で毎年財団にカネが流れる仕組みも。
財団の財務資料では関電から約5億8500万円、原電から約4億6800万円、北陸電力から約1億1700万円が渡っています。
<福井県の原発「規制」部門が「推進」部門の拠点に>
さらに深刻な問題だと指摘するのは、福井県には「原子力安全対策課」という福井県での原発に対する「規制」の役割を持った組織があります。今回、大飯原発の安全は確保できているとする報告書をまとめた「福井県原子力安全専門委員会」の事務局でもありますが、この原子力安全対策課元課長の来馬克美氏(現・福井工業大学教授)も同財団の専務理事として天下っていたのです。
しかも来馬氏は同財団で「エネルギー研究開発拠点化計画」を担当していたように、同財団を中核として福井県を「原発研究開発拠点」とする構想に基づいているのです。そしてこの計画にも電力会社は巨額の資金を投入。2005年から6年間で、計約5億6000万円が電力会社から流れたといいます。
<原発マネーに群がる“懲りない”面々>
このように、西川県知事の「大飯原発再稼働同意」の裏には、「主な電力消費地である関西の生活と産業に資するため、同意する決意を伝えたい」などという表向きの“理由”ではなく、原発「規制」のトップですら電力会社が巨額支援する組織に天下りし、「規制」側と「推進」側が持ちつ持たれつの“癒着の構図”が存在し、原発マネーに群がるお役人の”姿”があるということをしっかりと覚えておく必要があると思います。それはまさに福井県版原子力ムラそのものの醜い構図です。
【出典参考】2012年6月17日付け「しんぶん赤旗日曜版」
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